今回はスメールの登場キャラクター「カーヴェ」のデザインがどのような文化的背景のモチーフに基いて行われたかと言うことについての考察を記事にしました。
この記事は、主に海外コミュニティで取り交わされた議論を個人的な解釈で再構成したものになります。
カーヴェの基本ベースはイランとペルシャの文化を中心とし、少しばかりのキリスト教をエッセンスとして構成されているようです。
カーヴェの名前の由来
カーヴェの名前の由来は、イランの民族叙事詩シャー・ナーメ(王書)に登場する伝説の人物である「鍛冶師カーヴェ」でしょう。
鍛冶師カーヴェは圧政を敷いた邪悪な蛇王ザッハークに対する反乱を率いた人物です。
また、カーヴェの愛用品であるツールボックスのメラックも同じくシャー・メーナに登場する人物なので、この二人(一人と一箱)のモチーフがシャー・メーナであることは間違いなさそうです。


カーヴェの星座
カーヴェの星座は極楽鳥座です。
この星座名には二つの意味が込められています。
まず、一つは彼が楽園を目指す建築家であるということです。
極楽鳥座の英語名「Paradisaea」はラテン語の「paradise(楽園)」を由来にしており、即ち「楽園から訪れた鳥」という意味です。
カーヴェの肩書である「天穹の鏡(Empyrean Reflection)」の「天穹」とは、幸せに満ち溢れた場所のことで、天国や楽園を指します。
実際、カーヴェの星座重名称は、少しずつ宗教的素養を高めていき、最終的に楽園に至るという流れになっています。

もう一つの由来はその名の通りの「極楽鳥」とそれから派生する不死鳥のモチーフです。
イランには幸せを伝える魔法の鳥「フマ」という伝説が残されています。
このフマはペルシャのフェニックスと呼ばれる伝説上の鳥であり、「オスマン帝国の詩」では「極楽鳥」と呼ばれています。

この鳥は数百年ごとに火の中に身を焼き、灰の中から再びよみがえると言われていますこの点も死期を悟ると自ら火で焼き、灰の中から蘇るというフェニックスの神話と酷似しています。
カーヴェの衣装名は「火を浴びた金羽」という名称なので、これをイメージしているのは間違いないかなと。

またここでシャー・ナーメが登場するのですが、この叙事詩の中では神鳥シームルグと呼ばれる赤と縁の羽を特徴とした霊鳥が存在し、このモチーフも混ざっています。

カーヴェの衣装の基調のうち、鳥の部分がちょうど赤と緑です。

単にそれだけではなく、シームルグも1700年ごとに雛を生み、ヒナが成長すると火で自らを焼き尽くすと言われており、不死鳥との酷似が指摘されています。
カーヴェの年齢
カーヴェは自身のデートイベント内で「5歳になっていないころに描いた絵が20年以上前*」「30年前に母が絵を描いた時に生まれていなかった**」と説明しているため、20代後半(25~29歳)であることが分かっています。


*日本語版は「二十年くらい前」と書かれているが、これは誤訳で原語では「二十年以上前」である
**日本語版は「三十年くらい前」と書かれているが、これは誤訳で原語では「三十年前」である。
ここからは少し推測が入りますが実際の年齢は27~29歳の可能性が高そうです。
教令院の入学する年齢は未公開ですが、
・カーヴェは一般的な年齢で入学した
・アルハイゼンは7~8歳のころに「早めの入学」を進められた
とあるため、教令院の一般的な入学年齢は「9歳以上」です(イベントに登場するサーチェンは9歳で入学しています)


スメール学園祭でカーヴェは20年前に父が死亡したと説明しますが、カーヴェが教令院に入学したのは、父の死後でまだ「落ち着かない時期」なので18~19年前程度と推測できますが、これに最低年齢として考えられる9歳と仮定としても27歳以上になります。
カーヴェのデザイン
カーヴェの十字のヘアピンはモチーフは今のところ二つ提唱されています。
まず、一つは先ほど説明したシャー・ナーメに登場する鍛冶師カーヴェは十字の旗をシンボルにしており、この旗をモチーフにした可能性があります。

もう一つは、このヘアピンの並びはアルファベット数字で「99(IX・IX)」ではないかというものです。
これは中国のスラングで「久久(99)」で「永遠」を意味する言葉であり、愛に纏わるロマンチックな意味合いが強いものです。

カーヴェのイヤリングはフリーメイソンのシンボルである「定規とコンパス」の形をしています。

フリーメイソンは日本では謎の秘密結社というイメージが強いのですが、元々は中世ヨーロッパに存在した石工組合に遡ると考えられているため、そのイメージからの採用でしょう。
カーヴェは衣服の上に腰帯を撒いていますが、これはペルシャを含む中東地方で幅広く浸透している帯の巻き方です。

また胸の装飾のデザインはペルシャの伝説の鳥シャーバズに酷似しています。
この鳥は「王室のハヤブサ」という別名を持ちイランの人々を導いたという伝説を持っています。

胸元ついでの話ですが、カーヴェの「頭に羽が付いており胸元を開ける代わりに装飾品がある」という衣装は同じくペルシャ・ササン朝時代の女性の衣装です。

カーヴェが履いている靴はギヴェ(Giveh)と呼ばれるペルシャ地方で使用されているブーツです。

ソールはゴム或いは牛側で作られ、アッパーは手作りの生地で作られており、柔らかいうえに通気性と耐久性に優れた性能を持っています。
カーヴェの赤いマントに描かれた花はザクロで、これは古代ペルシャ原産です。

神話においてザクロは血を連想させることから生命の象徴であり、また太陽のシンボルとされ永遠の象徴でもありました。
また初期キリスト教の絵画では、ザクロはエデンの園の果実として描かれています。

ここで最初に説明した「楽園」との繫がりも見えてきますね。
カーヴェのスキルはコンパスのように円を描いていますが、その際に描かれる図形は(何故か)某書記官の考案した図形です。

仲良しなのか???????
最後に
カーヴェのデザインがどのようなプロセスとインスピレーションによって作られたのか、本当の答えはmiHoYoの手に委ねられています。
私の書いた内容は単に考え過ぎな側面もあるでしょうし、書いたことに間違いがある可能性もあります。
また議論をサポートするために、できるだけ多くの参考文献を追加し、できるだけ正確であるよう努めました。