知恵の神「草神」に守られた国であるスメール。
そのスメールには、とある風土病が発生していました。
「魔鱗病」と呼ばれるそれにかかったものは、身体に鱗のようなものが生え、少しずつ体が麻痺していくという不治の病です。
そして、幼いコレイもまたこの病に侵された患者の一人でした。
コレイの母は、自分の娘の治療法を求め、スメール各地を巡ります。
とある伝教士が魔鱗病の治療ができると称しているコレイの母はその噂を信じて、その男にコレイを渡しました。
しかし、その男の真の目的は魔鱗病患者に対する人体実験であり、治療と称して部下に命じコレイに魔神の残滓を注入したのです。
日々、実験動物として扱われたコレイですが、彼女の人生に転機が訪れました。
理由は不明ですが、この実験施設で何らかの理由で火事が発生し——恐らくコレイ自身による魔神の力——その隙にコレイは、同じ境遇の仲間たちとともに脱出しました。
しかし、もはやコレイたちには行くところも帰るところもありません。
病と魔神の呪いに侵されたコレイたちはスメールの住民からも忌み嫌われ、森や原野に身を寄せる他ありませんでしたが、もとより苦しむ体では何もできません。
一人また一人と死んでいき、ついにはコレイ只一人を残して全滅してしまったのです。
彼女だけが生き残れたのは、後の時代に「神の目」を授かったことを考えると、元から魔神の残滓に対する抵抗力が高かったのかもしれません。
こうしてただ一人生き残った彼女が考えたことは一つ――自身を実験台にし、あまつさえ母を殺害した者たちへの復讐でした。
自分を人体実験に合わせた者の手に刻まれたタトゥーの形をコレイは覚えていたのです。復讐すべきものたち――スネージナヤのファデュイのマークを――。
そしてモンドへ――運命の出会いが始まる
何の手掛かりもないままにコレイが彷徨った先がモンドでした。
疫病に掛っていたコレイはモンドの門番に止められますが、魔神の残滓を操れるようになっていたコレイはその力で騒ぎを起こし、その隙にモンド城内に侵入します。
この事件は「黒焔事件」と名付けられ、西風騎士団の管轄となります。
さて、首尾よくモンド城に入り込んだは仇を探しますが、残念ながら自分の身一つでは何も見つけることができませんでした。
そして夜中に風神の像で立ち尽くす彼女をアンバーが見つけたのです。
アンバーはまさかこのような少女が事件の犯人であるとは夢にも疑わず、騎士として子供の保護に乗り出します。
コレイは疫病にかかっている自分にかまうなと警告しますが、アンバーはそれを意に介しません。
探し物をしているというコレイのために一緒にモンド城を駆け巡ったのでした。
自分の病気も過去の何も気にせずに朗らかに接するアンバーに、コレイの心は少しずつほだされていきました。
――しかし、彼女の本当の目的は仇を討つことです。
西風騎士団の資料を読んだコレイは、その中に自分が打たれた特殊な形の注射器を見つけました。
きっと、この地に仇がいる!
そう確信したコレイですが、同時に自身もまた監視されていることに気が付きます。
天真爛漫なアンバーと違い、ガイアは最初からコレイのことを疑っていました。
ガイアはアンバーをコレイから遠ざけ、彼女を追いつめます。
窮地に陥ったコレイは魔神の力を解放しそしてガイアを殺害しようとしますが、アンバーとの出会いが彼女の意志に変化をもたらしていたのです。
一時は復讐に駆られ力を解放したが、本当は――誰も殺したくはないのだと。
コレイは、黒焔事件の犯人として逆にガイアに殺されることを望みますが、二人を探していたアンバーが間に割り込み、逃げ出すことに成功します。
しかし、もう死を受け入れていたコレイは逆にアンバーを問い詰めました。
自分こそが西風騎士団の探していた犯人だ。だから、お前たちは自分を殺すべきなんだと――。
しかし、アンバーはコレイの言葉を受け入れませんでした。
自分は自分の見てきたコレイの姿だけを信じると。
夜が明けて西風騎士団に戻った二人を出迎えたのは、リサに招聘されはるばるスメールから訪れたセノでした。
リサはスメール教令院に所属していた過去があるため、恐らくそこでセノと知り合ったのでしょう。
コレイの症状を知ったリサは治療のために彼を呼び寄せたのです。
セノは魔神封印術を用いて、コレイの体内に残された魔神の残滓を封印します。
ただし、もしも再度封印を破ることがあればもはや意識すら飲み込まれてしまうと警告して。
こうしてセノの力でコレイの魔神は封印されましたが、その時に漏れ出た魔神の力に反応したものがいました。
それは、かつてコレイに人体実験を施した伝教士本人でした。
実験体が生き残っていたことに伝教士は大いに喜び、アンバーに引き渡すように要求しますが、当然アンバーは拒否。
コレイを奪うために魔神の力を解放した伝教士の力を前に一度はピンチに陥る二人ですが、アンバーの神の目にコレイの想いが加わって、伝教士を撃退することができました。
そして、もう一つ西風騎士団には解決すべき問題がありました。
それはコレイが引き落とした「黒焔事件」をどうすべきかと言うことです。
ディルックの手元には、かつてクリプスが使った「邪眼」がありました。
これを使えばディルックもまた魔神の力——黒焔——を出すことができます。
邪眼の力で自分こそが黒焔事件の犯人としてわざと捕まったディルックはそのままファデュイに引き渡されることで、表向きの解決とすることになります(その後逃亡しますが、これはスネージナヤに引き渡されてからのことなのでモンドの失態にはならない)。
全てが解決したことでコレイはセノとともにスメールに医術を学ぶために旅立ちます。
そして旅人が訪れる
こうしてセノに連れられてスメールを訪れたコレイは、彼の紹介でティナリに弟子入りをすることになりました。
意気揚々とスメールにきたコレイですが・・・残念ながら熱意と結果が必ずしも比例するものではありません。
医者となるのは、常人でさえも相当の努力と知識が必要なもの。ましてや、コレイはまず字を書くことも不慣れな状態でした。
当然ながら、試験には落ち続け苦悩する日々。
漫画版のラストで旅立ったコレイがレンジャーとして日々を過ごしているのは、そういう経緯があったからです。
漫画版の伏線と回収
Ver3.0でコレイが本実装されましたが、彼女に関するエピソードの多くは漫画版からの伏線回収がメインになっています。
コレイの趣味とコレアンバー人形について
「コレイに趣味」で語られる飛行の練習と「誰かを照らす光」については言うまでもなくアンバーのことですね。
彼女の天賦「スメールの飛行チャンピオン」はアンバーの天賦「飛行チャンピオン」と全く同じです。
また、風の翼で飛ぶという行為は、二人が初めて出会ったときの一番最初の思い出でもあります。
この後アンバーは、行くあてのないコレイを西風騎士団に連れていき、自分の服をあげましたが、この服は前述のガイアに疑いをかけられたときに破られてしまっています。ガイアなにやってんだよ。
そのため、最後に自分の手で縫って返そうとしたのですが‥‥うまく縫えなかったのですね。
そこで、コレイはスメールについてから裁縫を必死で練習しました。
いつかアンバーに再会したときに、自分の成長を見て欲しかった…という気持ちがあったのかもしれません。
最初は不器用だった子どもですが、子どもは成長するものです。
今では、ガンダルヴァの村の子たちは誰もコレイを不器用だとは思っておらず、むしろその手先の器用を尊敬しています。
コレイは自分の作った人形を「コレアンバー」と名付け自分の相棒として大事にしています。
ちなみにコレアンバー人形は猫の形をしていますが、実は漫画版でもアンバーのウサギに対して、コレイはビックリすると猫耳を出すという漫画的表現が使われていました。
この時から、アンバー=ウサギ、コレイ=ネコというイメージがあったようですね。
バドルドー祭り
コレイについて外せない話題と言えば、やはりバドルドー祭でしょう。
コレイにとってバドルドー祭とは、全く理解のできないものでした。
これまで過酷な旅をし、全ての行動が生きること――「無駄な事」が許されない環境で生きてきたコレイにとって、輪投げや的あて――出し物で楽しむなんてことはとても信じられなかったわけですね。
「普通に」楽しむこと――このときの思い出が、今のコレイにとって黄金のように輝きを持って残っています。
コレイの得意料理はピタですが、好きな食べ物は大根の揚げ団子です。
これは、コレイが初めてバドルドー祭りに参加し、アンバーと一緒に食べた思い出の料理だからです。
ちなみに、モンド城のキャッツテール看板はスメール実装以前において、唯一のコレイに関する情報が載っている掲示板でした。
内容としては、バドルドー祭でコレイを見かけた一般人のコメントでしかないのですが、ゲーム開始当初からコレイの参戦は決まっていたようですね。
アンバーはモンド城を守るという使命があるのでモンドを離れられませんが、次のお祭りでアンバーとコレイが再開する日を本当に楽しみにしています・・・。
コレイの自分の過去への認識
これまで説明したように、コレイは壮絶な過去を持っています。
その時の立場や状況を考えれば致したかがないことだとは思いますが・・・コレイは自分の過去の言動を一種の「中二病」だったというように捉えている節があります。
特に稲妻の娯楽小説「鬼武道」は彼女の過去を大変刺激する文面が多数乗っているため、これを読んでしまった日は恥ずかしさのあまり一晩中もだえていたようでした。
ちなみに原神世界で「中二病」といえば、我らの「断罪の皇女」ことフィッシュル様がいるわけですが・・・。
コレイのボイスには、全く面識がないはずの「フィッシュルについて」が何故か含まれています。
もちろん、二人がこれまで出会ったことはないのですが、その「断罪の皇女」というネーミングには色々と思うところがあるようで(すっとぼけ)ついつい反応してしまっています。
イベントで二人が出会う日が大変楽しみですね。
コレイの「病院」?
さて、彼女が侵されている疫病は「魔鱗病」と呼ばれ、これはスメール特有の風土病です。
スメールの未実装エリア(Ver3.0現在)であるアアル村付近には、かつて魔鱗病の研究をしていた病院の跡地が存在していす。
漫画版では、かつてコレイの母が彼女の治療のために(ファデュイとは知らずに)、伝道者に差し出したという設定があります。
また、コレイ自身のキャラストにはかつて焼け落ちた廃墟から逃げ出したという記述があります。
漫画版でも、燃える建物に向き合うコレイの姿が描写されているため、恐らく焼け落ちた廃墟は「博士」の実験施設だったのでしょう。
よって、この「病院」は元々コレイが治療を受けていた場所かファデュイの実験施設かのどちらかであり、当時のコレイの病状や魔鱗病の秘密などが隠されている可能性は非常に高いでしょう。
今のところこの病院には立ち入りことができませんが、今後のバージョンアップが期待されます。
アンバーオタクのコレイちゃん
前述のとおり、コレイにとってアンバーは自分の人生を劇的に変えた恩人です。
そのため、コレイはアンバーの話題になると早口で大興奮する癖があります。
アンバーのことになるといきなり早口になるコレイに旅人は驚きますが、彼女は元々内向的な性格で、声優さんもラジオで「設定資料にコミュ障と書かれている」と明かしています。
本来は積極的に人と話すような性格ではないのでしょう。
しかしアンバーに憧れるコレイは、レンジャーとして一人前になるべくできるだけ人と沢山話をしようと頑張っています。
がんばれ、コレイ!