どうも、篝火文書店のはるとです。
前回の記事では層岩巨淵・地下に設置された装置の先に隠された「不思議な手紙」の解読を行いました。
今回は層岩巨淵に隠された、もう一つの謎であるテイワット古代文字(仮)で書かれた「9文字の伝言」の解説と解読を行います。
テイワット古代文字(仮)とは?
テイワット古代文字とは、ゲーム上の正式名称はなく、基本的にシャール・フィンドニールなどのかつて発展して滅びた古代文明の遺跡で発見されるものであるため、便宜上そう名付けられています。
先人の考察者の努力によりアルファベットに変換する解読方法が判明していますが、英語ではなくラテン語ベースとなっています。
そのため翻訳が非常に難しく、解読者によって意見が異なるケースも多々存在します。
よって、今回の解読もあくまで一意見に過ぎないということに留意してください。
この記事の翻訳はredditとBiliBiliの投稿をベースにして、私が個人的に再解釈したものになります。
「9文字の伝言」とは?
9文字の伝言とは、層岩巨淵の地下を探索すると見つかるテイワット古代文字(仮)で書かれた詩のことです。
他の各地に残された古代文字は上記の解読表をそのまま当てはめれば読み取ることができますが、層岩巨淵に残されたものは「暗号文」と名付けられている通り、そのままでは読むことができません。
では、どのように解読するのかというと、
・中心で上下に分割にする
・上半分は(現状では)フェイクという見方が強い。
・下半分で分割された文字を推察する。
という手順になります。
それでは具体的に暗号文を解読していきます。
文章はエリア上にバラバラに配置されており、正確な順番は不明なのですが、前述の研究では、この文章が一番最初ではないかと言われています。
さて、まず中心に線を引きます。
上半分はフェイクなので無視して、下半分の形から当てはまる古代語を探して置いていきます。
元の古代文字が分かったため、これをさらに解読表でアルファベットに変換し、ラテン語翻訳します。
すると、
ABYSSIS VIA(深淵への道)
と解読できました。
同じように他の文字を全て解読していきます。
暗号①と暗号②
最初に解読した暗号①と、暗号②を繋げて読むことで文章になります。
古代ローマの哲学者セネカは多くの著作を残しており、その中の「狂えるヘラクレス」の一説に「Non est ad astra mollis e terris via.(地上から天への道のりは容易ではない)」というものがあります。
原神では、この一部の単語を変換して使用しています。
つまり、「NON EST AD ABYSSIS VIA」で「深淵(アビス)への道はない)」という意味になります。
暗号③と暗号④
これは、イギリスのウィンチェスター大聖堂の鐘にラテン語で刻まれている詩で、イギリスの作曲家ジョナサン・ハーベイは 「Mortuos Plango、Vivos Voco」という楽曲を作成しています。
また、この日本語翻訳に関しては後述の暗号⑤及び⑥にも関係しています。
暗号⑤と暗号⑥
このエーギル(Egill)とアンナー(Agnarr)は層岩巨淵の魔神任務で戦うことになるアビスの詠唱者たちの名前です。
Egillの名に冠されている「PIVS」は「Pius」或いは「Pious」と呼び「敬虔」或いは信仰深きものを意味します。
もう一つの「IMP」に関しては二つの説があり、一つは「悪魔」のインプ――すなわち「狡猾」「裏切者アンナー」と訳す人や「imp=imperial(皇帝)」の略語であり、すなわち「皇帝アンナー」と訳す説がありますが、両方とも違います。
このimpは「Imperator(軍の大将)」の略、すなわち「軍団長アンナー」となります。
なぜこう言い切れるのかというと、この二人のアビスの詠唱者と戦う際に、ある手順踏むことで彼らの二つ名を見ることができるからです。
「生者を呼ぶ、死者を悼む」は暗号③④のラテン語翻訳と一致しているので、二つ名の接頭語も適用されるとする方が自然でしょう。
ただし、この点に関して一つ大きな謎があり、何故かエーギルとアンナーの肩書が「反転」しています。
この点に関しては、単に設定をミスしたとも考えられますが、彼らは「お互いに軍団長であり信奉者である」とも考えられます。(この二つの肩書は同居しうる)
何故かというと、この二人は地下にある二つの鐘を鳴らすと出現するのですが、この鐘にも古代語が刻まれています。
上の列は「NGRGLAEGILLANGALEIA」であり、下の列は「EAGRNIAGNELIGR」となっていますが、文章として読むことができません。
しかし、この鐘に使われているアルファベットは全て「EGILL」「AGNARR」を構成する文字だけで構成されており、二人が密接して不可分であることを示しています。
暗号⑦と⑧
「VEDI」はローマ・カエサルの有名なセリフである「来た、見た、勝った(Veni, vidi, vici)」からきています。
FLEVIは「泣く」という意味なので、これを残した人物は「何かを見て涙した」ことになります。
この文字は、寒天の釘に向かう途中にあり、ETとは「and」を意味する接続詞であり、 UMBRAは影を意味します。
何の影なのでしょうか?
暗号⑨
最後の暗号は、天に関するものです。
この詩にも元ネタがあり、イギリスの演劇「ブライアンの生涯」に登場する「Romanes eunt domus(ローマ人は家に帰る)」という一説がそうです。
原神ではローマ人のところが、「caelles」となっていますが、これはラテン語で「天国」を意味します。
しかし、この地に残された寒天の釘の由来を考えれば、単に天国とは訳さないでしょう。
恐らくこれは天空の島——或いは「天理」そのものを指しています。
つまり、この地に「寒天の釘」を落とし天理が天空の島に再び帰っていく様子を指しているのでしょう。
最終的な結論
まず、この暗号分を残したのはアビスの関係者です。
何故かというと、この文字は光に弱い闇の文字で「流明石の触媒」を装備して近づくと消え去ってしまいます。
遥か遠い彼方に天理が襲来し、この地に天罰——寒天の釘を落として去っていきました。
caellese un td umus(天理は去る)
そして、この地の底から黒い霧が生まれ、古代都市の滅亡が始まります。
寒天の釘への封印を鍵を守る「エーギル」と「アンナー」を倒すと「黒い霧、痛み、生まれる時のようなものかも知れない…」というアチーブを入手できます。
この元ネタは「マタイによる福音書24章8節」にある「しかし、すべてこれらは産みの苦しみの初めである。」からきており、これは「全てはここ(黒霧)から始まった」ことを意味します。
アンナーとエーギルらは古代都市が黒霧(影)により壊滅する様を見て涙し、生者を集めて使者を悼みます。
VEDI FLEVI(~を見て涙する)
ET UMBRA(~と影)
VIVOS VOCO(生者を呼び)
MORTUS PLANGO(死者を悼む)
しかし、この地から逃げようと深淵に至ろうとしましたが、そこに至る道はなく、彼らはこの地に取り残されました。
ABYSSIS VIA(深淵への道)
NON EST AD(~はない)
これらの暗号文は、この地に起きた出来事を知るし、天理を憎むものたちが残したものである……というのが私の結論になります。