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【原神考察】レインボーローズの物語①連続原神ドラマ「ルロワ」の解説

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この記事は、2023年12月時点の情報を元にネタバレ個人の見解を含んでいます。今後の実装次第で公式と大きく異なる記事となる可能性がありますのでご了承ください。

今回はVer4.3で追加された連続世界任務「ルロワ」に関するお話です。

ストーリー自体はこれ単体で完結していますが、他に関係する世界任務やミニイベントが重なり合っていたり、任務の途中で選択肢による分岐もあるため、それらを含めた全体像について解説します。

「ドラマ」の始まり

旅人はスチームバード新聞社のユーフラシアより、半年ほど前にブノワ・ルロワという老人が人手を探しているという仕事の情報を得ます。

しかし旅人がブノワ宅を訪問すると、半年の間に娘と娘婿が一緒に住んでくれることになったため、もう人手は必要ないとことでした。
しかしわざわざ来てくれたのに返すのは忍びないと猫の餌やりと掃除だけして欲しいと言われ、お駄賃をくれます。

翌日訪れると、今度はモリィという女の子が家に来ており、ブノワ氏と仲良くお話をしていました。

再び簡単な用事を手伝うと、アトーズという人物が現れ、ブノワに「お義父さん」と呼びかけます。

義理の娘であるモルティシアとその婿であるアトーズは用事で遠出していました。

アトーズは義父であるブノワにお土産を買ってきたので機嫌を直して欲しいと言い、彼を家の中に入れますが、その後突然態度が豹変し、モリィと旅人に対して二度とここに来ないようにと冷たく言い放しました。

旅人たちはアトーズの態度の急変をいぶかしがり、翌日以降も家を尋ねますが、アトーズは「義父は病気だから人に会うことはできない」と追い払おうとします。

それでもと旅人が食い下がると、家の中からモルティシアがブノワを連れて出てきます。

彼は、最初の元気なときとは打って変わり、具合を悪そうにしていますが、どうも何かに怯えている様子。

あからさまな怪しさに旅人が調査を続けると、鍵は下層の人々が住むサーンドル河にあることが分かりました。

そこで旅人はブノワの過去——旅人たちに見せていた穏やかな老人は仮の姿であり、元々はサーンドル河に住む貧しい老人で小悪党だったことを知ります。

そんな彼が上層に移住できたのは美しかった養女オータムを富裕層の老人に嫁がせたからです。

さらにオータムは一人目の夫が死んでしまったために、次に二人目の夫に嫁いだのですが、彼女はこの二人目の夫を殺害。

そして裁判においてオータムはブノワの証言を望んだのですが、彼がそれを拒否してしまい有罪としてメロピデ監獄に移送されることになりました。

調査を終えてブノワ宅に戻ると、旅人はブノワから助けを求める手紙を受け取ります。

バブルオレンジを合図に旅人がブノワを連れだすと、彼の家に入り込んだ「モルティシア」とは偽名であり、その正体はオータムーーかつてのブノワの娘だということが分かります。

オータムは、お金のために義父であるブノワにいいように利用されたことを復讐するために、「モルティシア」と偽名を名乗り家に入り込んだのでした。

普通であれば、義理とはいえ一緒に生活していた娘が戻ってきたら変装をしていても見破れそうなものですが・・・ブノワは娘を道具としてしか見ていなかったのがよく分かります。

ブノワは窓から抜け出すと一目散に郊外に逃げ出しますが、先回りされたアトーズに捕まってしまいました。

そして、アトーズの口からブノワとオータムの過去についての話が始まりました。

ブノワと「モルティシア」の過去について

先ほどはサラッと流しましたが、ここでアトーズからの情報も加えて二人の過去について詳しく解説します。

ブノワはサーンドル河の住民で、かつては雑貨商を行いながら細かい悪事を繰り返す小悪党でした

彼はある時期にオータムという女の子を養子として引き取ります。
いくばくかの血の繫がりはあったとのことなので、恐らく叔父などの親戚関係の縁だったと考えられます。

オータムはブノワに引き取られた結果、彼にいいように利用される操り人形として意思のない生活を送ることになります

オータムは人より美しい容貌を持っていたことを利用して、ブノワは成り上がることを考えました

ブノワはオータムの美貌を利用し、金持ちの老人とオータムを結婚させます。

しかし、実はこれは結婚とは名ばかりで実際は児童に対する人身売買でした。

オータムにはナナという飼い犬がいました。
ちなみにナナは世界任務「格律のない自由詩」に登場するペニーのそばにいるフォンテーヌ犬です。

フリーマンによるとナナはオータムによって街で育てられた犬であり、しかもそれは小さい時のこと・・・。

つまり、彼女が老人と婚姻を結ばされたのはまだ幼いころのことだと分かります。

ナナを飼い始めたのは町に行ってから=結婚後

魔神任務やリオセスリの伝説任務でもその話が出ていましたが、「フォンテーヌの闇」の一つに児童売買があるため、オータムもその犠牲者の一人だったのでしょう。

パイモン「孤児からいきなり貴族の養子になったのか?」
リネ「ああ、運がまた僕たちの味方をして、苦しい日々とさようならできると…僕たちも最初はそう思ったよ。」
(中略)
リネ「はは…後になって気づいたんだ。あの貴族たちの闇は、僕たちが思っているよりもずっと深いってね。」
リネ「あるパーティーでのショーが終わった後、僕はリネットが同じ車に乗っていないことに気づいた。家に着いてしばらく経っても、リネットは帰ってこなかった。だから、僕はその貴族の寝室に行って、妹はどうしたんだと聞いたんだ…」
リネ「すると、そいつはこう答えた——「パーティーである大物のお眼鏡にかなってな、贈り物として差し上げたんだ。助手を変えてもマジックはできるだろう?」って。
パイモン「フォンテーヌの法律で、そういったやつって裁けないのかよ?」
リネ「外の人間から見れば、単なる「養子縁組」の関係だからね。調査を誤魔化す方法はいくらでもあるさ。」

魔神任務第四章第一幕より

老人の財力により、ブノワとオータムは下層のサーンドル河から上流のフォンテーヌ廷に移り住みました。

そうこうするうちに数年が経過すると、オータムの「一人目の夫」である老人が死亡します。

当然、妻であるオータムが財産を相続したのですが、ブノワの操り人形であった彼女は、その全てを彼に奪われてしまいます。

さらに、財産を手に入れて裕福になったブノワにはもうオータムは必要ありません。

彼は適当な男——後にオータムに殺害されることになる「第二の夫」を見つけ出し、彼女を結婚という名目で追い出しました。

さて、こうしてブノワは悠々自適の生活を送ることになりますが、オータムの方はそうはいきませんでした。

任務中ではサラッと流されていたのですが、この「第二の夫」はオータムに対して暴力を振るっていたようです。
(日本語だと、「侮辱されたとき」と曖昧な表現ですが、原語では「いじめられた(到欺凌)」とあり、後の結末を考えるとオータムはDV被害者だったと予想できます)。

子供が先か暴力が先かは分かりませんが――この夫との間に娘が生まれ、もとより他に身寄りのなかった彼女には頼る先もありません。

夫の暴力に耐えきれなかった彼女は夫を殺害してしまいます。

当然、特巡隊に逮捕された彼女は裁判を受けることになります。
この時彼女は義父であるブノワを法廷に呼び、この暴力について証言をしてもらうようにお願いしますが、ブノワはこれを無視します。

こうして、彼女はこの世界の全てから見放されて有罪判決を受けることになりました。

さらにブノワは、身寄りのいなくなった孫のモリィを多額の現金と引き換えに裕福な家族へ引き渡します。

しかも、それにも飽き足らずこの養親に対して脅迫するという念の入れようです。
恐らく、実の親が殺人犯だと知らされたくなければと脅していたのでしょう。ゲスの極みの義父ですね。

さて、こうしてオータムは娘を失いましたが、皮肉にもこれによって「かつての彼女」は死に、そして新たに「目が覚める」ことになります。

それは初めて自分の人生を自分の意思で生きるということです。

とはいえ、このままでは監獄行きと生活になってしまうところだったのですが、そんな彼女にルージュたち「レインボーローズ」が助け舟を出します。

彼らの力によって逃亡したオータムはエリュニス島の中でしばらく匿われてから、彼女自身も一員として活動することになりました。

そして、ブノワへの復讐と離れ離れになった娘を取り戻すために、彼女はアトーズと協力してブノワ家へ潜入しました。

こうして、一世一代のヒューマンドラマ「ルロワ」が幕を開けました。

ちなみに旅人がアトーズたちと初めて出会ったとき、彼らは「お土産」をブノワのために用意していました。

このお土産は――内容からして拷問用の道具だったのでしょうね。

結末の分岐点

「ルロワ」の物語は逃走劇の最後にブノワに対する処遇について分岐が存在します。

それは、待ち受けていたアトーズらに対して、ブノワを「見捨てる」か「助ける」かという選択です。

この分岐により、最後の結末が一部変更されるのと報酬アイテムの説明文が変化するという違いが生まれます。

「自分たちで解決すべき、もう口を挟まない」を選択

この選択をした場合、ブノワは二人に「家」まで連れて帰られることになります。

また、後日談の任務において、ブノワの家は売りに出されることになるのですが、その前に旅立つ前のオータムとアトーズに出会って会話することができます。

彼によるとブノワは「別の場所」に行ってしまい、そこは僕たちが数十年後に行くことになるところだそうです。

シンプルにアトーズに始末されたと考えるのだが妥当でしょう。

また心配したモリィとオータムは改めて向き合いますが、この時オータムはモリィの瞳が自分と同じ、とても綺麗な「紫の瞳」であることに気が付きます。

オータムはモリィが自分の娘であると確信しますが、モリィが今の両親を愛していることを伝えると、何も言わずに去ることを選択しました。

また、彼女は投獄される前に娘に対してオルゴールを買っていましたが、モリィは裕福な両親に育てられており、このようなものは必要ないだろうと判断し、代わりにパイモンに預けます。

「彼らにブノワさんを傷つけさせない」を選択

この選択をした場合、アトーズがブノワに手を出そうとすると旅人が制止します。

また、娘が養子にいったことを告げられるとオータムは怯んでしまい、ブノワを見逃がす選択をします。

しかしアトーズは事前に仲間たちへブノワの所業を伝えており、みんな彼に「挨拶」をしたいと言っていました。

翌日の後日譚では、モリィがブノワの家の前で旅人を待っており、彼が地下に「引っ越し」をしたと教えてくれます。

新聞記事には彼が「登山で高い所から転んでしまった」と書かれていたそうですが、幼いモリィにはこの意味がよく分かっていません・・・。

要するにどちらの選択をしても、ブノワの生存ルートはないということですね。

また、こちらの場合は敵対しているためか、最後に二人はアトーズたちは姿を現しません。

そのため、オータムとモリィの繫がりは明言されないのですが、瞳の色が共通しているなど、察せれる程度の説明はあります。

また、最後に出会いない関係でこの任務自体では、オータムが選んだオルゴールは入手できません。

この場合、宝の地図で向かうことになるオータムの隠れ家内にオルゴールが残されています。

なお、どちらの方法で入手したかによりオルゴールの説明文が変化します。

ちなみにフォンテーヌ廷の掲示板にはブノワの訃報が掲載されています。

表向きは名士扱いだったのでしょうか。

*この掲示板内容は任務クリア前から読めますが、多分フラグミスではないかと。

レインボーローズの理想

この「ルロワ」のストーリーはVer4.2から始まった「レインボーローズの理想」という一連の群像劇にはいります。

これに関しては、長くなるためまた別記事にしたいと思っています。

他の考察

さて、これで「ルロワ」の話は終了となりますが、いくつか気になる点を追記しておきます。

以降に関しては、かなりの部分に推測が含まれているため注意してください。

まず、どうしてブノワは旅人たちにもっと直接的に助けを求めなかったのか

ブノワの罪は(心情的にはともかく)、法律にのっとって考えればほとんどありません。

オータムを売り飛ばしたことは「婚姻」という形をとっているため合法です。

二人目の夫を殺害した裁判に出頭しなかったことも、それ自体が罪に問われるような類のものではありません。

外に少しでも出る機会があれば、こっそり脱出をお願いしなくても、例えば執律庭に通報をお願いするなどもできたはずです。

しかし、彼が旅人に助けを求めようとしたとき、彼は思いとどまります。

ブノワが思いとどまった時、アトーズは気になる「新聞記事」の内容を説明し、そのうち一つに、「目撃者のいない状況で強盗に遭い転落死した老人」の話を始めます。

更にもう一つは、溺死をしてしまった商人の話と、うっかり毒を間違えて飲んでしまった愚かなお人よしの話です。

そして、死亡事故を聞かされたブノワは「もうこんなことはしない」と謝罪をします。

オータムが結婚した「一人目の夫」は老人であり、数年後に死亡したとだけ説明されていますが、どのような死因かは分かっていません。

一つ言えることは彼が亡くなって一番得をしたのはブノワだということです。

つまり、もしもこの老人を殺害したのがブノワであり、その証拠を掴まれていたとしたら、この時に逃走していたとしても、すぐに執律庭に拘束されてしまうのが関の山であり、ブノワは秘密裏に逃亡することしか選択肢がないことになります。

もう一つはアトーズの正体について。

アトーズは「ルロワ」の最後でブノワを待ち構えているときに、子守歌を歌っていました。

この歌は、「確律のない自由詩」でペニーが歌っていたものと同じ歌です(微妙に違うのは翻訳齟齬です)。

ペニーはこの歌について、ファデュイのキリクと一緒に歌ったと言っていますが、キリクは記章を海に捨てて脱退している節があります。

先ほど新聞記事の話をしましたが、この時に出た「商人を殺した犯人」はアトーズのことです。

なぜ彼がそのようなことをしたのかは宝の地図「アトーズの供述」で説明されています。

元々彼は雑貨店の店主だったのですがブランデッドの下劣な手段によりその生活を壊されてしまったためです。

文章では「アトス」となっていますが誤訳です

アトーズはブランデッドを殺害して逃走しましたが、そのために一時的に「キリク」としてファデュイに身を寄せていた可能性もあるのかなと。

おわりに

Ver4.3はフォンテーヌの「正義」について深く切り込んだシナリオ構造になっています。

大型イベント「薔薇と銃士」では、シュブルーズが「法による正義」を表明しました。

代わりに世界任務では「法に依らない正義」が体現されています。

レインボーローズの話はまだまだ残されているので、今後この「正義」がどう着地していくのでしょうか。

最後に人物相関図を載せておきます。

ややこしい人物関係を理解する一助になれば幸いです。

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