今回は崩壊スターレイルの基本的な世界設定についての解説を行いたいと思います。
スターレイルはゲーム内でしか通用しない専門用語が非常に多く採用されており、やってみたいけどストーリーがよく分からないなあとか、やっているけどここがよく分かってないなあという人向けの内容になります。
解説の都合上、ストーリーのネタバレに繋がる内容も含まれているのでご了承ください。
- 「崩壊スターレイル」は「崩壊シリーズ」の”新作”であり、他作品と世界観を共有している
- 「ヴェルト・ヨウ」と相方の「虚空万象」は「崩壊3rd」に登場する人物と同一人物だが、それ以外の登場人物は、例え名前と姿が同じであっても他のシリーズとは無関係な別人
- 宇宙は光さえ通さない「虚数エネルギー」に満ちているため、他の星に移動することは通常の手段では不可能だったが、「開拓」のアキヴィリが「星軌」という星と星を繋ぐレールを開き、星間旅行が可能になった。
- 信念や哲学などの「概念」が「運命」になる
- 星神は、その「運命」を掌握したもの
- 人間の意思と「星神」の「運命」の道が重なるとき、人はその「運命」から力を引き出すことができる。その人々を「運命の行人」と呼ぶ。
- 「派閥」とは、星神の運命を独自に解釈した集団の集まり
- 「光円錐」は過去にあった「記憶」を物質化したもの。
- 「星核」は星穹列車が走る星軌を歪ませてしまうため、これを取り除くことも目的の一つとしている。
基本的な世界観
崩壊スターレイルはその名の通り、崩壊学園や崩壊3rdといった「崩壊」シリーズの1作品であり、設定も一部共有しています。
MIHOYOの作品群ーーーホヨバース世界は「虚数の樹」と呼ばれる巨樹で宇宙が成り立っており、その木に生えた無数の葉一つ一つに独自の文明が存在しているという世界観です。
(これはあくまでも概念の話であって、世界自体が葉っぱの形をしているわけではない)
また、その虚数の樹は「量子の海」という名の可能性のプールから生えています。
虚数の樹はそのプールから可能性を吸い出して「世界という葉」を生やすのですが、その過程として文明が発展した世界に「崩壊」という剪定のハサミを差し向け、そのハサミに負けた――滅んだ世界は樹から切り落とされ、量子の海に沈んで水泡になるという無限のループを繰り返しています。
その葉の一つが崩壊学園であり、また別の葉が崩壊3rdの世界になります。
ただし、これまでのシリーズは基本的に「一つの葉(世界)」を物語のベースとし、それに近い異なる世界がサブ的に登場するという形でしたが、崩壊スターレイルは「開拓」の星神の力により、世界と世界を渡ることが格段に容易化しており、複数の葉群が並列的に登場する点が他と異なります。
また、崩壊シリーズではない別作品である「原神」もこの「虚数の樹世界観」に属しているのはスタッフインタビューで確定しています。
これら違う葉の世界は平行世界の関係にありますが、一本の同じ木から生える葉ということで、そこに登場する人々の中には、異なる世界であるにも関わらず、似通った外見や名前を持っているケースが多々あります。
要するに、同じ絵柄のキャラクターをスター(俳優)であるかのように、異なる作品に異なる役割で登場させるスターシステムと呼ばれるものを設定として落とし込んでいるわけです。
重要な注意点としては、これらの「似通った人物」たちはあくまでも「平行世界の存在」であり、根本的には別人だということですね。
例えばスターレイルのヤリーロ-VI編に登場するブローニャやゼーレは「崩壊3rd」にも登場しています。
しかし、スターレイルのブローニャは「ヤリーロ-VI」と呼ばれる星の指導者の娘という設定ですが、崩壊3rdのブローニャは「天命」という崩壊から世界を守る組織の一員です.
それに、名前は同じと言いましたが、名字は異なっています。
(スターレイル:ブローニャ・ランド、崩壊3rd:ブローニャ・ザイチク)
また性格と基本設定が大幅に変わっているキャラとしてはゼーレが挙げられます。
崩壊3rdのゼーレは、大人しい性格の「白ゼーレ」と、聖痕に封じられた別人格である好戦的な「黒ゼーレ」の二つの人格が一つの肉体に共存しているという設定でした。
この二つの人格設定はスターレイルでは完全になくなっており、好戦的な人格のみになっています
(可愛いという点は全作品で共通しています)。
3rd世界との繋がりについて
先ほど、スターレイルの登場人物と他の崩壊シリーズのキャラクターは、どれだけ似ていても別人であると説明しましたが、例外の人物が二人だけいます。
それがプレイアブルキャラの一人「ヴェルト・ヨウ」と協力者の「虚空万象」で、彼らだけは崩壊3rdに登場する人物と同一の存在です。(「虚空万象」自身はスターレイル内では未登場)
崩壊3rd本編8年後の未来を描いた「後崩壊書」というサイドストーリーで、人類は「天上の人」という異星人の侵略を受けますが、この侵略の裏で暗躍をしていたのが「虚空万象」と呼ばれる「羅刹」と酷似した外見を持つ人物でした。
羅刹の同行任務で、彼の姿を見たヴェルトが眉をひそめたのは、彼の姿が虚空万象とその肉体のベースとなったモデルの人物と似ていたからです。
後崩壊書では紆余曲折を経て、ヴェルトと虚空万象は手を組むことになりますが、このストーリーから更に未来の2029年において、彼らは「天上の人」の前線基地に侵入し、彼らが不思議なことに「姫子」に興味を持っていることを知ります。
しかし、その姫子は自分たちが知る人物ではない「平行世界の別人」であると虚空万象は説明しますが、彼は別人と知っていても、彼女を救うために異世界に赴くことを決意します。
その後、天上の人を阻止した二人ですが、その代償として宇宙船が損傷し、宇宙の彷徨い人になっていたことを偶然、スターレイル世界の姫子に助けられ、スターレイル本編に繋がることになります。
つまり、崩壊スターレイルは崩壊3rd本編世界の「未来であり、別世界である」という立ち位置にあります。
よって、未来という点に着目して二作品間を「続編」とする考え方もありますが、世界そのものが別であることと、開発者自身が「続編ではなく新作」と強調しているため、全く別の「新作」として見るべきなのかなと
そのうえで強調させていただきたいのは,「崩壊:スターレイルは,崩壊シリーズの“新作”」だということです!
「4Gamer:開発者インタビュー」より
「崩壊3rd」の続編ではなく,すべてのユーザーにまったく新しい気持ちで楽しんでもらえる新作として,物語も遊び方も完全に独立させています。
ちなみに虚空万象自身は、途中まではヴェルトらと一緒に乗車していましたが、いつの間にかいなくなってしまっています。
星神(アイオーン)
星神とは、その名のとおりスターレイル世界での神と呼べる存在であり、無限の可能性を持つ虚数エネルギーの中から、「運命」を掌握した知的生命体が昇華した存在で強大な力を発揮することができますが、その条件や原理についてほとんど分かっていません。
なお、「知恵」の神ヌースのようにロボットから昇格した存在もいますが、この世界では機械も自我を持ち得る知的生命体として定義されてます。
例えば、ヘルタの友であるスクリューガムは感情面を持っていたり、人間に酷使され捨てられたロボットに自我が芽生え人類に反乱を起こす「機械皇帝戦争」なども起きています。
星神は人間の想像を絶する巨大な力を扱えますが、その代わりその運命の「原動力」に縛られることになります。
例えば、「知恵」の星神は一心に万物の答えを求め、「壊滅」の星神は破壊のことしか考えないというように、その運命に基づいた行動しか行えないようになります。
ただし、「開拓」の星神アキヴィリだけは、人間のように自由意思があったと言われており、模擬宇宙では「普通の人になって旅をした」と語られるなど、星神の中でも特別な存在であったようです。
現在判明している星神は死亡しているものも含めて、18柱存在しています。
「運命」とはなんなのか
星神は「運命」を掌握したと説明しましたが、この運命とはなんなのでしょうか?
その本質はいまだ謎に包まれていますが、今のところは無限の可能性を秘めた虚数エネルギーのうち哲学的な「概念」を取り出したものです。
そして、運命の道と人間の強い意思が重なった場合、その人間も「運命」の道から力を引き出すことができるようになります。
これらの人々は「運命の行人」と呼ばれ、人間を超えた力を扱うことができますが、それでも星神とは比較にならないレベルの弱い力です。
「運命」を流れる川に例えれば、「星神」は津波で、「運命の行人」はその飛沫程度のものでしかありませんが、それでも通常の人間よりは圧倒的に強力な力を秘めています。
原神で言うと「神の目を手に入れた人間」と似たようなものですね。
また、「運命の行人」は基本的に運命という川から勝手に水をくみ取っているに過ぎないので、星神側からはほとんど認知されていません。
しかし、極まれに星神が直接人間に目をかけ、運命の力を授けることがあり、このような人々は「使令」と呼ばれ、より強大な力を扱うことができます。
今のところプレイアブルキャラクターの中ではヘルタが「使令」で確定しています。
「使令」は必ずしも星神の命令に従っているわけではありませんが、一般の人からは神の直接の使いであると概ね認識されています。
注意点としては、人間の行動理念や性格は時間の経過や状況の変化で刻一刻と変わるように、必ずしも一度決まった運命に縛られるわけではないという点が、星神と人間の最大の違いです。
例えば、用心棒である丹恒は「巡狩」の運命を持っていますが、飲月の乱を起こして羅浮に被害を与えたと言われている丹恒・飲月は「壊滅」の運命を持っているように、キャラクターの運命はその人物の一つの側面を表しているに過ぎないというぐらいの理解でよいと思います
また、星神が死亡してもその「運命」は閉じられることなく残り続けます。
アキヴィリが死んでも「開拓」の旅が続けられるのはそのおかげです。
星神の数だけ運命がありますが、現在のところプレイヤーに対応した「運命」は7種類のみです。
原神と違い7つであることに特に理由は説明されておらず、バランス調整によるものと思われますので、今後サービスが続けば、もっと多くの運命が解放されるかもしれません。
運命は哲学的概念によるものであるため、その能力は、ある程度その「概念」に沿って決められます。
例えば「何かを守る」という「存護」の信念(運命)を持った人は「保護(バリア)」の力に優れており、人々と協力し合う「調和」の信念(運命)を持った人は、仲間を強化する能力として表現されます。
RPG的には「クラス」や「職業」と呼ばれるものに近く、持っている「運命」によって役割が明確に分かるようになっています。
派閥とは
派閥とは、星神の「運命」について独自の解釈を実践している人間の集団です。
この「独自の解釈」というのがポイントで、矮小な人間に星神の「運命」を完璧に解釈することは不可能であるため、その運命をどう解釈するかにより、同じ運命でも派閥は分かれることがあるということですね。
例えば「記憶」の星神浮黎の派閥である「ガーデン オブ リコレクション」は、世界の全ての記憶を記録として集めることが目的です。
しかし、この「記憶」に関する解釈を別に捉える派閥もあります。
記憶の派閥の一つ「焼却人」は、記憶には優劣があると考えています。
歴史を揺るがすような大事件の記憶は価値があるが、凡人が昨日食べた夕食の記憶に何の価値があるのか・・・?ということですね。
彼らはガーデンが収集した記憶の保管庫に侵入し、価値がないと判断した記憶を完全に抹消することを生業としています。
また、「愉悦」の星神アッハの派閥の一つである「仮面の愚者」は世界の真実はジョークであり、アッハと笑うためには手段を選びませんが、「弔伶人」は愉悦とは人生を絶望に誘うものであり、生物は悲しみと悲劇を背負うべきであると解釈しているなど、「愉悦」の真逆の行動をしていますが、アッハはこれを「ブラックジョークの一種」として力を貸しています。
光円錐について
主人公たちが装備している光円錐はゲームシステム的には「武器と防具」をセットにしたようなものですが、これにもきちんとした設定があります。
光円錐とは、記憶の星神の力を利用して、過去に本当にあった記憶の断片を抽出して物質化したものになります。
記憶を残せるということは、その記憶に含まれた経験や能力も残せるという理屈により、身に着けた人間にその記憶に相応しい強化を与えられることになります。
アーカイブの光円錘の項目では、各光円錐にどのような記憶が残されているかを確認でき、その人物の過去の記憶を垣間見ることができます。
例えば、「過去と未来」は御空が第三次豊穣戦争に参加したときに話ですし、「世界の名を以て」はヴェルトが「先代ヴェルト」から名前と力を継承したときの話です。
(*「ヴェルト・ヨウ」は「二代目ヴェルト」です)
現在プレイアブルされているキャラは元より、これから先に実装されるであろう未登場キャラの光円錐もありますので、今後の期待が高まりますね
星穹列車と星間旅行と星核について
主人公たちが乗車している星穹列車は、開拓の星神アキヴィリの遺産で、主人公たちはこれに乗車して宇宙を旅しています。
先ほど、ホヨバースの世界は虚数の樹とその葉から世界が成立していると説明しましたが、通常の手段では、葉から葉へと異世界に渡ることは容易ではありません。
何故なら、世界間にある宇宙空間は「虚数エネルギー」と呼ばれるエネルギーに満たされており、この中では光でさえまともに進めないからで、そのために人々は宇宙に思いを馳せながらも、その試みは失敗していました。
しかし「開拓」の神アキヴィリが誕生したことによってこの状況に変化が生じました。
アキヴィリの持つ「開拓」の力は、星と星を繋いだ星軌と呼ばれるレールを作り出し、この星軌上で星間跳躍装置を使うことで、異なる星同士を渡れるようになりました。
列車組の星間跳躍装置は星穹列車で、各派閥はまた異なる「星間跳躍装置」を利用していますが、今のところ他の派閥が具体的にどのような装置を使っているかは不明です。
こうして星と星を繋ぐ、「開拓」の時代が訪れましたが、いつの間にか星間航路上に突如として虚数エネルギーの流れを乱す物質——星核が現れました。
この物質は非常に侵略性が高く、隣接した世界を飲み込み変化させ感染させるその有様から癌細胞のように宇宙各所で拡散する「万界の癌」と呼ばれるようになりました。
万界の癌に汚染された世界はほとんど回復が見込みがないとされており、作中では「ヤリーロ-VI」を寒波で覆いました。
星核が虚数エネルギーを乱すというのは、安全であったはずの航路が歪んでしまうことを意味しており、そのまま列車を走らせることは非常にリスクが高くなります。
このため「開拓」の派閥である星穹列車はこの星核を取り除くことも目的の一つとしています。
星核は、宇宙を破滅に追い込むことを目的とした星神「壊滅」のナヌークがばら撒いているというのが一般的な説ですが、ヤリーロ-VI編ではベオブルグを破壊しようと天外から来訪した「壊滅」の派閥、反物質レギオンが星核の力によって撃退されるという現象が起きています。
よって単純に全ての星核が「壊滅」の意志であるとは言えず、その正体はまだ大きな謎が残されています。