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【原神考察】謎境一騎と惟神晴之介の物語

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*この考察は、2021年11月時点の情報を元にネタバレや個人の見解、を含んでいます。今後の実装次第で公式と大きく異なる考察となる可能性がありますのでご了承ください。

今回はVer2.2でのイベント「謎境一騎」でスポットを当てられた、稲妻の陰陽師である惟神晴之介の物語です。

「謎境一騎」では、旅人は九条沙羅の依頼で、突如として荒海に出現した秘境から溢れ出る魔物の発生を止めるために、辛炎とともに行動することになります。

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旅人たちが秘境の前で発生した魔物たちを撃破すると、不思議な「紙」を見つけました。

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その「紙」の正体は陰陽術によって作られた式神の一種で「式大将」と名乗ります。彼は、この秘境——訣籙陰陽寮(けつろくおんようりょう)——の管理者であり、この秘境とともに眠りについていたものの、何らかの理由でこの秘境が目覚めて暴走状態になってしまったとのことでした。

式大将は記憶の大部分を失っており、彼の記憶の復活と陰陽寮の封印のために旅人たちはこの秘境に挑むことになりますが、そもそもこの謎の秘境はいったい何のために作られたのでしょうか。

惟神晴之介の生涯①少年時代

旅人たちが秘境を攻略していくと、記憶を取り戻した式大将から、この秘境は「惟神晴之介」という陰陽師に作られたものが判明します。

この陰陽術師・惟神晴之介は稲妻が実装されたVer2.0で既に登場していました。

稲妻を旅する中で旅人は、紺田村の祠の前で狐の面をつけた巫女の「花散里」と出会い、彼女から神櫻の穢れを祓うことを依頼されます。

その任務の途中で旅人は過去の記憶に触れることになるのですが、そこに登場する「謎の男性」が惟神晴之介その人でした。

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過去の記憶——そう、彼は約500年前——かつて稲妻全土を揺るがした「漆黒の軍隊」が襲来した時代に生きていた人物です。

この時、惟神晴之介は天狗の法術を習っていた一人の少年でした。

漆黒の軍隊が襲来するしばらく前の時期に、影向山の天狗に法術を習う三人の人間がいました。
惟神晴之介、御輿長正、そして……浅瀬響

この3人は影向役者三人組と呼ばれることになります。

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そして、この影向山には天狗以外にもう一種の人外が住んでいました。頂上に鎮座する鳴神大社の主であるの一族です。

3人の師匠である影向天狗と狐斎宮は仲が良かったため、この時惟神晴之介は狐斎宮と知り合ったのでしょう。

そして具体的な記述はありませんが、後述する諸々の状況から惟神晴之介は狐斎宮に好意を抱いていたと考えられます。

しかし、この平和な日常は長くは続きませんでした。
漆黒の軍隊が稲妻に襲来します。

多くの人々が国を守るために戦いに臨み、そして散って行きました。

この時、惟神晴之介は法術を学んだとて、まだ少年であり戦いに赴くことができず、荒海の地下遺跡で浅瀬響とともに雷の結界に守られ戦闘から逃れます。

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高嶺のことを「おじさん」と言っていることから年の差があることが分かる

いつしか戦いは終わりを告げますが、その戦過は夥しく数多の命が犠牲となりました。

そして・・・晴之介の想い人であり数多くの人々に慕われた狐斎宮はこの戦いで闇に飲まれて消え去ったのです。

想う人ができて、想わずにはいられない人を失っても、時は待ってくれない。
狐様の白い姿が漆黒の深淵へ静かに沈んでいく様は、巫女の夢に深く刻み込まれたまま。
大天狗様も、守れなかった自責の念で、光代を一人残して、自分を追放した。
晴之介も悲しみの余り国を出て、長正は御輿の汚名を濯ぐために幕府に入った。
   ―——憶念の矢(聖遺物物語)

彼女の死は晴之介に抑えきれないほどの悲しみを与えます。
そして彼はより強大な仙術を学ぶために稲妻を出奔し、璃月に渡りました。

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璃月に渡っている間の彼の記録は今のところ残っていません。
璃月の法師といえば、重雲が連想されますが今のところ重雲の一族と晴之介の繋がりは特に出てきていません。

また修行先は璃月の「仙人」とされていますが、これもどの仙人の元で修行したかは不明です。

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惟神晴之介の生涯②再びの帰国

璃月で術を学び、式神を独自に進化させた陰陽術「式大将」を編み出した晴之介は稲妻に帰国します。

そして幕府に仕えた彼は、紺田村周辺でいたずらをする狸の五百蔵を封印するために鎮守の森に派遣されます。

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その道中で彼は「花散里」と出会うと、その身に纏う雰囲気から一瞬彼女を狐斎宮と勘違いしてしまいます。

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何故なら、花散里の正体は狐斎宮の記憶の残滓だったからです。

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しかし、そこは陰陽術に長けた晴之介ですので、彼女の真の正体をすぐに見抜きます。

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晴之介は彼女の本質が「穢れ」であると察しましたが、人に害を成すものではないと判断して彼女を見逃しました。

そして、本来の目的であった鎮守の森の妖狸・五百蔵のもとに出向くと、彼を懲らしめるために石像に封印してします。

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そして、自分の式神に「鎮め物」の封印を任せて、この地を去りました。

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神社にいた幽霊のような人影は、晴之介の式神

訣籙陰陽寮の設立

その後、晴之介は稲妻を守るためにある施設を製作します。
それが今回のイベントで登場した訣籙陰陽寮です。

漆黒の軍隊が襲来した当時、幾ばくかの天狗術を学んだとはいえ晴之介は少年であり、戦うことなく荒海の地下遺跡に避難しています。
大事な人を失った戦いに参加できなかった晴之介の胸には、自分自身への怒りと後悔しかなかったのでしょう。
そして、璃月で仙術を納めた晴之介は稲妻に帰還します。
そして幕府に仕えた彼は未だに各地に漆黒の軍隊の残党が残っていることを知りました。

僕はまだあの乱れた光景を思い出せる…
刀がぶつかり合い、弓が震え、武人たちの怒涛と魔物の唸り声が混じり合うあの光景。
僕はこの地で数えきれないほどの月日を過ごし、すべての戦いを目撃してきたはずだ。
   ―——式大将の拓本・其の一

壮年となり力を手に入れた晴之介は何もできなかった無力な子どもではありません。彼は自分自身の命を削り、この陰陽寮を作り出します。

僕は晴之介に同行して多くの土地を巡り、多くの悪を祓った。
その間、晴之介は符術に対する理解を深め、「式神を武人に補佐させ、邪悪と祓う」という巧妙な考えが生まれた。
彼は様々な武人に呼びかけ、「訣篆陰陽寮」を作り、自分だけの「守護の道」を模索した。
この秘境を創り出した大いなる符術は彼の独創であり、彼の体に大きな負担をかけた
この「訣篆陰陽寮」は、彼の命の結晶と言っても過言ではない。
   ―——式大将の拓本・其の四

陰陽寮の正体は、術によって作り出された怪物のコピー(鏡の魔物)と武士が戦うことで敵の行動や弱点を把握して本番の戦いを有利に進められるという訓練施設だったのです。

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またこの時に自らの式神を武士に与えて、更に符術を組み合わせることで戦闘能力が飛躍的に高まることを発見しました。

訓練と技術の合わせ技でもって鍛えられた武士は稲妻から魔物たちを駆逐していきます。

しかし、戦いの日々は唐突に終わりました。
ある日に突然、雷電将軍がその人智を超えた武力でもって、漆黒の軍隊の残党を一掃してしまったのです

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これにより稲妻は平穏を取り戻しますが、それは同時に戦うものたちの存在意義を奪うことにもなります。
晴之介はそれでも陰陽寮を維持しようとしましたが、式大将に諭されてこの施設の閉鎖を決断しました。

その友人が大切にしていたものを守る勢力は、僕たちだけではない。
事態を収束させた神もそう願っていて、他にも多くの名の無き有志者がいる。 その目標に向かって心血を注いだのなら、形式や過程にこだわる必要はあるのか? 今の結末が一番妥当なものなのかもしれない。
晴之介は安らかな気持ちで旅立ち、夜風のように遠くへと飛んだ
   ―——式大将の拓本・其の五

陰陽寮は式大将とともに封印されて眠りにつき、晴之介は光に包まれて消えてしまいました。
この演出に関しては、いくつか解釈が考えられますが、以降表舞台に立つことはなく人知れず姿を消したことなども考えると、個人的には晴之介は陰陽寮の製作と維持に自分の生命力のほとんどを使い切ってしまい、あの場にいたのは残留思念に近かったのではないかと思っています。

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現在においては、惟神の術は後継が途絶えています。
どの時点で途絶えしまったかまでは分かりませんが、後述の「彼女」の存在を考えると生涯独身であったと考える方が自然ではないかと思います。

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性格

謎境一騎のイベントでは村民や武士に慕われており、落ち着いた大人の雰囲気を持っていますが生来の性格はどちらかというとひょうきんだったようです。

狐斎宮の記憶を持つ花散里からは(いたずら好きの)狸の五百蔵とあまり変わらないなどと言われていたり、当の五百蔵を石に封印する際にも「いい感じの格好を取れば、観光名所になれるだろう」などと発言しています。

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幼い頃の悲しみが、彼の性格に大きな傷を与えてしまったことは十分に想像できますね……。

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「彼女」とは誰なのか?

謎境一騎のイベント内では繰り返し、晴之介が「彼女」のことを気にかけている様子が描写されていますが、具体的にこの「彼女」が誰なのかという回答はありませんでした。
この「彼女」とは一体誰なのでしょうか?

これに関しては次のことが分かっています。

・「友人」と呼んでいる。
もう戻ってくることはないことには本当は気がついていたが、認めなくなかった。
・「漆黒の軍隊」が襲来したときに亡くなった。

結論から言うと、この彼女とは「狐斎宮」のことだと思われます。

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そもそも晴之介が稲妻を出奔し、璃月に渡って術を磨いた理由は、漆黒の軍隊との戦いの際に起きた狐斎宮の訃報が原因でした。

狐様の白い姿が漆黒の深淵へ静かに沈んでいく様は、巫女の夢に深く刻み込まれたまま。
晴之介も悲しみの余り国を出て、長正は御輿の汚名を濯ぐために幕府に入った。
   ―——憶念の矢(聖遺物物語)

また狐斎宮の残滓である花散里に出会った晴之介は最後に「もう会えないと思っていた友人」と話していました。
性格には花散里は狐斎宮本人ではないのですが、記憶を受け継いだ一部でもあるためそのように表現したのでしょう。

なお、狐斎宮は物理的に殺されたわけではなく「漆黒の深淵」に呑まれてしまい行方不明(実質死亡)という扱いになっています。
鍛造武器「白辰の輪」には闇に呑まれていく狐斎宮の独白が刻まれており、そこには狐斎宮が漆黒の意思に「侵食」されていく様子が説明されています。

「だから、私を蝕む漆黒の意思よ」
「私にはもう力がない」
「この白辰の血をお好きにどうぞ」
「ただ、願いを聞いてはくれないかもしれないけれど」
「もし叶うのならば……」
    ―——白辰の輪(武器物語)

死体が残った形ではないようなので、その「死」を晴之介が受け入れられなかったのは仕方がないことなのかもしれません。

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第三の言霊=「油揚げ、早く来い」は狐斎宮の口癖。
彼が狐斎宮の死を認めていなかったことが分かる。

式大将の回想の中で晴之介は煙管を持っていますが、これは狐斎宮が持っていた煙管と同じ形のもので、自分が吸いもしないにも関わらず、「友人」が持っていたものを模して自分で作ったものでした。

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僕と二人きりになると、晴之介はたまに長い煙管を真面目に観察し、普段の穏やかな感じを見せなくなる。
その煙管は彼が暇つぶしに自ら製作した物。しかし明らかに彼はそのような器物を使わない
恐らく、晴之介は待っているのだろう、とある友人を・・・
   ―——式大将の拓本・其の三

*たまにこの煙管を狐斎宮の形見と勘違いしている人もいますか、本物の形見は浅瀬響が受け継いでいます。

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しかし、漆黒の軍隊の脅威も消え、式大将に諭された晴之介は、ついに彼女の死を認めます。

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「彼女」が戻ってこないことを認めた晴之介は、この煙管を手放しますが、この演出はこれまで狐斎宮にこだわり続けていた彼が、その死を受け入れて彼女から「卒業」することを選択して手放したのではないかと個人的に解釈しています。

しかし、浅瀬響の想い人である高嶺が漆黒の意思に呑まれながらも「帰って」きた実例や、神輿千代が「虎千代」となり将軍を襲ったことなどを考えると、もしかすると今後完全に闇落ちした狐斎宮が「帰って」くる可能性もあるかもしれません……。

漆黒の穢れが大地に沈み、再び平穏が戻っても、剣豪は帰ってこなかった。
賭けに勝った巫女の手に、将軍から賜った銘弓があった。
その後、狐斎宮が姿を消した杜の中、約束の場所で、深淵より足を引きずりながら帰ってきた人は、若くない巫女と再会を果たす。
血の涙が乾ききった漆黒の瞳に光がさした瞬間、鈍く光る矢に射抜かれた。
   ———飛雷の鳴弦(武器物語)  

惟神の術と海乱鬼

稲妻エリアに登場する侍エネミーの海乱鬼たちは刀に炎や雷を纏わせる技を使ってきます。
神の目を持たずにこのようなことができるのは、惟神の符術を使用しているためです。

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陰陽寮の過去の記憶では、晴之介に心酔する武士だけではなく、反発し、利用してやろうと目論む武士や素性の知れない殺し屋などが混ざっているためおそらく彼らから技術が流出してしまったのでしょう。

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狐斎宮の「詩」

晴之介は、陰陽寮の最後で一つの句を呟きます。

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「朝に紅顔あって世路に誇れども、暮に白骨となって郊原に朽ちぬ」とは、日本の和漢朗詠集に登場する句で「生死の計り知れないこと、世の無常なことのたとえ」です。

何故、彼が最後にこの句を呟いたのかというと、実はこの句は「狐斎宮のカケラ」である花散里と最後に交わした言葉なのです。

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なるほど、いい言葉だ・・・

タルタリヤと陰陽寮

謎境一騎の中で、旅人はかつて戦ったファデュイ執行官の一人「公子」タルタリルヤと出会います。

当初は、何のためにこの地に来たのかを明かさないまま旅人と同行する彼ですが、実は同じ執行官の一人「散兵」のスカラマシュが「神の心」を持ったまま失踪してしまったため、その行方を追っていたのでした。

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結局この秘境にはスカラマシュの姿はありませんでしたが、500年の封印が突然この時に解けた理由は明らかにされておらず、裏で彼が暗躍していた可能性はあります。

なお、元々イベント前に実装された世界任務では、執行官の一人が失踪していたことは明かされており、状況からしてスカラマシュのことだろうと言われていましたね。

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さて、今回のイベントは惟神晴之介を中心としたストーリーでしたが、そのキーパーソンは狐斎宮でした。
彼女に関しては他にも複数のフラグが残されているので、今後も何らかの形でストーリーに関わってくると思われます。

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狐斎宮のモテモテ相関図

余談

惟神晴之介はその名前から平安時代の天才陰陽師・安倍晴明がモデルではないかと言われています。

安倍晴明は式神が得意なことで有名であり、また狐を母に持つという逸話があります。
この狐は油揚げとも繋がりがあり、何かと連想させるように設定されています(狐斎宮の好物は油揚げ)。

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