昔々、璃月のあるところに「常九」という少年と「九」という少女がいました。
常九君は常家の九人目の子供、九ちゃんはある一家の九人目の子供。
同じ由来を持つ名前を九ちゃんは気に入っていました。
二人は幼馴染で、九ちゃんは承久君の物語が大好きでした。
だから彼女は毎日彼にお話しをしてってせがみます。
そこで常九君は九ちゃんに自分が書いた本をプレゼントしてあげます。
ところがその後、九ちゃんは常九君に何も言わずにいなくなり、いくら探しても見つかりません。
常九君は「きっと家族が俺のことを気に食わなくて引き離すために引っ越したんだ」と思い、悲しみを背負って大人になりました。
しかし常九君は大人になっても九ちゃんのことが忘れられません。
「そうだ。有名な小説家になって名が売れれば九のやつも俺の名前を目にするはずだ!」
天才的なひらめきにより日夜売れない小説を書いては賞に出して落選する毎日でしたが、何度も書いているうちに何回か本とかは出せてるみたいです、普通にすごいね。青春だね。
ちなみに彼が筆名ではなく本名を使うのは、当然そうじゃないと九ちゃんに気が付いてもらえないからですね。
しかし、彼の名前の本が出版されるようになっても九ちゃんからの連絡はありません。
もっともっと有名になるぞと常九青年はさらに精進を重ねて小説を書く毎日なのでした。
みんなで応援しようね。
ところで九ちゃんのことですが、なぜ彼女は突然何も言わずにどこかへ行ってしまったのでしょうか?
不思議だなあ。
それは昔々ある日のこと。 九ちゃんは常九君にもらった本がとても気に入りました。
その本があまりにも面白くて夢中になりすぎた彼女は、いつの間にか常九がいなくなっていたことに気が付きます。
九ちゃんは彼を探そうと川付近をうろうろうろうろ歩き回ります。
もう!九ちゃん!そんなことしたら危ないよ!
言わないことはないとばかりに、九ちゃんはうっかり足を踏み外して川に落ちて死にました。
死にました。
自分が死んだことにも気が付かず、もうどこかへ流されてしまった本を探して永遠に彷徨うことになったのでした。あーあ。
常九君は小説を書いて有名になればまた会えるかもって思ってますが、そもそも君が小説を書かなければこんなことにならなかったかもしれないのにね。
おしまい。