どうも、篝火文書店の店長のはるとです。
全体的に不穏な雰囲気に漂う稲妻国の世界任務の数々。
特にヤシオリ島関連のお話は特に陰鬱度が高く、それゆえにみなさんの反響も高かったように思います。
今回は、まだ説明しないヤシオリ島関連の世界任務のうち、「公義」ことまさのり君の正体についてのお話です。
世界任務「刀の夢」について
旅人がヤシオリ島を探索していると、たたら砂で佇む武士と出会います。
しかし、その武士は、自分の名も過去も何もかも忘れてしまっていました。
旅人は彼——「無名」の武士の記憶は取り戻すために色々と質問をしますが、彼の記憶は戻らず、それどころか正気をすでに失っていたためか刀の囁きに導かれ、旅人を斬ろうと果し合いを挑んできます。
旅人は果し合いで彼を打ち倒して正気に戻しますが、やはり記憶は思い出せません。
しかし、無名の繰り出す剣術の話に至ると様子が少し変わります。
彼はたたら砂から北にある漁村で貧しい幼い子供二人が刀を持って剣術に励む姿を思い浮かべました。
その子供たちの刀を見れば何かを思い出せるかもしれないと言われたため、旅人は刀を求めてその家に向かいます。
ところが、その家を訪れても誰も住んでいる様子はありません。
無名武士に言われた通り、丘に登ると1本のボロボロになった刀と手紙が置き去りにされていました。
無名武士の話では、ここには2本の刀があるはずですが、もう一本はどこに行ってしまったのか・・・。
気を取り直して手紙を読むと、「公義」なる人物が父親に充てたものでした。
「公義」は研次という幼馴染とともに兵士として励み、一般兵から旗本にまで出世したという誉の手紙でした。
しかし、今の時点ではこの手紙の意味は何も分かりません。
無名武士の言う二人の子供が「公義」と「研次」なのでしょうか。
彼の元に戻りボロボロになった刀を見せると、やはりこの刀は記憶に残る子どもたちの物だったようです。
記憶が混同しているようで自身では気が付いていませんが、この子供のうちの一人は無名武士自身のことなのは明らかです。
しかし、彼が取り戻した記憶は、自身が誰にも負けたことのない剣豪だったという事でした。
負け無しだった自分が旅人に負けたことが納得いかないと彼は再び勝負を挑んできます。
再度彼が撃退すると、また彼は落ち着きを取り戻します。
そして、月の下で仲間とともに酒を飲んだ過去を思い出しました。
鎧や刀——武士の沢山いる拠点は、抵抗軍と戦う、天領奉行の九条陣屋のことではないかと思い立った旅人たちは、九条陣屋で彼の知り合いを探すことにします。
旅人が兵士たちに聞き込みをすると、松平という兵士が漁村から成りあがった武士の旧友であったという話を聞けます。
彼は剣術の才能があり、同郷の人間とともに旗本まで抜擢されました。
松平は軍にいたときに、彼らと酒をよく酌み交わしていたとのことで、記憶を取り戻す手助けをするために、その時の酒を譲ってもらいます。
松平から受け取った酒を無名に渡すと、彼はまた少し記憶を取り戻します。
昔、誰かが酒壺を持ち上げ「公義、もう一壺を飲もう」と言った記憶があるということです。
そこで自分の名前は「公義」ではないかと思い返します。
更に「公義」には、兄弟のような友がいましたが、その友人となにかを言い争いをし、結局は去っていったことを思い出します。
しかし、なぜ争ったのかまでを思い出すことができません。
記憶を思い出すために、再び旅人と戦いたいという「公義」の願いにより、旅人と「公義」は三度目の刃を交えます。
―――旅人と戦いを終えた「公義」は更に記憶を思い出します。
誰かから刀を落ちるのを見た瞬間、「公義」は震えるほどの恐怖を覚えそこからここまで逃げ出してしまったのでした。
その場所は合戦場なのですが、その刀が何だったのか戦場で何があったのかまでを思い出すことができません。
旅人は、彼の記憶のために干潟に向かいます。
合戦場の跡地を根城にする浮浪人たちを倒すと、ボロボロの手紙とボロボロの刀が落ちていました。
その手紙は「公義」から「研次」に対しての手紙でした。
「公義」は、反乱軍との戦いで敵の兵士を殺害しますが、殺した後にその兵士が持っていた家族宛ての手紙から、彼がかつての恩人であったことに気が付きました。
そのとき、反乱軍の兵士も人間であり家族がいることに気が付きます。
殺してしまった恩人の家族に対するせめてもの詫びとして手紙を届けようとしますが、それが仲間にバレて殺されそうになってしまいました。
そのため「公義」は軍を脱走してし、彼もまた反乱軍に所属しました。
しかし、「公義」は「研次」にだけは誤解されたくないと思い、彼に渡す手紙をしたためます。
この手紙が渡るとき、戦争を終割っていて二人で最初の刀を持って故郷に帰れることを望んで・・。
旅人は「公義」に手紙と刀を渡すと、「公義」はこれまで以上に動揺し、発狂して旅人に襲い掛かります。
旅人は発狂した「公義」を打ち倒し正気に戻しますが、彼はもう自分の過去を取り戻すことを諦めます。
過去を思い出そうとすればするほど深い悲しみを感じてしまうのだと。
旅人は、彼の想いを受け入れて、この物語はここで終わります。
任務が終了しても、「公義」とは何度でも戦うことができ、30秒以内で撃破するとアチーブメントが入手できます。
また、ゲーム内時間が「0:00~2:00」の間に戦うと、通常は2分の制限時間が5分になり、全ての能力が強化された強化版の「公義」と戦うことができます(メリットはなし)。
「刀の夢」の真実の物語
この物語は、登場人物の記憶が曖昧だったり証言を濁したりするなど、わざとプレイヤーに分かりにくくするような構造になっています。
旅人が出会った無名武士である「公義」はもちろん本人ではありません。
彼の真の名前は、公義の親友であった研次です。
彼の名前である「公義」が「」で括られているのは、もちろんそれが真の名ではないという演出です。
任務遂行中では名前を濁していましたが、任務終了後に再び松平の元に訪れると死んだほうが公義であり、狂ってしまった無名武士こそが研次であると教えてもらえます。
公義と研次は同じ漁村の出身で、拾った刀で剣の練習をし、そして旗揚げのために幕府軍に所属しました。
彼らの実力は確かであり、すぐに頭角を現して旗本にまで抜擢されました。
この時、公義は自分の出世と松平と言う友人ができたことを家族に送っています(一通の家信)。
しかし、「ボロボロな手紙」に記載されている通り、公義は戦場で元恩人であり反乱軍に寝返った兵士を殺害したことをきっかけに戦争に疑問を覚えます。
そのことを研次——今の無名武士―—に伝えると、彼はまさか自分の親友が戦いに疑問を覚える恥知らずだとは思わなかったと喧嘩になり、そして公義は軍を去りました。
しかし、そこで再び運命の悪戯が起きます。
公義が研次に充てた手紙は彼に届かず、研次は逃げた公義が反乱軍に与していたことを知りませんでした。
幾度となく起きた幕府軍と反乱軍の戦い。
研次は合戦で更なる手柄を立てんと敵兵を殺害します。もしかすると勝手に立ち去って行った公義への怒りもあったのかもしれません。
戦場で自分の敵が一体誰であるかなどに心を巡らす余裕などあるはずもなく、研次は次々と敵を打ち倒していきましたが、とある敵兵の手から刀が地面に落ちた時、研次は気が付いてしまいました。
その刀が幼いころから見覚えのあるもので、そして忘れることなどできようもない親友の刀であることに・・・・。
自分が切り殺した相手が誰だったのかを理解した研次は、戦場から逃亡しそして悲しみから逃れるために全てを忘れてしまいました。
現れた旅人の手助けにより、断片的ながらも記憶を取り戻していきますが、中途半端なものであったために自分の名を「公義」であると思い込んでしまいます。
最終的に彼は記憶を取り戻すことを拒みますが、それでよかったのかもしれません。
真実を知ることが必ずしも正解ではないのですから・・・。