お代はラヴでけっこう

【ドラクエ考察】ロトの装備に関する話

  • URLをコピーしました!

 ロト装備とは、勇者ロトが残したという伝説の装備品。

 ドラクエファンの間でも非常に人気が高く、特に剣については何度もグッズ化もされている。

 しかし、ロト装備の詳細に関しては意外と誤解されていたり、知られていない内容があったりするので今回はそのことについてまとめてみる。 

「ロトの兜」とはなんなのか

 剣・鎧・盾・兜の4種類があるが、盾と兜はロト3部作(1~3)においてはドラクエ2にしか登場しない。

 このロト装備はドラクエ3のエンディングにおいて、「ゾーマ撃破時の勇者の装備」であることがクリアメッセージより判明した。

画像1
ドラクエ3クリアメッセージより

 よって、どんな装備品であってもロト装備になりえるのだが、一応勇者専用の伝説級装備品として「王者の剣」「勇者の盾」「光の鎧」が存在しグラフィックも同じ(なぜかリメイク版ではデザインに変更が加えられたが)なので、剣盾鎧に関してはこられであることはほぼ異論がない。
 しかし、ロトの兜だけはこれら伝説級の装備品が存在せず、FC版では呪われていない勇者の最強装備が鉄仮面であったため、「ロトのかぶとは鉄仮面」とか、呪われてはいるが実用範囲内でより強力な「ふこうのかぶと」もありえると言われたりしていた。

 特にふこうのかぶとは、実際に形がロトの兜に似ていることと、DQ1では兜装備が存在せず、1勇者のイメージイラストでつけている兜も似通っているため「呪われているから外せないんだろう」などと冗談交じりで言われたりした。 

 また、ふこうのかぶとは「うんのよさが0になる(状態異常耐性が0になる)」というマイナス効果があり、1勇者は状態異常呪文が必中であるというのも一致していた。

画像2
左:不幸の兜 右:ロトの兜
特徴的な角や尻尾に色や形も似通っている

  開発側もこの突込みが非常に多かったことを気にしていたのか、リメイク版では新たに勇者専用の兜として「オルテガの兜」を用意したが、これが絶妙にロトの兜に似ていないし、鉄仮面よりは強いものの、より強い店売り品としてグレートヘルムが存在するため、回答になっているようでなっていないという謎の追加であった。

画像3
絶妙に似ていないし、素材もロト装備っぽくない

 しかし、2012年にハウステンボスで開催されたドラゴンクエスト展での「冒険の書ラリーLv5:伝説の装備を見つけよ」という問題の解答が、王者の剣・光の鎧・勇者の盾・オルテガの兜であったため、公式にはロトの兜の元はオルテガの兜であることが確定したといえる。

ロトの剣は日本刀(の一種)である

 ドラクエ3の王者の剣は、過去から伝わるものはゾーマに破壊されたがオリハルコンをジパングからきた刀鍛冶に売ることで、刀鍛冶が作ってくれる。

 ジパングはその名前からも分かる通り、古代日本でかつ邪馬台国時代をテーマにした国であるが、その国の刀鍛冶から作られた王者の剣のデザインは邪馬台国時代に作られた日本銅剣がモチーフとなっている。

画像4
刀身の半ばが突起のように膨らんでいるデザイン

  このことについてプログラマーの一人である中村光一は「ドラクエ3知られざる伝説」の開発者インタビューにおいて「最強の武器が日本人(ジパング人)によって作られた日本刀っていうのに感動します」という趣旨のコメントを残しており、少なくともスタッフ間においては「王者の剣は日本刀」という認識があったようである。

画像5
「ドラクエ3知られざる伝説」より

 ちなみに日本刀と言えば、反りのある片刃の剣を連想する人がほとんどであると思うが、あのようなデザインの日本刀は実は10世紀に開発されたもので意外と遅い登場である。

 それ以前の日本の刀は両刃の直刀であり、実際に三種の神器である草薙の剣(天叢雲剣)も両刃刀だった。

 また、ロトシリーズ最古として位置づけられているドラクエ11においては、ロトの剣と同様のデザインである「勇者のつるぎ」という武器がある。
 こちらは製作者こそ勇者一行であるが、日本をテーマにした「ホムラの里」でしか作ることができないので、やはり日本の刀であることをイメージしていることが分かる。

なぜドラクエ2のロトの剣は弱いのか

 ドラクエ1のロトの剣と(FC版)3の王者の剣は、勇者の最強装備として君臨していたが、ドラクエ2のロトの剣は単なる中堅武器になってしまい、ドラゴンキラーやひかりのつるぎといった店売り武器の後塵を拝する性能になってしまっている。
 この理由については偽物説歴史の進歩より他の武器が強まった説などがあるが、一番信憑性が高いと思われるのが経年劣化してしまったせいであると思われる。

 伝説の武器がそんなに容易く劣化するものなのか?と思われるかもしれないが、ロトの剣はいわゆる「神々の武器」などではなく人間の手によって作られた武器である。

 そもそもゾーマによって破壊されていることから完全無欠の剣ではないことは証明されているし、DQ11においては時のオーブ破壊時に破損している。

 またドラクエ6における伝説の武器「ラミアスの剣」は登場から既に錆びているので、堀井雄二自身も「伝説の武器だって錆びて当然だよ」という思考であることが分かる。

画像6
伝説の装備ラミアスの剣は「さびたつるぎ」として手に入る

 さらに3DS版ドラクエ8では、この経年劣化説を強力に後押しする「いにしえのロトの剣」が実装された。

画像7
早期購入特典で入手可能。強そうに見えるが攻撃力は20しかない。

 これは、デザインはそのまま「錆びたロトの剣」であり、攻撃力は序盤武器に毛が生えたレベルの弱さであった(錬金することで「ロトの剣」に戻せるが)。

 ドラクエ8は3とは別世界なのでファンサービス要素が強いのだが、ロトの剣が劣化する材質なのは間違いないようだ。

 ちなみに偽物説の根拠については、リメイク版ドラクエ3において「カンダタにロトの剣の偽物を売りつけられた若者」が登場することがあげられるが、1では鋼の剣より圧倒的に強い性能であり、2では入手場所が竜王の城の奥深くにあるなど、やや苦しいか。

ロトの紋章は「風の谷のナウシカ」の服の模様を参考にしたという説

 この説は界隈ではかなり有名で、基本主軸として「鳥山明はナウシカの大ファンで14回も映画を見た。その影響でドラクエ2が初出であるロトの紋章はナウシカの紋章をモチーフにしている」という話がある。

画像8
ロトの紋章とナウシカの紋章の比較
ナウシカもモチーフは不明で鳥であるとも亀であるとも言われている

 しかし、実はこの説は裏付けとなる資料が一切確認できていない。

 もちろん、風の谷のナウシカは当時のオタク業界に多大な影響を与えたことは有名であり、堀井雄二や鳥山明が視聴している可能性自体は非常に高いし、紋章だけではなくゴーグルのデザインも酷似しているため、必ずしもデマだとは言い切れないのだが、根拠が一切ないのもまた事実である(もし根拠となる資料があれば切実に知りたい)。

画像9

ゴーグルの比較。また服も色合いや雰囲気が似ている。
ただし、ナウシカのゴーグルはヘルメットとの一体型であるという違いがある

 ちなみに、モチーフ以前に「鳥山明がナウシカのファンである」という話自体もソースがない

 なお、公式にはロトの紋章のデザインについてはスタッフの一人である中村光一が「鳥をモチーフにしているようだ。鳥山明の”トリ”ではないかという説もある」と述べているのみではっきりとしない。

 小説版やゲームブック版では「ラーミア(不死鳥)の紋章」と書かれているものがあるが、小説版はオリジナル設定が多く参考にならないこと、DQ2ではラーミアが登場しないことから初出の想定ではありえないこと、DQ11ではケトスは鯨であり鳥ではないが、この時点でロトの紋章は登場していることから、こちらも微妙になってきている。

本ブログは酒カスが与太話を繰り広げるブログです
主な更新情報はTwitterで行っておりますのでよければそちらのフォローもお願いします。

  • URLをコピーしました!