お代はラヴでけっこう

【原神考察】「テイワット」の根源的な世界観について――「偽りの空」とは何なのか?

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*この記事は、2024年10月時点の情報を元にネタバレ個人の見解を含んでいます。
今後の実装次第で公式と大きく異なる内容となる可能性がありますのでご了承ください。

*原神だけではなく、「崩壊3rd最新章」の重大なネタバレも含まれています。

今回はテイワットにおける根源的な世界設定について話をしていきたい。

原神には、七神の加護を受けた「テイワット」とは異なる「闇の外海」とも呼ばれる太陽のない暗黒の地が存在しています。

稲妻の地下にある「淵下宮」もその一つであり、そこに隠された「日月前事」と言う名の禁書には、この世界の創世に関する重要な秘密が書かれていました。

テイワットの元となった旧世界は、人間ではなく七元素の龍たちが支配する地でした。


しかし、その世界に外界から「原初のあの方」と呼ばれる神が降臨して龍と激しい戦いを繰り広げます。

この戦いに勝利した神は新たな天地を創造しました。
これが私たちが今冒険している「テイワット」です。

しかし、この出来事が書かれた書物には

・この世界を作った創造主の正体はなんなのか。
・そもそもなぜ創造主はテイワットを作ったのか。
・世界にはどんな秘密が隠されているのか。

という、皆さんが気になることについては何の説明もありません。

しかし、2024年ケンタッキーコラボアイテム「盛宴の翼」をストーリーを読んだ時、これら全ての謎が繋がる一つの理論が出来上がったので、それを説明していきます。

いや、コラボアイテムにそんな重要なことが書かれているわけないだろと思う人もいるかもしれませんが、同じく2021年のケンタッキーコラボアイテム「饗宴の翼」には「テイワットの辺境が脆弱になっている」という情報や、PSコラボ「降臨の剣」には本編に先駆けて降臨者の概念が書かれているなど、むしろコラボアイテムの方が重要なことが書かれていたりするんですね。

なお、この記事はYoutube動画に投稿したものに追記をした上で再構成を行っています。

「原初のあの方」の正体

テイワットの創造神は外来から現れた存在であり、「原初のあの方」またの名をパネースと呼ばれています。

彼女の名前は、古代ギリシャ・オルフェウス教の神に登場する世界を創造した原初の神から取られています。

そのシンボルは蛇であり、金色の翼を持つ神。
宇宙の卵から生まれ、その殻で世界を創造したと言われています。

これは日月前事に記述された「原初のあの方」と完全に一致しており、さらにその「殻」で世界を創造したのも共通していることから、これがモチーフとなっていることが間違いないでしょう。

しかし、そもそも彼女は何故世界の外から現れテイワットを創世したのか?

「盛宴の翼」のストーリーには、ケンタッキーのお店に異色の客が次々と訪れるお話が書かれています。

これは、ケンタッキーのお店に異色の客が次々と訪れるお話です

一見すると何のことかよく分からないように思えますが、これは「原初のあの方」の正体についての伏線が書かれた超重要なストーリーの話です。

「原初のあの方」の正体とは、滅んでしまった星から訪れ、母星を復活させるために「世界」を乗っ取ろうとした機械生命体(人工知能)です。

ちなみに「二番目の客(第二の玉座)」とは「アビス(深淵)」のことです。

ヌヴィレットのキャラスト及びナヒーダの伝説任務第二幕では、原初のあの方に敗北した「龍王」が世界の外からアビスの力を得て再び舞い戻ってきたことが説明されています。

「深淵」とは、ホヨバワールドにおける「崩壊」のことで、これまで数多の世界がこれによって消滅しています。

「深淵」は英語版では「Abyss」

実は原初のあの方が人工知能であるという伏線は以前から匂わされており、それは執行官が勢ぞろいしたPV「冬夜の戯劇」を根拠としています。

この映像では、執行官のリーダーである「道化」がチェスを打っているところから始まります。

このチェスの盤面は実際に存在する棋譜で、1996年に行われた「ガルリ・カスパロフ」という棋士と「ディープ・ブルー」というコンピューターとの戦いを再現したものです。

「道化」は氷の女皇に仕え、彼女に従って神の心を集めていますが、その目的は天理の調停者――すなわち天空に対抗するためです。

この盤面には神の心が置かれているため、その対局者は「天空」であることに間違いないでしょう。

すなわち、ここでも天空とは人工知能であることが示されています。

さて、「原初のあの方」がAIだとすると、これまでテイワットに隠されていた様々な秘密に説明がつきます。

創世神話によると、テイワットという「世界の縮図」は「原初のあの方」が「殻」を利用して宇宙から隔離したものです。

「原初のあの方」が人工知能であるならば、それが生まれた「殻」とは、すなわちコンピューターのケースです。

つまり、これは原神初期からずっと囁かれてきた「テイワット=コンピューター世界説」に繋がっていくということです。

テイワット=コンピューター世界説

テイワットの真の秘密。

それはこの世界はコンピューターによって作られたメタバースによる三次元の幻想世界ということです。

テイワットに存在する「世界樹」は地脈を通してテイワットの情報全てを記録しています。

そして、その世界樹の化身であるナヒーダが「知恵の神」と呼ばれているのは、そのテイワット全ての記録から情報を引き出せる能力を持っているからです。

その「ナヒーダの力」とはキーボードとマウスというデバイスです。

つまり、彼女は世界樹というコンピュータにこのデバイスで「入力」することで、そこから情報を引き出すことができるというわけですね。

更にナヒーダが世界樹に「接続」している時、彼女の声が響く前に、そこからアクセス音が発生しているのも確認できます。

そして、そもそも世界樹自体が「アンテナの受信機」のようなデザインを持っています。

この世界の根幹である世界樹――草元素がコンピューターであるならば、原神では(一般的な雷ではなく)草元素にデジタル要素が偏っているのも納得です。

さて、この世界がコンピューターであるということは、世界の全ての情報が入っている「世界樹」とはHDDということになります。

この世界がHDDであるならば、世界樹から情報を削除すると、それはテイワット全てに影響を与えるのも当然の話です。

それが魔神任務におけるマハールッカデヴァータの削除であり、彼女は禁忌の知識に侵された自身の消滅をナヒーダに依頼。

世界樹から削除された「記録」はその世界から「無かったこと」になってしまうため、彼女に関する記録は全て消滅しました。

しかし、この「削除」は事前にデータを「別名で保存」して隔離すれば免れることが可能です。

ちなみに、このコンピューターの仕組みは私たちが使っているような電気と機械で動くような類のものではなく、細胞などの生体組織を演算素子として用いるバイオコンピューターだと思います。

テイワットが人の「意識」ネットワークによる世界であるというのは、「樹の比喩」にその証明があります。

「時間とはそもそも錯覚である」という理論があり、例えばつまらない反復仕事は一時間でも非常に長く感じますし、夢中になる遊びであれば1日でも一瞬で過ぎ去るものですよね。

つまり、時間の長さをどう感じるかは、あくまでも人間の意識の中にしか存在しないわけです。

「樹の比喩」で、「枝が木に成長するには500年かかる」と庭師が嘆きますが、王の祭司は「一念で千劫の辛労を尽くせばよい」と答えます。

庭師がその助言に従い枝を植え直したところ、なんとその瞬間、本当に霊木に成長したのでした。

これはつまり、彼が一念で千劫を尽くした――すなわち自身の意識の中で500年の労苦を味わったために一瞬で成長したのです。

同じように雷電将軍の伝説任務でも、神桜の発芽は「生みし者の心と夢次第」と説明されています。

このコンピューター世界説は元々はかなり初期からあった考察で、Ver1.1イベント「帰らぬ熄星」で散兵が呟いた言葉に端を発しています。

またスメールの砂王もテイワットの星空は幻の造り物だとされ、赤月王朝の人々もこの偽りの空は映し出されたものだと気が付きました。

つまり、星空とはコンピューターによって描かれたホログラムだということです。

そしてスカラマシュのセリフから4年が経過した、ナタ編魔神任務で、ついに偽りの空が現れました。
それは明らかにコンピューターのテクスチャを彷彿させる姿だったのです。

この「偽りの空」の周辺を揺らめく「エフェクト」は、実は私たちが毎日のように見ているものに酷似したものが存在しています。

それは過去の記憶――地脈の力が詰まった遺跡である秘境です。

この中には、世界樹と同種である「古樹」が収められており、その上には「天空」の冠が連なっています。

先ほど、「原初のあの方」は「殻」を利用して世界と宇宙を隔離したと説明しました。

同じホヨバース作品であり、根源的な世界観が同一とされている崩壊シリーズの最新作「崩壊スターレイル」ではアチーブメントの項目に「殻の中の宇宙」というものが存在します。

この項目に属するのは全て模擬宇宙と呼ばれる機械の中の世界(メタバース)で入手できるものになっています。

さらにこの「殻の中の宇宙」のグラフィックである三角形は、ドラゴンスパインなどに出現する「保護装置」と呼ばれるものに酷似しています。

また、天空の造物である「天の釘」が墜ちた場所には青色の植物が生えてきますが、この植物も同じ形をしています。

しかも、先ほど紹介した「エフェクトが周辺を漂っている」秘境にも酷似したマークが刻まれています。

つまり、これも「天空の力」がコンピューターに由来しているという証拠になりそうです。

卵の殻の中が宇宙(世界)であるという概念は原神にも適用されています。

そして世界式を解き明かしたルネは、この殻の中のテイワットが夢であることに気が付いていました。

世界樹の化身であるナヒーダの元素爆発は「摩耶の宮殿」を生み出しますが、この「摩耶」とは、現実世界こそが幻影であり、真実の世界を覆い隠しているというインド哲学のことです。

しかし、この世界は同時に夢が実体化しています。

Ver2.8夏イベントでは金リンゴ群島に、それぞれのキャラの過去が実体化した「幻境」と呼ばれる空間が舞台となりました。

この夢を実体化させる力世界樹の化身である草神の権能です。

ハイパシアは「知恵の神」である草神に夢の力が関係していることを不思議がっていましたが、この世界の成り立ちを考えるとむしろ納得しかないですね。

スメールの魔神任務では、旅人は「夢の輪廻」に入りましたが、教令院が人々から「主なき夢」を抽出していることを知りましたが、この機能はアーカーシャによるものです。

さて、アーカーシャとは「天空」を意味する言葉であり、その元ネタはインド哲学において、万物が存在する空間、物質の根源でもありました。

更にそれは始原からのすべての事象、想念、感情が記録されているという世界記憶「アカシックレコード」に通じる概念です。

翼物語の「流浪する神」は故郷の全ての文明を覚えています。


つまり元の世界の全ての情報を持っている彼女はアカシックレコードそのものであるということです。

そして、世界樹の化身である草神は最初のアーカーシャ端末と呼ばれていました。

つまり、世界全ての情報があるアカシックレコードから世界樹(アーカーシャ)という端末(HDD)に出力されたのがテイワットであると言えそうです。

さて、先ほどアーカーシャの機能には「主なき夢」を収穫する機能があると説明しました。

この「主なき夢」という概念は実は私たちが、何度も繰り返し見ているアイテムと繋がっています。

それがガチャの副産物であるスターライト(スターダスト)です。

スターライトが運命が過剰に溢れて生まれるものですが、これはアーカーシャによって過剰に夢を見させてそれを収穫したのと酷似しています。

そして、その「過剰」を生み出す行為はガチャを回すこと――祈願です。

祈願とはその名の通り「願い」――「過剰な願い」と「運命」はすなわち神の目に通じます。

そう考えると「ガチャを回して神の目を持つ人物を呼び寄せる」というのは世界設定に完全にはまってますね。

さて、なぜこの世界では夢(意識)が実体化しているのかというと、元々ホヨバワールドの根源的な世界観にある「データの海」は虚を実にすることが可能です。

そして、「テイワットの法則」――すなわち「規則」が存在するテイワットの場合は意思と記憶――すなわち願いを物質化するという形で実現させているからです。

ちなみに崩壊3rd第2部は、願いではなく人間の恐怖を変換して物質化する「規則」が存在する世界が舞台でしたが、この世界はなんと「量子コンピューター内の世界」でした。

要するに「願い」であろうと「恐怖」であろうと、強い感情であればいいということでしょう。

さて、原神では天からの検閲を防ぐために寓話という形で真実を伝承するという形をとることがままあります。

その中でも「亡国の美奈姫」と呼ばれる本には「世界の中心にある空の塔にいる陰陽師」が「生物と大地から生命力を汲み取る術」を使うことが説明されています。

漫画版原神セレベンツでは、ウェンティはヴァネッサから「天空の島」の話をした時には露骨に嫌な表情をしています。

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原神セレベンツより

そして、最後にヴァネッサが天空の島に訪れた際の島内部デザインは円形の刑務所施設であるパノプティコンと酷似しています。

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原神セレベンツより
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Friman作成「パノプティコン」より

神の目を得た者は、その使命を果たした後は「返礼」をする必要があります。

イベント「帰らぬ熄星」の隕石の主であるレーナルトは2000年前の人物ですが、逆に言えば2000年経過しても輪廻は巡らずに天に囚われていることを示しています。

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このことと、天空の島が「牢獄」であることを考えると、リサが恐れた神の目の代償とは、死後も永遠に「電池」として天に囚われることがその一つではないかなと思います。



要するに、強い願いを持つ優秀な電池意志を効率よく引き出すための装置が「神の目」であり、集積する装置が「命ノ星座」です。


ウェンティは天空の島に登り、神となること「原神」と呼びました。

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この世界が「願い」によって動いているのであれば、神の目を得た者は「世界の『原』点となる『神』(という名の生贄)」——すなわち「原神」なのです。

また、原神には幾つか「逆さ」というテーマが取られています。

問題は、世界の礎である世界樹も「逆さ」に生えているということです。

つまり、本当はテイワットこそが逆さになっているという可能性の方が高いでしょう。

崩壊3rdには超越的存在として「娑」と呼ばれるボスが登場します。

この「娑」は故郷が崩壊したために、宇宙に旅立ちそして生物が存在するに適した星を見つけ、そこで文明の再生を目論みました。

この「娑」に関連するストーリーは原神の設定に酷似しているところが非常に多く、特に話題になるのが「願い」に関する規則です。

彼女は世界に「願い」という法則を与えましたが、それが芽生えるところが天地が逆転するのです。

同じように願いの使い手――神の目が存在する原神もまた「逆さの世界」です。

つまり、この神の目システムは超越者が後天的に造りだした「規則」に組み込まれていることが分かります。

また、「天空」は当然ル―ルに直接関係しています。

「古名」を持つナタの英雄は、「夜巡者の戦争」という戦いに参加しますが、この戦いで仮に死んだとしても、炎神の儀式によって反魂することができます。

この「反魂」は、古名を介して地脈という「記憶データベース」から記憶を抽出することで復活を可能にしています。

つまり、このシステムは、RPGでの「セーブデータ」を保存し、それをローディングしている動作と同じ意味を持つのでしょう。

このような特別なことができるのは、初代炎神シュバランケが「原初のあの方」の分身である「死の執政」ロノヴァ――「天空」の力を利用したからです。

ロノヴァは、七神よりもさらに上位の「システム管理者」であるため、世界式にルールを追加することが可能なわけですね。

「運命」とはなんなのか

さて、「原初のあの方」が作り上げた「テイワット」のスペルは「Teyvat」であり、これはヘブライ語における「箱舟」であるというのは既によく知られた説です。

このことから同じホヨバ作品である崩壊3rdにおける「方舟計画」と関連しているのではないかと言われていましたが、この方舟計画の結末は明かされており原神とは全く関係がなかったということが既に判明しています。

「方舟」はテイワットとは全く関係ないところに到着していた

では、この「テイワット(箱舟)」は何を意味しているのか?

そもそも神話における箱舟とは「ノアの箱舟」のことを指します。

神は洪水によって世界の全てを滅ぼしましたが、その直前にノアはすべての動物の番いを乗せて、新世界の礎としました。

日月前事においても、「鳩が枝を運んだ」と書かれており、これはノアの箱舟における「オリーブの枝を加えた鳩」という伝承と一致しています。

宇宙を放浪した「あの方」は故郷のために「あと一つできること」が残されていました。

すなわち、旧世界を改造して「故郷」を再現しようとしたのでしょう。

テイワット創世神話では、「原初のあの方」が世界と人間を創造し、更に契約を交わして「神聖な計画」を定めました。

神聖な計画とは、高天が定めた「テイワットの法則」であり、万物を常に支配しており逃れることはできません。

すなわち、これは完全に計画された一部の揺らぎもない設計図です。

要するに「神聖な計画」とは「運命」のことです。

ヌヴィレットの言う「神聖なルールで取り繕った操り人形」とは、このテイワットの人々は「原初のあの方」が母星の歴史の完全を再現するために利用した駒に過ぎなかったことを指しています。

更に加えると「運命」とは水仙十字院のストーリーで「ルネ」が逃れようとした「世界式」のことです。

世界式とは、この世界の全ての運命を刻んだものであり、ルネはこの「世界式」を変えようと努力し続けましたが、どうしてもうまくいきませんでした。

「神聖なルール」「運命」「世界式」

これらはどれも表現を変えているだけであり、全て同じものを指しています。

要するにこれはコンピュータープログラムのことなのです。

コンピューターのプログラムは原理的に「ランダム化」することが不可応であり同じ数式を入力した場合、必ず同じ結果になります。

Zenken株式会社 公式ブログ
コンピューターの「ランダム」は本当にランダムなのか? こんにちは、R&D事業部のチャンウクです。 今回の全研ブログでは、コンピューターの面白い特徴について話をします。 ■ 概要 数年前、開発中のシステムのテストを行った際、...

ルネが「世界式とフォルトゥナ(運命)は似ている」というのも当然で両者は「最初から決まった結果に向かって進んでいる」という点で同一だからです。

テイワットの人間はコンピューター内部の存在であるためその行動自体がプログラミングの範疇です。

だから、彼らがいかに活動しようが絶対に未来は変えられない宿命にあるのです。

書物に書かれた「神と人間の契約」とは、恐らくこのことを指しています。

ルネは、世界式とは「四象限円環」「奔流の木」によって構成されたもので、これを「パイの生地と餡」に例えました。

この例えはほとんどの人が意味不明だったと思いますが、最初に説明した「テイワットは宇宙卵から生まれた」という比喩から考えると、実はこの二種が同じものを指していることが分かります。

卵の「殻」がパイの「生地」で、卵の「黄身」がパイの「餡」です。

運命=世界式がコンピュータープログラムであるというならばアビス教団が躍起になって求めた「運命の織機」の正体も判明します。

運命の織機は「地脈」を紡ぐことができる「世界規模」の道具という説明がありました。

「運命の織機」の元ネタ映画「ウォンテッド」に登場するアイテムで、これは「神の意志」を暗号として出力する機械なのですが、この暗号はバイナリコードで書かれています。

バイナリコードとは「0と1」の2進数で表現されたプログラムの実行形式の事です。

実はこれは、原神世界における運命と全く同じで、全ての現象を司るフォルトゥナとは竪琴の弦のように細い繊維を織ってできているのです。

「運命の織機」という単語が初めて登場したのは魔神任務第1章第4幕でアビスの魔術師が残したメッセージからです。

この時、魔術師の体に浮かんでいる古代語を解読すると

FATEA E PARCAE(運命のパルカ)

FATI TEXTRIX(運命の織機)

と書かれているのが読み取れます。

パルカとはローマ神話に登場する、人間の運命を織り物に紡ぐ三女神の一柱です。

この時点から「運命とは織物である」という伏線が貼られていました。

さて、実は私たちは「運命の織機」がどのような機能を持つのかを既に目にしているのです。

それが当たり前のように繰り返している行為である祈願(ガチャ)です。

旅人は「祈願」を行うことで様々なキャラクターを仲間にすることができますが、よく考えたらストーリーその他の任務などを考えると、旅人と仲間たちが一緒に行動できるとは思えないですよね。

絶対無理な人たち

運命とは織物の形になっていると説明しましたが、この世界の運命は固定されている。
つまり、織物は既に完成しているわけです。

しかし、このガチャを行うために使われるアイテムの名前は「紡がれた運命」であり、その説明文には「本来交わらない運命」を交差させると書かれています。

甘雨の伝説任務では、彼女は「仕事が全て終わったら一緒に旅をさせてください」と申し出ますが、パイモンに「仕事が終わることってあるのか?」と否定されてしまいます。

しかし、旅人がガチャを行い既に完成された織物に「運命を紡ぐ」ことで別の可能性――甘雨が仕事を終わらせて旅を共にできる運命――を生み出せば仲間にできるわけです。

運命の織機もこれと同じ機能を持っていると推測できます。

要するに、地脈を紡ぐことができる運命の織機とは、「原初のあの方」が定めた世界式(プログラム)を書き換えることができる機械だということです。

降臨者が「変数」を入力して「結果」を変更する力を持つのに対して、運命の織機はそもそもの計算式を書き換えるものなので、より上位の力であると言えるでしょう。

「原初のあの方」の誤算

さて、これまでに「原初のあの方」は人工知能であり、その目的は母星の歴史をコンピューター世界で再現することだと解説しました。

しかし、当初存在していた原始統一文明と、現在のテイワットはかなりの部分で相違があります。

これは、彼女にとって大きな誤算となる出来事が発生したためです。

元々原神世界は「龍」が支配していましたが、彼らは全て打ち払われました。

しかし、それでも彼らは世界を取り返すことを諦めず、元素龍を統括する「王たるニーベルンゲン」世界の外から「漆黒の力」―アビスを手に入れて、再び世界の支配を賭けて天空に挑んだのです。

「復讐の大戦」と呼ばれることになるこの戦いは空前絶後の激しさであり、世界全体を崩壊させるほどの激しさでした。

「原初のあの方」はからくも戦いに勝利しましたが、これによって世界は砕かれ、更に重傷を負った創造主はそれを元に戻す力を失ってしまったのです。

さらに問題は「龍王」が持ち込んだアビスの影響がテイワットに残ってしまったことです。

「神聖な計画」によって作られたこの世界は、内部からは絶対に破ることはできないのですが、外部から「変数」が導入された場合は話が別です。

漆黒の力が「禁忌の知識」と呼ばれるのは、これがコンピューター世界(テイワット)におけるコンピューターウィルスだからです。

当然このまま放置してしまえば、テイワット全体がめちゃくちゃになってしまうのは明らかです。

天空は、テイワットがウィルスによって破壊されることを防ぐためにアンチウイルスソフトを導入することに決定しました。

それが、「天の釘」と呼ばれるものです。

これがウィルス対策と考えれば、その形のイメージが注射器に似ているのも頷けます。

*天の釘は英語で「Divine Nail」と書きますが、「Nail」には俗語で「注射針」という意味があります。

ただし、天の釘はアビスの力を浄化することが可能ですが、周辺のプログラムごと破壊してしまうという代償があります。

その上、これも所詮は一時しのぎに過ぎず、現在のテイワットのプログラムは「滅亡」という結果が決定されている状態です。

そもそも統一文明時代は、書籍に書かれているように絶対的な平和が続いていたわけではなく、何度も文明が滅亡していたことがわかっています。

それは聖遺物「祭り」シリーズに書かれている文明の輪廻です。

これによると、これまで人類の歴史は氷の時代(ヒュペラボレイヤ)→炎の時代(ナタランティアン)→水の時代(レムリア)→雷の時代(クラウンアーリヤ)という流れで、繁栄と滅亡を繰り返しています。

この輪廻は円環になっており、本来はこれを繰り返す予定だったのが古代人の計算に書かれていました。

しかし、ルネがこの世界式を再計算したところ、現在のテイワットはこの時代の滅亡で世界は終わり輪廻を巡らせる新たな文明は生まれないことが分かりました。

ヌヴィレットはある劇を鑑賞したところ、この世界の現状について考えさせられるとコメントしています。

これはイギリスの作家が書いたレベッカという小説のことでミュージカル化もされています。

前妻を亡くした紳士と再婚した女性が、彼の屋敷で暮らすことになったのですが、前妻は既に死んでいるにもかかわらず、彼女の作った「ルール」が屋敷を支配しているという話です。

このストーリーを「考えさせられる」ということは、今のテイワットは「原初のあの方」が力を失ってもなお、「ルールは変えられないという規則」はそのままに、アビスの影響によって結末が変化しても、そこからどうにもならない状況であることを指しています。

では、世界は成すすべがないままに滅亡するしかないのか?
この「出力結果」を変える方法が一つだけ存在しています。

現在のプログラムが滅亡を決定しているのであれば、そのプログラムにシステムの外部から操作して「変数」を加えればまた別の結果が出力されることになる。

もちろん、プログラム内部の人間にはそのようなことはできません。

ではどうやって変数を加えるのか?
それは勿論、世界樹外の存在——旅人という「降臨者」です。

世界に匹敵する意志が「降臨」と呼ばれるのは、世界を変える変数を入力できるからです。

そもそも世界外の存在である降臨者とは何なのかというと、端的に言えばそれはゲームプレイヤーのことです。

旅人は「あなた」のアバターであり、あなた自身は世界外の存在です。

降臨者が世界樹による改変を受けないのは当たり前の話で、たとえゲームそのものがリセットされたとしても、それによって「あなた」がゲームをプレイしたという記憶自体を失うわけがないですよね。

たとえ原神がサービス終了したとしても、「あなた」が覚えている限り、この世界は「バックアップ」を得たことと同じなのです。

そして、同時に「あなた」そのものが世界に記録されることはありません。
残るのは「あなた」が「入力」した結果だけです。

「あなた」がどのように操作するかは「あなた」にしか決められません。
それによって結果が変わる――「変数」が生まれるわけですね。

原神の最終章は、旅人が「降臨者」として世界式に変数を加えることになるのでしょう。

ちなみに雷電将軍の理念である「永遠」こそが最も「天理」に近いというのは、この天の理が輪廻であり、概念的に永遠と同じものを指すからです。

双子の秘密と世界の秘密

双子は星海を旅する存在で、これまで数多の世界を巡ってきました。

彼らがテイワットにきたのは天空が召喚に応じたからと言われていますが、これが二人の意志ではなかったことは明らかです。

双子はテイワットから逃走しようとしましたが、天理の調停者(謎の神)に阻まれ封印を受けます。

目覚めた旅人は片割れを探すためにテイワットを旅するところから物語始まります。

重要なのは、旅人がテイワットを旅しているのはあくまでも片割れを探すためであり、彼ら自身が星界を巡ることとは関係ないということです。

二人の本来の旅の目的は長らくの間不明でしたが、魔神任務第4章第6幕でついに明らかになり、それは宇宙のどこかで、「あの花(インテイワット)」が咲く花の海を探したいということでした。

ここから推測できるのは、双子の故郷は既に滅亡しており、脱出した彼らは星を巡る旅を始めたが、それは目的のない旅だった。

そこで双子は広大な宇宙のどこかには故郷と同じ花がある場所があるかもしれないから、それを探すことを目標としたのだと思われます。

双子の故郷は既に壊滅しており、彼らがそこの王子(姫)であったというのは以前から伏線が貼られていました。

ところが、たまたま訪れたテイワットにその「果ての花の海」が広がっていたという「偶然」に片割れは驚愕しました。

「原初のあの方」が作った世界は割とベースがはっきりしており、それはギリシャ神話とラテン語がモチーフになっているということです。

彼女の名は「パネース」と呼ばれていますが、これは古代ギリシャに存在していたオルフェウス教の創造神です。

そして、現在テイワットを統治している「七神」は英語ではアルコーン(archon)と呼ばれています。

開発者インタビューで「原神世界はグノーシス主義がモチーフになっている」と言われていることから、このアルコーンはグノーシス主義における「偽神」のことと結び付けられやすいのですが、この単語にはもう一つ意味があります。

それは古代ギリシャにおける都市の「執政官」の名称だということです。

ところで「七神」にはもう一つ呼び方があるのは知っていますか?
それは「俗世の七執政」です。

「ギリシャとラテンがモチーフ」というのは、最初に作られた統一文明であっても同様です。

稲妻版「闇の外海」である淵下宮は、日本文化が元になっているように見えますが、これはこの地の人々が雷電将軍の庇護下に入るために文化的迎合を行ったためであり、元々はギリシャ神話がモチーフです。

それは彼らが古海祇語と呼んでいる数字がギリシャ数字であることや、彼らの名前がギリシャ名に漢字の当て字をしているに過ぎないことからも分かります。


また淵下宮にある「蛇心の地」は元々はデルポイと呼ばれていたのですが、これもギリシャ神話に登場する地名です。

それどころか少女ヴィーラの憂鬱では説明文にはっきりと「ギリシャ神話」という単語が登場しています。

また、テイワット各地に残された原始統一文明の言語ラテン語がベースとなっています。

さて、旅人の名前である「空」と「蛍」は英語名ではそれぞれ「Aether(エーテル)」と「Lumine(ルミネ)」となっていますが、エーテルとはギリシャ神話における「空」を擬人化した神の名前であり、ルミネとはラテン語で「光」を意味します。

また、彼らの星座名「旅人座」は英語では「Viator」「Viatrix」となっており、どちらもラテン語で「旅人」を意味します。

双子の片割れはカーンルイアの王子様(姫様)と呼ばれていましたが、カーンルイアのモチーフはギリシャ神話が大きく影響しています。

蛍の頭にある「あの花」インテイワットという名のカーンルイアの国花です。

そして、その意味は「遊子」――旅人を意味します。

テイワットが「原初のあの方」によって創造された世界でありながら、その地に「あの花」が存在していたということは、「原初のあの方」と双子は同じ星の出身だったことが導かれます。

更にカーンルイアは二人の生まれた国(ギリシャ世界)そのものだったかもしれない。

そのことを知った双子の片割れはカーンルイアに属する意志を持ったために、世界に帰属することになったのでしょう。

ただし、それはあくまでも元の世界のコピー(偽物)にしか過ぎません。

片割れが天理に複雑な感情を抱いているのもその辺りが関係しているのでしょう。

そもそもテイワットは、世界外から現れた異物を排除する特性を持っています。

ところが、同じく世界外の存在である旅人には排除どころか「神の祝福」を授けます。

これらの理由は全て「原初のあの方」と双子はそもそも同じ星の出身だったと考えれば説明がつくのです。

さらに言うと、滅んだ母星そのものは「原神世界における地球」がベースだったと考えています。

地球がベースになっているのは、海神大御神によって禁じられた「謎題6」からもうかがえます。

この問題は年や時間に関するものですが、なぜこれが禁じられているのか?

この回答は地球の時間軸をベースにしています。

最後、これらの「時間」が「140億年」を生みますが、これは宇宙の年齢であり、時間とは宇宙が生まれた時から始まったものだからです。

「真実を知ること」を禁じている淵下宮でこれが禁止されたのは、すなわちこれが真実だからです。

また原神のキャラクターには誕生日が設定されていますが、それも366日設定で地球と同様で、しかも閏年も反映されています。

ちなみにテイワット自体の昼夜は地球より短いことが分かっています。

これは「深淵」の影響により「卵の中の世界」が中心に寄ってしまっているからと考えられます。

世界が小さいほど一周が早く回転する=時間の流れが速いことになるからです。

原神セレベンツで、ウェンティは世界創世神話の中に盤古の存在を語りました。

この盤古の創世神話は中国における渾天説――「宇宙の卵」説に関係しています。

天は鶏の卵殻のように球形であり、地は卵黄のようにその内部に位置し、天は大きく地は小さいとする。天の表面・裏面には水があり、天と地は気に支えられて定立し、水にのって運行している。

Wikipedia-渾天説

その卵の中もどろどろでしたが、1万8000年がたち、「盤古(古さが固まったもの)」という生き物が生まれました。盤古は成長すると、卵の殻が狭すぎることに気づき、殻をふたつに割りました。上の殻は空になり、下の殻は大地になりました。。

図解でわかる14歳からインド中国宗教文化

この「渾天説」を主張したのは「張衡」という人物なのですが、実は崩壊3rdに聖痕として登場しており、見ての通り渾天儀を所持しています。

そして、テイワットにも渾天儀が存在していることから、これが世界設定に大きく関わっていることは間違いないでしょう。

この「渾天説」に基づくと、世界外に入り込んでしまったタルタリヤの時間経過が短かったことにも説明が付きます。

彼が迷い込んだ暗闇の国(常世)には昼も夜もないため、逆に時間が流れないからです。

まとめ

今回の内容をまとめると、次のようになります。

・「原初のあの方」は既に滅んだ星(原神世界における地球)から訪れた人工知能
・彼女は母星を再現するために「旧世界」を乗っ取ってコンピューターで「テイワット(方舟)」を創世した
完璧なプログラム(神聖なルール)によって世界を再現しようとしたが、深淵を持って現れた「龍王」によって計画が狂ってしまった
・双子は、「原初のあの方」と同じ星の出身で、亡国の王子(姫)だった
・「世界の外」を拒絶するはずのテイワットが双子を受け入れるのは、「同じ星の出身」だから
・彼らはバラバラになったが、その際に片割れはこの星が「故郷のコピー」であることに気が付き、出身国のコピーであるカーンルイアに属することを決意する

他にも「原初のあの方」と「天理の調停者」の関係、「4つの光る影の正体」、「パイモンは何者なのか」などについても書きたいのですが、長くなりすぎてしまうので次回以降に作成する予定です。

余談・旅人と「あなた」の関係

僕たちが「原神」をプレイする際には天空にある扉からゲーム世界にログインする。

このログイン画面の時間は現実時間を反映している。

そして「旅人」は「あなた」である。

何が言いたいのかというと、ゲーム的な演出として、「現実世界」のプレイヤーである「あなた」「原神世界」のアバターである「旅人」として行動するという設定になっている。

あなたのアバターなのだから当然その名前は「あなたの名前」になる。

しかしながら、プレイヤーがどのような名前を付けようとも、空は「空」であり蛍は「蛍」でもある。

双子の片割れにとって、あくまでも旅人は空(蛍)であるため、どのような名前を付けようが、必ず「空(蛍)」と呼ぶ。

それどころか、「ベッドタイムストーリー」では片割れに出会うとその役割を忘れて「空(蛍)」に戻るの本当に良過ぎる

また同じホヨバ作品である崩壊3rdの最終章では、第四の壁を超えて主人公であるキアナが「あなた」に向けて話しかける演出がある。

この前日譚として「崩壊救助日誌」というイベントがあって、なんと艦長である「あなた」が「崩壊3rdというゲーム」のの中に入りバグを退治するというストーリーだった。

原神もまた最後は「あなた」の願いが旅人を助けるシーンが来るかもしれない。

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