今回はダークソウル2(以下「DS2」とする)における根源的な世界設定について話をしていきたい。
この根源的な世界設定については、決して私が先駆者であるとかそういう類のことは決してなく、「何となく」の違和感を感じている方はいたが、これらを総括して考察する記事を今のところ見たことがないので、それを行ってみようという試みである。
まず、DS2はシリーズの中でも独特の雰囲気を醸し出している
これはDS2はディレクターが宮崎氏ではないことと、他作においては緻密に組み立てられていたエリア間の繋がりが大雑把になってしまっていること、作品の雰囲気が異なることからファンからも黒歴史的な扱いにされていることなどが理由に挙げられるだろうか。
しかし、個人的にはこの作品は決して嫌いな作品ではないし、このエリア間の繋がりがグチャグチャになってしまっていることも含めての一つの考察ができたのでここに記すことにする。
なお当然のことであるが、これはあくまで一個人の考察であり今回の記事においてもいくつかの飛躍や不明のままの事柄も残っているがそのあたりは容赦していただきたい。
ただし、できるだけ考察の根拠となる部分は明確に開示して語るつもりである。
さてまず最初に結論を書いて、なぜその考えに至ったのか?ということについて述べていきたいと思う。
ダークソウル2=記憶世界説
DS2の世界は記憶に基づいて作られた、1・3とは異なる異空間「記憶世界」である。
要するに作中において「巨人ワムダの記憶」や「王の記憶」が存在したように「故国ドラングレイグの記憶」がDS2の世界設定であるということだ。
イメージとしては1と3に存在した「絵画世界」に近い。
あれをとてつもなく大きなスケールにしたと考えればよい。
(巨人の記憶では時間制限があるが「ドラングレイグ」では時間制限がないことについては後述する)
そもそもこの考えに至った理由として、この説以外に「土の塔問題」と「シリーズ時系列問題」と「ドラングレイグ滅亡問題」を解決できないということにある。
土の塔問題とは?
「土の塔問題」とは、土の塔というエリアからエレベーターで上に上昇していくと溶岩で沈んだ城に到着するというエリアの繋がりの矛盾のことである。
このことについて、ダークソウル2デザインワークスでようてつ熔鉄城はカルデラ台地であるという回答があり、確かにその形状であれば上に登って城に着くという構造自体はおかしいというわけではない。
しかし、実際にゲーム内で土の塔を実際に見てみると、そもそも土の塔には「その上」が存在しないので、それ以前の問題であろう。
「シリーズ時系列問題」とは?
ダークソウル2のストーリーにおいて大きく批判があるのが、時系列についてグダグダになっているかのように見受けられるものがあるということだ。
一つ例を挙げるならば、「獅子の指輪」のように、「2で伝承が途絶えたにも関わらず、3で伝承が復活する」というパターンが異様に多いのである。
実は時系列が1>3>2ではないかと考えたこともあったのだが、そうするとDS3において、2主人公の公式装備であるファーナム一式が「絶望を焚べる者」の名前で伝わっていることや、「ルカのミカティエル」が2主人公に対して「私の名前を忘れないでくれ」という約束が装備に反映されていることに説明がつかない。つまり(基本的に)時系列は1>2>3である。
戦神の名を冠した鎧
フォローザ獅子騎士団の甲冑は
祖国が滅んだ後も失われず
幾つかの伝承にその姿が語られている
絶望を焚べる者の名と共に
―――ファーナムの鎧(DS3)
典礼用の帽子に取り付けられた仮面
かつてある亡者がこれを付け戦い
終に自らを忘れるときに
友にその名の記憶を願ったという
故に翁の仮面は、しかし女の名で呼ばれている
―――ルカティエルのマスク(DS3)
装備品だけではなく国であっても同様の扱いであり、例えば人気の高い「カタリナ」は1のジークマイヤー、3のジークバルトともにプレイヤーに強い印象を残している。
しかし、そのカタリナ装備が2では滅びた伝説の中の装備品のような扱いになっているのである。
もちろん3において、特に亡国になったような説明はない。
玉ねぎのような独特の形状の兜
一見するとユーモラスに見えるそれは
曲面を多用した構造により
物理攻撃を巧みに受け流す合理性を備えている
昔話に残るカタリナの騎士たちは
この兜を身につけ、勇敢に戦い続けたという
―――カタリナヘルム(DS2)
つまり、ダークソウル2は1と3の間に位置する歴史であるが、同時に幾つかの国の伝承がこの間のみ失われていた(そして復活した)という設定になっている。
もちろんダークソウルの世界は時空が歪んでいるので、1作品に様々な時間軸が存在しているのだが、それはあくまでの1つの作品の中での話であり、ナンバリング自体が異なる際は順列を付けられるものとしている
ドラングレイグ滅亡問題とは?
まずは改めて2のオープニングを見てみよう。
お前さんも夢に見たことがないかい
あの失われた地のことをさ
(略)
遥か北の地 貴壁の先
かつて偉大な王の名のもとに築かれた、古の国
その時の名は確か、”ドラングレイグ”といったね
もう知ってるはずだよ
主人公はいずれ人ではなく亡者と化してしまう”刻印”(ダークリング)が現れ、謎の老婆にかつてドラングレイグと呼ばれた場所には人の理を呼び戻せる力があると、甘言を囁かれて導かれた。
しかし、実際にこの地に到着してみると「失われた地」「その時の名はドラングレイグ」と言われているにも関わらず、ドラングレイグの名は残っているし、城を守る衛兵すら闊歩しているなど、明らかに奇妙な点があることが分かる。
またゲーム終盤で重要アイテム「王の指輪」手に入れた主人公は、ドラングレイグの王妃デュナシャンドラにこう告げられる。
いまここに、ドラングレイグは滅びました
「いまここに」ということは当然それまでは滅びていなかったのである。
王城も健在で、騎士団もおり、王も王妃もいたのだから、むしろこれを滅びていると表現するほうがおかしいのだろうが・・・
「記憶世界説」の概要について
これらの疑問を解決するのがこの「記憶世界説」になる。
まず、この世界は人々の記憶により形作られているため、実際のエリア間の繋がりは大きな問題でない。
むしろ各エリアは基本的に独立しているものである。
何者かの記憶で「溶鉄城は山の上にあった」という事実さえあれば、それで良いわけで実際に土の塔と繋がっていたというわけではないのだろう。
各エリアの繋がりがちぐはぐに見えるのは実際にちぐはぐ……本来繋がっていなかったエリアを無理やりに繋げているだけに過ぎないからである。
さて2つ目の疑問である「途切れた伝承」の話であるが、これも記憶世界であれば解決する。
この記憶世界は真の世界からは完全に独立していたので、ここより失われている世界は「この世界においては」本当に滅んでいるのである。よって2の世界に実際にカタリナは存在しない(しかし真の世界で失われていたわけではないので、DS3では普通に存続している)。
そしてこの記憶世界は最終的に破綻して崩壊するわけであるが、破綻したことによりそこであった出来事は真の世界に雪崩れ込むことになる。
これにより記憶世界にあった出来事は3の世界においても失われることなく存続したのである。
破綻したのならば、そもそも消滅してしまうのではないか?と思われるかもしれないが、ゲーム内での記憶世界で入手したアイテムは「外」に持ち出すことが実際にできているので、それはない。
なお、たまに見受けられる「夢の世界説」では2の世界の伝承が3以降にも継続していること、2世界発祥のアイテムが3に登場していることについての説明ができない。
2は異世界ではあるが、確かに存在していた世界でなければならないのである。
「記憶世界説」の根拠について
さて、これにより2の大きな矛盾と言われてきた問題が解決するわけであるが、さりとて「それは一体何の根拠の話があるんだ」と言われるのは必然であろう。
これからはこの話の根拠についての話に移っていく。
まず、ゲームのオープニングシーンではプレイヤーが謎の老婆に誘われて、湖の中に飛び込むことで『ドラングレイグ』に到達する。
この湖はダークソウル2デザインワークスにアートが掲載されているのだが、これを見ると湖の中が異界であることが一目瞭然となっている。
これについては絵画スタッフもコメントを残しており、世界観に関わるものであるためか正解を濁してはいるものの、この世界とは異なるものであることを証言している。
では、そもそも記憶世界を作ったのは誰なのか?
それはやはりアン・ディールしかいない。彼の非人道な実験の痕跡は各地に残っており、彼が何を目指していたのかも朧げながらも理解できるようになっている。
まず彼は原罪の探究者の肩書で作中に登場する。
原罪とはキリスト教における用語で、「人が生まれながらに背負う罪」のことであり神の禁じた知恵の実を蛇に唆されて食べてしまったことを指している。
この原罪は英語では「orignal sin」と綴るのだが、ダークソウルの原罪は「First sin」と綴っており、キリスト教の原罪とは似て非なるのものであることを現している。
では、ダークソウル界での原罪……最初の罪とは何なのだろうか。
それはやはり人が生まれながらに背負っているもの、「闇」であろう。
アン・ディールは人は本質的に「闇」を抱いており、やがては亡者になる因果であることを知った。
そこで、彼はその因果を超える手段の一つとして「最初の火から切り離された異世界」を作り出そうとしたのだろう。
ゲーム内に登場する鏡の騎士の持つ盾は「王の鏡」と呼ばれる鏡であり、これは異世界に繋がっていたと説明されている
鏡の騎士のソウルから生み出された大盾
スペルを反射する効果を持つ
かつて王城にあった大鏡は
異世界へとつながる入口であったという
―――王の鏡
そして伝承通りこの鏡は異世界に通じており、他世界の霊体を呼び出すことが可能になっている。
この王の鏡はアン・ディールの研究対象の一つであった。
アン・ディールの館2階には、この鏡が幾つも並べられている。
アン・ディールはこの王の鏡が異世界に通じる扉であることを知り、「記憶世界」の構築に挑んだのだ。
さて、この記憶世界を作り上げるうえでもう一つ重要なものがある。
それが「光蟲」である
光を放つ小さな蟲
不死廟に至るまでの水場に生息し死者を慰めると言われている
死にかけのものはより強い光を放ちそれを丸飲みすることで
ひとときの間、大いなる力を得られる
行き場を失った冒険者の最後の手段
ただし他の世界や霊体に対しては効果を持たない
———光蟲
この光蟲はアマナの祭壇に生息しているキラキラと光る蛍のような虫のことだ。
この光蟲が登場するのはアマナの祭壇だけではない。
プレイヤーはゲーム終盤で「灰の霧の核」というアイテムを入手する。
古竜から与えられた灰の霧が形を持ったもの
滅びた者たちの記憶を覗くことができる
それは古竜の神秘によってこそなせる業である
―――灰の霧の核
これは「巨人の樹」で使用することで、「巨人の記憶の世界」と呼ばれる過去世界へ入り込むことができるのだが、この巨人の樹周辺には光蟲が舞っている。
また同じように不死廟最奥に鎮座したヴァングラッド王の遺骸にもこの光蟲が舞っており、同じように過去の記憶にアクセスできるのである。
ここで改めてDS2のオープニングを再確認したい。
プレイヤーが謎の老婆の声に従いたどり着いた場所では黄色く光る虫で溢れかえっており、その虫が集まっている暗黒の渦に飲み込まれて、失われたはずのドラングレイグの地にたどり着くのである。
さて、ではこの光蟲はどのような役割を果たしているのであろうか。
この光蟲はミルファニトによると“大いなる死者”から生まれたものであるという。
その効果は、攻防力を高める代わりに召喚が不可能になる。
つまりこの蟲の真価とは「他世界との境界を明確に区切る」というところにあるのだ。
なぜ大いなる死者、即ち死を司る神ニトから生まれた光蟲がこのような性質を持っているのかというと、神話においては死を司る神の役割とは生者と死者の境界を明確に区切ることにあるからであろう(死を明確にしなければゾンビが生まれてしまう)。
アン・ディールはこの蟲の性質を利用して、「ドラングレイグの記憶世界」を「はじまりの火に支配された現実世界」から切り離したのである。
ダークソウル2が独立した世界観を持つのは、それが現実世界から切り離された世界だからである。
はじまりの篝火
さて、当然巨大な記憶世界を作るにはそれ相応のエネルギーが必要になる。
そのためにアン・ディールが利用したのがかつて世界に君臨した偉大なる神々の力である。
端的に言うと「グウィン・シース・ニト・イザリス」になる。
篝火2以上で4つのソウルの主を撃破すると、
・古き王のソウル
・古き白竜のソウル
・古き死者のソウル
・古き魔女のソウル
を追加で入手できる
これらはドラングレイグにおいて「4つのソウル」と名付けられ、世界の礎となった。
なぜ、これらが礎になったと分かるのかというと、この4つのソウルの持ち主たちの在処を進んだ先にある篝火の名前は「はじまりの篝火」なのである。
つまり、この4つの礎からこの「記憶世界」が作り出され、最終地点であるマデューラに到達することになる。
ダークソウル2は終点から始まる物語でもあった。
記憶世界の破綻
このようにしてアン・ディールは「ドラングレイグの記憶世界」を作り上げた。
しかし最終的にはこの記憶世界は失敗に終わる。
ゲーム内で侵入できる記憶世界には時間制限が設けられている。
真の世界が維持エネルギーとして「火」を必要したように、記憶世界にも維持エネルギーが必要なのである。
「ドラングレイグの記憶」に(一見)時間制限がない様に見受けられるのは、代わりとなる「維持エネルギー」を提供しているからである。
さて、では「ドラングレイグの記憶」を維持するために必要なものは何だったのか。
「火」がテーマの世界で「火」が維持エネルギーであったように、「記憶」がテーマの世界ではやはり「記憶」が維持エネルギーなのであろう。
その証拠にダークソウル2の世界では住民の記憶が少しずつ失われていくようになっている。
そう考えるとオープニングの老婆の役割も理解できてくる。
要するに彼女は甘言を弄して、この世界を維持するための記憶エネルギーを持つ生贄をこちらに連れてくる役目を持っていたのだ。
要するにいつものダークソウルなのであった。
そもそも、DS2が異世界であり更に記憶をテーマとしているのはゲーム開始時の演出から分かるようになっている。
まず隙間の洞に降り立ち、3人の老婆の元へ訪れるがこの時に名前を思い出すように言われる。
また、ゲーム開始時のプレイヤーの姿は本来の姿ではなく仮初のものでしかない。
退役の火防女たちに“人の像”を与えられることにより、ようやく自分の本当の姿を思い出せる(キャラメイクが始まる)という演出になっている。
このイベントを経て手に入るトロフィーが「失われた記憶」の名称となっているとおり、ドラングレイグの地に降り立ったプレイヤーは、既にほとんどの記憶を失っており自らの姿形すら覚えていない状態になっていたことを示唆している。
また退役の火防女たちに仕える家政婦ミリべスは、ドラングレイグの外を「外界」と表現することで、ここが現実世界と記憶世界を繋ぐ特異点であることを教えてくれている。
しかし、このような試みは結局のところ単なる時間稼ぎにしか過ぎない。
記憶世界の破綻は必然だったのである。
「人の像」とはなんなのか
さて、ここで人の像の話が出たので、これが一体何なのかという考察をしたい。
人の像は過去作における「人間性」と同じような効果を持っており、亡者から生者に戻ることができる。
あたたかく柔らかで、影のように暗い色の像
使用すると亡者から生者に戻る
また、篝火に投げ込むと
しばらくの間、他者の世界との繋がりが薄くなり
侵入や協力が制限される
この像をじっと見ていると、人の姿が浮かんでくる
その姿は、見る者によって違っているという
———人の像
この人の像は胸元に黒い渦巻が表現されており、これはプレイヤーのダークリングの形と酷似している。
じっと見ると浮かんでくる人の姿とは、要するにその人の本来の姿ということであろう。
つまり、この人の像の本質とは「記憶の塊」なのである。
これを使用することで「人としての記憶」を取り戻して亡者から生者に復活することができる(隙間の洞で退役の火防女からそうされたように)。
そう考えると、この人の像を篝火に「くべる」と他世界との繋がりが薄くなるというのも分かってくる。
篝火はエリアごとに区切られており、いわばそのエリアを統治する存在である。
しかし、ダークソウルシリーズは他世界との境界が曖昧になっている(ぼやけている)ため、他世界からの侵入を受け付けてしまうことになる。
その篝火に「記憶の塊」である人の像をくべるということは、その曖昧だった境界の記憶を明確にすることになる。
だから、人の像は他世界からの侵入を防ぐ力があるのだ。
さて、この人の像がどこから来たのかというと、恐らくだが、この人の像はこの「記憶世界」を維持するための力が形になったものであると思われる。
自分に使うことで、「人としての記憶」を取り戻し、世界に使うことで「世界の記憶」を維持することができる(ゲーム的には自分にしか使えないが)。
今作では他世界からの侵入者(闇霊)を撃破すると、必ず人の像をドロップするようになっているが、これもオープニングにおいて謎の老婆がそうしているように外部者を生贄として記憶の維持をするという行動と合致する。
さて記憶世界が光蟲の「世界を区切る力」により切り離されているのならば、どうやって外からこちらに入ることができたのか。
世界を区切る力に干渉されず、記憶の世界を自由に行き来できるようになるアイテムが一つだけ用意されている。
それが「灰の霧の核」である。
古竜から与えられた灰の霧が形を持ったもの
滅びた者たちの記憶を覗くことができる
それは古竜の神秘によってこそなせる業である
―――灰の霧の核
世界に差異が生まれる前から存在していた竜の力には、差異(区切り)を無視する力が秘められていた。
灰の霧の核
この灰の霧の核を渡してくれるのはアン・ディールが作り上げた「古の竜」である。
アン・ディールは様々な竜を作る実験をしていた。
結果的には彼が望む真の竜を生み出すことはできなかった(古の竜はまがい物に過ぎない)が、それに準ずる力まで成功していたのだ。
さて、この記憶世界説には一つ疑問点がある。
それはどうやってオープニングで主人公がこの世界に立ち入ることができたのかということである。
なるほど確かに光蟲によりドレングレイグの記憶の扉が維持されていた。
しかし、その記憶を超えるには「灰の霧の核」が必要なはずだ。
当然、ゲーム開始前のプレイヤーがたまたま現実世界で灰の霧の核を持っていた・・・などというあまりに都合のいいことはないだろう。
しかし、この疑問は簡単に解決する。
何故ならば、プレイヤーは竜の力を持つ老婆に導かれてこの地に来たからである。
オープニングの老婆の語り手はどのシリーズにも登場するため、ただの「語り手」以上の意味を考えなかった人が多いのではないだろうか。
実はそれが盲点なのである。
実はこの語り手はシリーズで唯一ゲーム内で言及がある。
呪いをまとうお方
因果を乗り越える力を持った不死を、私はここで待ち続けていました
私を解き放ってくれる方を
呪いをまとうお方
我が分身によってこの地に導かれたお方
古より在りし竜は世界を傍観し続けています
―――「護り竜の巣」においての緑衣の巡礼との会話より
そう、この老婆は緑衣の巡礼の分身なのだ。
そして緑衣の巡礼は竜の子である。
つまり、この老婆も竜の子である。
プレイヤーが灰の霧の核なしで「ドラングレイグ」に入ることができたのは、この老婆が灰の霧の核と同種の竜の力を持っていたからに他ならない。
総評
長くなってしまったので、この世界の成り立ちをまとめてみようと思う。
アン・ディールは火が陰り人が亡者となる因果を越える方法を探していたが、この世界では達成不可能であると悟った。
そのため、様々な非人道的な研究を行った結果、「人々の記憶から生み出された異世界」を作り、世界から切り離すことで因果を超えようとした。
しかし、これは失敗してしまった。
真の世界が維持エネルギーとして「火」を必要したように、記憶世界は維持エネルギーに「記憶」が必要であり、住民の記憶が少しずつ失われていくことが判明したため、破綻が目に見えていた。
そこでまずアン・ディールは更に因果を超える手段として「竜の子」の製造に着手する。
竜の子は最終的に二人作られ、一人はまずこの世界を維持するために甘言を弄して呼びつけた生贄を門に入れるための番人とした。
(記憶世界は外界から閉じられているため出入りするためには竜の力を必要とする)
もう一人である緑衣の巡礼の期待された目的については別途記事を作成しているので参照願いたい↓↓
しかし、シャナロットもまた因果を超えられず、アン・ディールの計画は失敗に終わったのであった。
だが、その破綻しかけているこのドラングレイグに、また新しい生贄が到着した。
そのものの名は・・・