お代はラヴでけっこう

原神のあるきかたVer7.0

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※この記事はVer.7.0イベント「冒険者競技大会」までの内容を含みます。

記事はVer.7.0イベント「冒険者競技大会」までの内容を含みます。

魔神任務導入部分

ついに解放されたスネージナヤ地方。

通常通りに物語を進めた場合はナド・クライ冒険者協会前にガイドピンが来ていて、ここから開始しますが、スネージナヤ地方にはグライアイ関連のイベントがあるためか、魔神任務が強制になっています。

そのため、スネージナヤの自動開放ワープポイントに移動すると強制スタートになり、そこからナド・クライを回想するという構成になっています。

なのでテキストを読みたい人は、実はガイドを無視してスネージナヤへワープしたほうがちょっとだけ内容が増えるという仕様です。

あと、非常に細かい違いなんですが、「コロンビーナ」に出会ったことがなくクイックスタートで始めた場合は名前が「少女」になっています。

普通に顔見知りというテイで話が進むので、なぜわざわざそんな差分を作ったのか謎過ぎますが・・・

あと地味に「そこ触れるの?」って思ったのがタルタリヤの璃月の件ですね

璃月魔神任務でタルタリヤは魔神オセルを召喚して璃月港を混乱に陥れましたが、この復活は計画にあったものではなく、「面白そうだから」という理由で行き当たりばったりで行ったことでした。

この件で璃月への被害が七星と仙人たちの協力によって防がれ、実質的な被害はなかったことから帝君はご満悦でしたが、あくまでも「璃月への被害」がなかったということ。

そう、第九中隊ですね。

第九中隊は璃月の千岩軍と合同を組み層岩巨淵を調査していており、この調査は「漆黒の災害」のためのもので一切の暴力は関係ないと言われてきました。

しかし、タルタリヤが起こしたオセル事件が原因により「ファデュイは信用ならないため一切の手を切る」という通達がなされ、千岩軍は彼らを見捨てて脱出しますが、旅人は彼らに食料の一部を分けますが、「雄鶏」は合理的な判断によって彼らを見捨て絶望的な状況になっていたところで任務は終わり、彼らの行方は・・・という状況になっていたのですが、スネージナヤに無事アントン他4人も帰還していたことが分かりました。本当に何も知らせずに出て行ったために彼らは「あれ?千岩軍がいつの間にかいないぞ?こんな他国の地底に取り残されて食料や補給はどうなるんだ?」という大ピンチの状況に陥ったのです。

64人もいた部隊はバラバラになり、残ったのはわずか5人という状況。

旅人は彼らに食料の一部を分けますが、「雄鶏」は合理的な判断によって彼らを見捨て絶望的な状況になっていたところで任務は終わり、彼らの行方は・・・という状況になっていたのですが、スネージナヤに無事アントン他4人も帰還していたことが分かりました。

ただし、彼らの部隊とは別の生き残りであるカタリナは帰ってきていません。

カタリナも層岩巨淵の部隊の一人ですが、主部隊とはぐれてしまい、弟であるニコライの行方を探していました。

残された手紙の内容から見て、ニコライは黒蛇騎士によって殺害され、彼の最期の居場所を聞いたカタリアもまた同じように黒蛇騎士によって殺害されたと推測される闇深任務でしたが、残念ながらスネージナヤでも帰還の報はなかったので、とりあえず脱走していることを祈りしかないですね。

あと、地味に小ネタの宝庫になっているロコットの申込書

空とモンパイ(パイモン)は説明するまでもないネタですね。

「フェド・ミラー」は「フェイクのレッド・ミラー」という宝盗団創始者の名前を騙っているのですが、「レッド・ミラー」自体が偽名なので「偽名の偽名」というネタ

そして「アワハ・クムルカン」はナタ「13領主」のうち第四位の名前そのものです。

過去の動画でアハウの本名について「第四位か第十位までは絞れる。ただ個人的には十位の可能性が高い」という話をしたんですが

今回わざわざ名前を出してきたということは、4位の可能性が飛躍的に高まってしまった・・・。

オクタ・タヴィアは魔女会の一人である、魔女「O」ことはオクタヴィアのこと。

ストーリー中には登場していませんが、星々の幻境を創造した人物のため顔グラだけは出ています。

そして、なぜか唐突に登場する香菱

他の名前はもじっているのに、なぜか香菱はそのままなのが謎ですが、これは中国語のみ意味が通る小ネタです。

中国語版ではこの選択肢の名前は「王小美」となっており、これは中国における超ありふれたテンプレ名のことで、日本語で説明すると「山田花子さん」と言っているようなものです。

おして璃月編魔神任務で、旅人が甘雨と会った時に名前を思い出そうとするのですが、中国語原文では、間違った選択肢にあるのが、この「王小美」なんですね。

ところが、これが日本語だと知っている璃月人の名前である「香菱」の名前を与えられた

推測ですが日本風の名前だと雰囲気が壊れるし、かといって中国人の鉄板名なんて日本人に分かるわけがないことからこういう形になったんだと思いますが、まさか5年後にこれが回収されることになるとは思うまい・・・。

そういうわけで、このまま「王小美」に対応する「香菱」になったわけですね。

紀行武器

スネージナヤで追加された新紀行武器ですが、武器物語そのものはモノマフ関連以外は全部他の国の者です。

Screenshot

片手剣:異端を狩る熔刃――ナタ/オチカンの物語

持ち主は名前こそ直接書かれませんが、「もう半分の血」を忌み嫌っていること、古代語と虹色の力を扱い、素手で龍と戦えることから、ナタの旧支配者であるオチカンの武器で間違いありません。

若き日の彼は、英傑たちと龍の拠点を攻略していた時代に、シュバランケから古龍の創造物を溶かして作られた剣を贈られ、そしてその剣を人ならざる者を滅ぼすための象徴とします。

ところが後年、深紅の瞳をした少年と戦った際、その剣を弾き飛ばされて自身の胸に突き刺さって死ぬという最期を迎えました。

オチカン自身にも龍の血が流れているため、「異端をすべて狩り、人間だけの国を作る」という当初の誓いは、「最後の異端」である彼自身の死をもって「人間だけの国」が完成する、という皮肉な結末を迎えます。

あと最後の詩的な表現は、オチカンが狡猾な赤狐の幻影を見て「こうするしかなかった」と呟いていることから、暴走したオチカンは自分では止まれず、殺されて終わるしかなったということですね。

弓「千鈞懸黎せんきんけんれい」――璃月/モラクスと魈

「千鈞懸黎」は、これまで数行しか語られていなかった魈の“モラクスに救われる以前”を、ほぼ一つの短編として補完した武器物語です。

今回特に大きいのは、単に「魈の主人は邪悪な魔神だった」というだけでなく、

その魔神がどのように人を支配していたのか。
魈に何をさせていたのか。
そしてモラクスが、どのようにその魔神を倒したのか。

ここまで具体的に描かれたことです。

物語には、魔神に縛られた「忠実な悪犬」が登場し、彼は目に見えない鎖に縛られ、激痛に耐えながら「美夢」を飲み込まされています。

一方、魈のキャラクターストーリー2では以前から、

若い頃に魔神に弱点を握られて支配されたこと。
残虐な行為を強制されたこと。
敗者の「夢」を無理やり飲み込まされたこと。
自分の身体を自由にできず、逃げることもできなかったこと。

が語られています。

さらに魔神戦争の中でモラクスがその魔神と遭遇し、彼女を倒したことで魈が解放されたという経緯まで一致しています。

そのため、この「忠実な悪犬」はほぼ間違いなく魈のことです。

ただし魈は金鵬――つまり鳥の系譜を持つ存在です。

ここでの「悪犬」とは種族を指しているのではなく、主人の命令に強制的に従わされる猟犬、あるいは奴隷という侮蔑的な比喩なのでしょう。

そして以前から謎だったのが、魈が「敗者の『夢』を無理やり飲み込まされた」という部分です。

普通に眠って見る夢なのか。願望や理想という意味での「夢」なのか。あるいは、実体を持った特殊な精神エネルギーなのか。

どうやらこれらはそれを総合したもののようでした。

この魔神は人間の心を壊すことを楽しんでいました。

勇敢な英雄には恐怖を植えつけ、無私の王には屈服を強い、愛し合う恋人たちには疑念と裏切りを与える。

そして、そうして壊された「夢」を魈に飲み込ませていました。

つまりここでいう「夢」とは、単なる睡眠中の映像というより、人が心の中に抱いていた理想、愛、希望、誇りまで含んだ「美しいもの」であり、それを意図的に壊し、その残骸を魈に喰わせていた。

ちなみにこの魔神は、中国語原文で女性の三人称を示す「她」が使われているため、女性の魔神であることが分かります。

また彼女は、「愛など束の間のものにすぎず、権力こそが美夢の材料だ」という思想を語っています。

ここから見るに、この魔神の本質は「夢」そのものよりも、他者の心を所有し、支配することにあったのではないでしょうか。

恐怖を与えれば英雄すら折れる。権力を振るえば王すら跪く。愛する者同士でさえ、疑わせれば壊すことができる。

つまり彼女は、「人の絆などすべて力で破壊できる」ことを証明し続けていた魔神だったように見えます。

そして魔神は魈に「夢」を喰わせながら、「どんな味がする?」と問いかけます。

つまり彼女にとって魈は、敵を殺すための兵器であると同時に、自分が人の心を壊した成果を確認するための道具でもありました。

誰かの愛を壊す。誰かの理想を壊す。誰かの勇気を壊す。

そして、その壊れた「夢」を魈に喰わせ、その味を尋ねる。

精神的な支配と肉体的な虐待が、同時に行われていたわけです。

それでも魈は完全に従順になったわけではなく、武器物語では、苦痛を受けながらなお抵抗していたことが描かれています。

つまり当時の魈は、心は折れていないのに、身体だけを支配されていた。

キャラクターストーリーにあった「体が思いどおりにならなかった」という一文が、今回かなり生々しく補完されたことになります。

そしてこれまでは、モラクスが魔神に勝利し、その結果、魈が解放されたという程度しか分かっていませんでした。

しかし『千鈞懸黎』では、その戦いの結末まで描かれています。

他人の弱点を見抜くことに長けていた魔神は、自分自身の心臓が玉の矢に射抜かれることまでは見抜けなかった。

そして神体が崩壊すると、彼女が抱えていた無数の「夢」の欠片も一緒に砕け散ります。

人の「心」を支配した魔神が、最後には自分の「心臓」を射抜かれる。
人の弱点を見抜いてきた魔神が、自分自身の致命的な弱点を見抜けなかった。
人の夢を壊して楽しんだ魔神が、自らの死と同時に、その夢のすべてを失う。

彼女の最期は単なる戦死ではなく、ここはかなり綺麗な因果応報として描かれています。

こうして、キャラクターストーリーにあった数行の過去が、ようやく一本の事件として繋がりました。

また武器名の「千鈞懸黎」にも魈との繋がりが仕込まれています。

魈のモチーフ武器は「和璞鳶」ですが、中国古代の書物『戦国策』には、「梁には懸黎、楚には和璞がある」という趣旨の一節があります。

つまり、「懸黎」と「和璞」は同じ一文に並んで登場する二つの名玉なのです。

つまり

魈の過去を終わらせたモラクスの武器が「懸黎」。
解放された後の魈を象徴する武器が「和璞」。

という対比が見えてきます。

恐らく『戦国策』に並ぶ二つの名玉を意識して、魈の過去と現在を対にした命名のようにも思えます。

余談――なぜ魈は杏仁豆腐が好きなのか

魈の好物といえば杏仁豆腐ですが、彼は単純に甘い物が好きなわけではありません。

その理由は、杏仁豆腐の「食感」が、かつて食べさせられていた「美夢」に似ているからです。

その「美夢」は自分から望んで食べたものではなく、魔神に支配され、苦痛の中で無理やり飲み込まされていたものだと分かりました。

つまり杏仁豆腐は、魈にとって最も苦しかった時代の感覚を思い起こさせる食べ物です。

それでも彼がこれを好むのは、同じような食感でありながら、今度は誰かの夢を奪う必要もなく、自分の意思で食べられるからなのかもしれません。

かつての魔神は「美しい夢」は人を壊さなければ手に入らないと考えていましたが、本当は牛乳と砂糖と杏仁さえあれば人の手で容易く作れるものに過ぎなかった。

さらに魈の特製料理の名前も「夢」です。

昔は他人の夢を喰わされていた魈が、今ではようやく「自分自身が良い夢を見ること」を願えるようになった。

そう考えると杏仁豆腐は、魈にとって単なる好物ではなく、過去の苦痛と同じ感覚に、新しい意味を与え直した料理なのだと思います。

長柄武器「氷の吐息」――スネージナヤ/ツァーリ・ベールイ=モノマフの物語

5本の中で最も直接的にスネージナヤ史を描いています。

若きモノマフは、「血染めの王女」「緋色の雪の王女」と呼ばれるヤリャーネ・モレヴナ師匠から槍術を叩き込まれます。

その師匠に対して「最強の槍の使い手」を聞いたところ、「高天の主を射落とせるほどの長槍」を使い「広大な雪原を貫くほどの一撃」を見たことがあると返されました。

その言葉を信じて槍術を磨き続けたモノマフは、やがて北方を統一し、神の心を得て初代氷神ツァーリ・ベールイとなりましたが、それでも師匠が語った「広大な雪原を貫き、獣の大群を木っ端みじんにするほどの一撃」を再現することはできませんでした。

神となった後も何千年も悩み続け、全力で槍を投げてもスネージナヤの半分ほどしか飛ばない。

十分すぎるほど人外ですが、師匠が嘘をつくはずがないので自分には師の語った境地へ届くだけの力がないだけだと考え続けていました

ところが工業化した時代、工房で量産された「銃」を目にしてようやく真相に気付きます。

師匠は「黄金の都の槍」を「一突き」ではなく「一撃」と語った。
つまり槍ではなく銃のような射撃兵器だったらしい。

スネージナヤ建国神話級の人物が「師匠の冗談を数千年間真に受けていた」という壮大なオチになっています。

ちなみに中国語の「枪(槍)」は、古くは「槍」を意味する一方、現代では「銃」を指す言葉としても使われます

そう考えると、師は別に嘘をついていたわけではなく「遥か彼方まで届く『枪』が存在する」という言葉自体は、ある意味では最初から真実でした。

師は未来を知っていたわけではないにせよ、彼女が語った光景は結果的に真実となり、その意味を理解できなかった少年の国が、何千年もの後に自らその答えへ辿り着いた。

武の時代に語られた伝説を、技術の時代が現実に変えた。

そこまで含めて、この物語は古代の英雄国家から工業国家へ変貌していくスネージナヤそのものを象徴しているわけですね。

法器「諸王の対局」――スメール砂漠/三柱の王たちの遊び

天地を創造できるほどの力を持った「勇武」「策士」「自然」と名乗る三柱の神が、永遠の暇を持て余していました。

そこで彼らは新しい世界として、高山と河川を築き上げ、人間・ジンニー・魔物・龍などの生命を創造。そしてサイコロによってその世界の運命を決めるゲームを始めます。

幾千もの昼と夜が瞬く間に過ぎ去り、数えきれないほどの冒険と伝説が、この新たに造られた小さな世界で次々と繰り広げられていきましたが、世界の命運を決めるのは神の振るサイコロのみ。

ところが途中から突然、「瀕死無効の鎧」「精神攻撃」「ルールブック83ページ」「そのキャラは現在の魔王陣営ではなく自然陣営扱いだ」といった会話になり、実はこれがテーブルトークRPGだったことが判明します。

最後はルール解釈のせいで古代魔王が世界を奪ってゲームが破綻しますが、「またキャラクターを作って次の一局を始めればいい」と終わります。

ちなみこの「勇武」「策士」「自然」の3人はキングデシェレトに仕えた「三奸臣」と呼ばれるワニの王ソベク、トキの王トート、羊の王ヘリシャフのこと。

イベント任務で「よく一緒にゲームをやるくらいには仲が良かった」という伏線回収です。

ソベクは武勇に優れた「勇武」で、トートはネフェルに「嘘をつく術」を教えた「策士」

ヘリシャフの「自然」は実はミームネタで、魔神任務中に、彼は「無論」「当然」というセリフを何度も繰り返すんですが、中国語だと「自然」と言っていたんですね。

ニュアンスとしては、中国語の「自然」には 「当然だ」「もちろん」 という意味があるんだけど、そのまま「自然」という意味もあるので、自然自然を繰り返すネタ動画がBiliBiliを作られています。

両手剣「シンフォニーの鋳影」――フォンテーヌ/カッシオドルの物語

こちらは古代レムリアの大調律師カッシオドルを描いたものです。

レムリアの人物関係はめちゃくちゃややこしいのですが、それに見合ったように、この武器物語もめっちゃややこしいんですよね。

とりあえず、この物語だけでこれだけが登場します

「楽師」「彼」=カッシオドル
「金髪の親友」「我が友、我が兄弟」=ボエティウス
「彼女」=エリニュス
「姉のように慈愛に満ちた同伴者」=ユーレゲティア
「金宮の至尊者」「神王」=レムス
最後の「金髪の旅人」=主人公

レムリア関係の世界任務を覚えている人は少なそうなので、めっちゃざっくりとまとめると

ペトリコールを訪れた旅人は、人語を解する白猫ウッスーの導きで、海底に沈んだレムリアへ向かいます。

そこで旅人は、かつての調律師ボエティウスを媒介として大楽章「フォボス」が再び動き始め、現代の人々の魂を利用してレムリアを蘇らせようとしていることを知ります。

そして白猫ウッスーには、ボエティウスの親友であり、同じく調律師だったカッシオドルの魂が宿っていたことも判明します。

大楽章「フォボス」は、レムス王がシビラを礎として作り上げた、人々を幸福へ導くための大楽章でした。

しかし、自らの意志をほとんど持たず「人間を幸福にする」というシビラの性質を受け継いだため、やがてレムリア人の征服欲や欲望までも「叶えるべき願い」として受け入れ、逆に人々を支配する存在へと変質していきます。

旅人たちはフォボスを止めるため、かつてレムリアを滅ぼした敵と伝えられていた龍王子スキュラの封印を解き、黄金の宮殿へ向かいます。

しかし真相は、スキュラの反乱そのものがレムス王と仕組んだ作戦でした。レムスはフォボスを破壊するため、最後の楽章「鎮魂曲」を使ってフォボスを自壊させようとしていたのです。

ところがフォボスに取り込まれたボエティウスによってスキュラが封印され、計画は失敗。制御する者を失った力が暴走したことで、レムリアは海の底へ沈み、フォボスも完全には消滅しないまま残されました。

そして2000年後、再び動き始めたフォボスに対し、旅人・カッシオドル・スキュラは、かつてレムスが果たせなかった「鎮魂曲」を完成させます。

最終的にフォボスは完全に破壊され、そこに囚われていたレムリア人たちの魂も解放され、2000年にわたって続いたレムリアの物語に終止符が打たれました。

さて、まだレムリア文明が健在だった時代の若きカッシオドルは、金髪の親友であるボエティウスと共に、人々の悲哀や怨恨を「調律」して洗い清める役目を担っていました。

レムリア文明の王レムスは、いずれレムリアが滅び人々は原始胎海へと還る「運命」を知り、それを防ぐために「イコル」という黄金色の液体を利用して人間を石の体に移し替えました。

しかし、その過程で起きる精神と肉体の転換による苦しみは、凡人には耐えられず、魂を引き裂く苦痛を感じます。

Screenshot

その苦痛を和らげる「楽章」を奏でるのが調律師であり、このカッシオドルとボエティウスはそのうちの一人でした。

しかしボエティウスが一般人や奴隷を愚かな存在として見下す一方、カッシオドルは「驕りと傲慢にその両眼を曇らせてはならない」「我々が選ばれたのは彼らを導き救うためだ」と考えます。

つまり

ボエティウス=傲慢な帝国主義者
カッシオドル=民衆を理解する善良な人物

という話のように見えます。

ここで急に場面転換するのですげー分かりにくいのですが、

カッシオドルは同じ調律師であり、姉のように慕っていたユーレゲティアとの会話になります。

この「神を信じていない彼女」とは、かつてレムリア時代に反乱を起こした「純水騎士エリュニス」のことです。

実はカッシオドルは純粋なレムリア人ではなく、「昔日の人」という集落出身の人間でエリュニスは彼の幼馴染だったのですが、レムリアの征服によって滅ぼされます。

ただ二人の生き残りのうちの一人であるカッシオドルはレムリアに抜擢され仕えることになりましたが、エリュニスは復讐のために姿をくらまし、水神エゲリアの名を掲げて反乱軍を結成。

レムリアに対抗しようとしました。

しかしユーレゲティアはエリュニスの言葉は「ただの方便」でしかなく、反乱軍を統一するための都合のいいことを言っているだけで、カッシオドルも表向きは同意したのですが、彼も実は本当にレムスを信仰していたわけではなく、単に神に抜擢され調律師という立場で人々を救えるから忠誠を誓っただけです。

「もしエリニュスが自分と同じようにレムスに認められ、調律師として民を救える立場を与えられていたなら、彼女だってレムスに仕えたかもしれない」

「もしカッシオドルがエリニュスのように復讐を選んでいたなら、自分だって本当は信じてもいない神の権威を利用して、人々を率いたかもしれない」

つまりカッシオドルは、「俺とエリニュスの違いは置かれた立場と選んだ道の違いにすぎない」と思っていたわけです。

しかし、このように「自分は他者を理解し、人々を導ける存在」だと信じ「ボエティウスは高慢だな。自分は違うけど」と考えていたカッシオドルこそもまた実は「高慢な楽師」だった。

「楽師、高慢な楽師、自分は高慢ではないと思っている楽師」
これは全てカッシオドルのこと。

「最後の瞬間、金髪の旅人を見つめて、楽師はようやく悟ったのだ」とあるのは、レムリアの世界任務が始まるまでカッシオドルは「スキュラはレムリアを裏切った卑劣な反逆者」「レムスが本当に目指していたのは大楽章を永続させることではなく、自らを犠牲にして人々をシンフォニーから解放し、憎しみと争いを終わらせることだった」ことを知ります。

これまでカッシオドルははずっと

「エリニュスの気持ちは分かる」
「ボエティウスがなぜそうするかも分かる」
「ユーゲレティアの慈愛も分かる」
「レムスの理想も分かる」

と思っていた。

ところが2000年後、旅人と過去をたどってみたら、レムスの考えていたことすら全然分かっていなかった。しかもスキュラについても間違えていた。エリニュスについても「彼女ならこうするだろう」と勝手に想像していただけで、何もかも間違えていたことにようやく気が付いた。

昔のカッシオドルは、「相手を理解すること」→「相手を救うこと」だと思っていた。

最後のカッシオドルは、「相手を完全には理解できない」がそれでも
「相手を信じ、何かを託すことはできる」
というところまで進んだ。

レムリア世界任務の後日談のような物語でした。

スネージナヤで開催された第一回「冒険者競技大会」。

各国から腕利きの冒険者たちが集まり、射撃、列車運転、戦闘、パズルといった競技で順位を争う――

一見すると、いつもの大型イベントに見えます。

しかし、この大会で本当に面白いのは競技そのものではありません。

会場を歩いてみると、

「この人、どこかで見たことがある」

というNPCがとにかく多い。

璃月港で何年も剣を探し続けていた嵐姉。

ドラゴンスパインの入口に昔からいる玉霞。

稲妻の容彩祭で狐耳をつけて飲み物を売っていた梨香。

スメールでいつまでも冒険に出発しない少女の護衛をしていたレムタ。

フォンテーヌで宝を探していたナディアとユーヴィル。

そして、ナタでカチーナに敗れたリリウ。

イベントでは、こうした過去のNPCたちが単に「懐かしい顔」として再登場するだけではありません。

彼らが旅人と別れたあと、

どこへ行き、
誰と出会い、
何をして生きてきたのか。

その空白の時間が一気に埋められているのです。

今回は「冒険者競技大会」に登場した人物たちを、過去の登場から現在まで順番に追ってみましょう。


梨香――狐耳の八重堂スタッフ、その正体は「副業戦士」

まずは稲妻代表の梨香。

彼女の初登場は、Ver.2.6の大型イベント

「華やぐ紫苑の庭」

でした。

当時の梨香は、離島で開催された容彩祭において、八重堂の娯楽小説『お願いっ!私の仙狐宮司』のキャラクターに扮し、狐耳をつけてコラボドリンクを宣伝していたNPC。

その時点では、

「八重堂のイベントスタッフ」

くらいにしか見えませんでした。

ところが後になって、この仕事にはちゃんと理由があったことが判明します。

梨香の本職は、

稲妻支部所属の冒険者。

しかも異名は、

「花見坂の副業戦士」。

数年前、梨香はSランク依頼に挑戦するために多額の借金を抱えてしまい、その返済と冒険資金を稼ぐため八重堂でアルバイトを始めました。

ちょうどその頃に開催されていたのが容彩祭。

そこで小説のキャラクターに扮して宣伝を担当したところ、売り上げが良かったため編集者の荒谷から評価され、そのまま八重堂との仕事を続けるようになったようです。 citeturn441671search2turn949232search1

つまり4年前に我々が見た

「狐耳をつけて飲み物を売っている女性」

という光景そのものが、後から彼女の人生の一部として回収されたわけです。

しかも梨香の再登場は今回が初めてではありません。

Luna VIII「帰夏!映影?千霊祭!」では、フォンテーヌのウィンガレット号に作られたアクアリウムを訪れていました。過去登場履歴にも、容彩祭とこのアクアリウムの双方が記録されています。 citeturn949232search3

これも今回の設定を考えると自然です。

梨香は冒険で各地を訪れながら、その土地に合いそうな八重堂の娯楽小説を販売するという副業もしています。

だから、

稲妻・容彩祭
↓
各国を冒険
↓
フォンテーヌ・アクアリウム
↓
スネージナヤ・冒険者競技大会

と、本当に世界を渡り歩いていたことになります。

何より面白いのが、

大会でもまだ狐耳をつけていること。

もともとは八重堂の仕事でつけていただけだった狐耳が、いつの間にか完全に梨香本人のトレードマークになっています。


ヴァレリナ――猫好きのお姉さんから国境を越える冒険者へ

続いてヴァレリナ。

初登場はVer.4.5

「モフモフの城、にゃん冒険!」。

野良猫の保護施設「ネコモコの城」を運営していた女性です。

ただし彼女の場合、初登場の時点ですでに過去に冒険者チームで活動していたことが語られていました。

その後はLuna I「ドドコドッカン大乱闘」に再登場し、今度はドドコをモチーフにしたテーブルゲームにも関わるようになります。 citeturn441671search10

さらに重要なのがLuna V

「風を捕まえる帰郷者」。

ここでヴァレリナの口から、

「イシュキミリの寒星」リリウ

の名前が出ます。

リリウに誘われ、ナタで遺跡探索を手伝ったというのです。 citeturn494418search1turn494418search3

そして「冒険者競技大会」で、その関係がさらに具体的になります。

ヴァレリナは休暇でナタを訪れ、

リリウ
波のジャプー
リライ

という三人組と出会いました。

ジャプーとリライといえば、どちらもナタの「地方伝説」。

そんな三人と一緒に失われた譜面を探して冒険し、その直後にリリウへ大会の招待状が届いたため、そのままスネージナヤへ同行したわけです。

つまりヴァレリナは、

ネコモコの城
↓
ドドコのゲーム事業
↓
ナタでリリウと冒険
↓
地方伝説たちとも行動
↓
スネージナヤへ

と、いつの間にかかなりの国際派NPCになっています。 citeturn218447view0turn441671search2

最初は「猫が好きなお姉さん」だった人物の交友関係が、少しずつ世界規模へ広がっているのが面白いところです。


リリウ――カチーナに敗れた戦士は、その後どうなったのか

そしてヴァレリナと一緒にやって来たのがリリウ。

初登場はナタ魔神任務「栄華と炎天の途」。

帰火聖夜の巡礼でカチーナの対戦相手となった、

「イシュキミリの寒星」リリウ

です。

ベテランのイクトミ竜戦士である彼女は、当初カチーナを格下と見ていました。

しかし試合ではカチーナに弱点を突かれ、敗北します。

普通のゲームなら、

「主人公側に倒された大会NPC」

としてそこで役割を終えていてもおかしくありません。

ところがリリウの人生はそこから続いていました。

カチーナに敗れたショックから立ち直るにはかなり時間がかかったようですが、その後に起きたナタのアビスとの戦争へ参加。

大会で本人が語るところでは、

「300匹ほどしかアビスの魔物を倒せなかった」

とのこと。

300体を倒してなお「しか」と認識しているあたり、彼女の基準がおかしいことが分かります。大会資料でも、嵐姉と並んでSランク冒険者の桁外れな戦闘力を示す例として挙げられています。 citeturn218447view4

その後リリウは帰火聖夜の巡礼を離れ、冒険者協会へ。

そして現在は、

ナタ支部のSランク冒険者

となっています。

さらに面白いのが、戦闘以外の人生。

彼女は「波のジャプー」とリライと音楽グループを結成しており、自身は歌と打楽器を担当。

つまり、

カチーナに敗北
↓
アビスとの戦争
↓
冒険者へ転身
↓
Sランクへ
↓
地方伝説二人とバンド結成
↓
ヴァレリナと遺跡探索
↓
スネージナヤ大会

という、とんでもなく濃い人生を送っています。 citeturn218447view1turn949232search0

カチーナとの一戦は、彼女の物語の終点ではありません。

むしろあの敗北こそが、新しい人生の始まりだったのかもしれません。


レムタ――3年半、冒険に出発しない少女を守り続けた傭兵

スメール代表のレムタも古いNPCです。

スメールシティのランバド酒場付近で、アヴェナという少女と一緒に立っているエルマイト旅団の傭兵。

アヴェナは冒険者なのですが、

「冒険へ行く」

と言いながら、いつまで経っても買い物ばかり。

イベント「キャンディと薔薇の歌」でも似たようなやり取りをしています。

そして今回、驚くべき事実が判明します。

レムタがアヴェナの面倒を見始めてから、

約3年半。

ずっとこの調子だったのです。

しかもアヴェナが受注した依頼の中には、本人が難易度すら把握していないものもあり、それを実際に処理していたのはレムタ。

その働きを見たスメール支部長カマルは、ついにレムタへ

「副業冒険者」の証明書

を発行しました。

カマルの仕事も40回以上手伝っており、現在では「伝説の傭兵」と呼ばれるほどの人物です。 citeturn949232search0turn949232search1

さらにレムタには、フォンテーヌとの意外な繋がりもあります。

かつて砂漠で、レムタの所属する傭兵団とフォンテーヌの冒険者オフィーリアが誤解から衝突。

結果、

オフィーリア一人に傭兵七人が倒されました。

最終的にはキャンディスの仲裁で和解。

そして大会前にレムタがフォンテーヌへ立ち寄った際、オフィーリアと再会します。

そこで彼女に美容師を強く勧められ、髪型を変えたものの、

「自分には似合っていない」

と現在は後悔中。 citeturn949232search0

大会で髪型が少し変わっていることにまで、ちゃんと「その間に何があったのか」が設定されています。


ナディアとユーヴィル――宝探しの二人はSランク冒険者になっていた

フォンテーヌ代表として現れるのがナディアとユーヴィル。

二人の初登場はVer.4.2世界任務

「念願の宝探しの旅」。

ナディアは重い記憶障害を抱えるメリュジーヌ。

昔は一度見たものを忘れないほど記憶力に優れ、「物知りナディア」と呼ばれた人物でした。

しかし頭部に重傷を負ったことで、物忘れが激しくなってしまいます。

そのナディアを助けたのがユーヴィル。

彼が宝やモラを求めていたのも、自分のためではなく、

ナディアにより良い治療を受けさせるため

でした。

世界任務では「本当の宝とは何か」という小さな物語を描いて終わります。

しかし二人の冒険も、そこで終わっていませんでした。

ある宝探しの最中、有名な潜水士を救助。

それをきっかけに二人のもとへ次々と依頼が舞い込むようになります。

さらにナディアは、誰も捕獲できなかった希少なボウシクラゲ

「偽装聖剣レグリス」

の捕獲にも成功。

その実力を知ったオフィーリアから普通の冒険者ではまず達成できない難関依頼を任されますが、それらも次々と攻略。

ついには、

フォンテーヌ支部の新人Sランク冒険者

に昇格しました。 citeturn949232search1

ユーヴィルも正式に冒険者登録。

肩書は、

ナディアの「参謀」。

かつては二人で宝のありかを探していた小さな世界任務のコンビが、旅人と別れたあとに成長し、テイワットでも最高峰の冒険者になっていたわけです。

個人的には今回、かなり好きな後日談です。


スフラブ――「昔旅人が遊んだイベント装置」が彼の武器になった

スメールからやって来たスフラブ。

彼自身は今回ほぼ初登場なので、厳密には「再登場NPC」ではありません。

しかし彼には、過去イベントと非常に面白い繋がりがあります。

それが師匠、

ハジャナド。

ハジャナドはVer.3.0「タブレットスタディー」で初登場したスメールの錬金術師。

さらにVer.3.6「調剤エボリューション」では、旅人に新たな装置の実験を手伝わせています。

当時はイベント戦闘用のギミックに見えましたが、ハジャナドはその後も研究を続けました。

彼女は研究成果を論文にまとめ、教令院の研究者へ昇格。

実際、後のイベントでも研究者として再登場しています。 citeturn681209search0turn681209search9

そして今回登場したスフラブは、そのハジャナドの弟子。

元々はオルモス港北部に住んでいた猟師でした。

キノコンが密集する地域を調査する学者たちの護衛を引き受けた際、その能力をハジャナドに見出され、

教令院で研究をしながら冒険者として活動する

という道へ進みます。

そして師匠が完成させた

「ボイルド装置」

を実戦投入。

なんと、

Aランク依頼137件を達成。

大会への推薦を勝ち取っています。 citeturn949232search1turn218447view1

つまり、

Ver.3.0~3.6
旅人がハジャナドの装置を試験する
↓
ハジャナドが研究を完成させる
↓
弟子スフラブが装置を実戦投入
↓
Aランク依頼137件達成
↓
Ver.7.0冒険者競技大会

という数年越しの技術史になっています。

昔の期間限定イベントで遊んだ戦闘ギミックが、

「世界の中で本当に技術として完成した」

という形で回収されたわけです。


玉霞――ドラゴンスパインにずっといた人物は、冒険者界の大古参だった

次は玉霞。

ドラゴンスパイン実装時から、雪山麓のキャンプにずっといる女性です。

モンド冒険者協会支部長サイリュスの姉。

つまりマージョリーから見ると伯母にあたります。

初代風花祭でも旅人にドラゴンスパインの写真撮影を依頼するなど、昔から何度か登場していました。

そして今回、

彼女が単なる雪山担当NPCではなく、

冒険者界でもかなりの古参

だったことが分かります。

特に重要なのが嵐姉との関係。

二人は若い頃からの知り合いで、昔一緒に雪山の川辺で野営したこともある。

さらに玉霞は、

嵐姉より十数歳年上。 citeturn441671search1turn218447view0

つまりリリース当初から、

モンドの雪山に立っていた玉霞と、

璃月港に立っていた嵐姉。

ゲーム内では全く別の場所に配置されていた二人が、

実は何十年も前から同じ冒険者コミュニティにいた

ことになります。


嵐姉――六年間探し続けた「蔵鋒」がスネージナヤへ繋がる

そして今回最大の掘り下げを受けたのが、

嵐姉。

璃月港のキャサリンの隣に、Ver.1.0からずっと立っている人物です。嵐姉自体はリリース時から存在しています。 citeturn494418search10

長年プレイしている旅人なら、

「剣はいずこ?」

という依頼任務で何度も彼女から仕事を頼まれたはず。

嵐姉は兄が所有していた剣、

「蔵鋒」

をずっと探していました。

剣に関係する依頼を片っ端から受け、それでも手掛かりが見つからないため、

「兄が剣を失うほど危険な場所ならば、危険な依頼の先に何かあるのではないか」

と考え、剣と直接関係のない危険な依頼まで受けるようになります。 citeturn494418search0

そしてVer.3.3で追加された「剣はいずこ?」では、旅人がついに

蔵鋒の一部とみられる剣の柄

を発見。

嵐姉自身も、幼少期に刻んだ印から、それが蔵鋒の一部だと確認しています。 citeturn494418search0turn494418search8

ここまでが、長年我々が知っていた話。

しかし「冒険者競技大会」で、一気に物語が進みます。


嵐姉の本名――霍嵐嶺

まず初めて明かされた本名が、

霍嵐嶺(フオ・ランリン)。

そして兄の名前も、

霍朝暉(フオ・ザオフイ)。

大会資料でも、嵐姉は「青墟浦の求剣者」霍嵐嶺として紹介されています。 citeturn218447view0


「青墟浦の求剣者」の由来

嵐姉が冒険者として受けた8件目の依頼。

それがいきなりSランク、

青墟浦付近のヒルチャール・岩兜の王の討伐

でした。

しかも単独。

戦闘後、

全身の傷や骨折はおよそ70か所。

大量出血。

それでも自力でキャンプまで戻り、救援を待ったといいます。

この時、嵐姉自身が行った応急処置は冒険者協会に記録され、後の参考資料にまで採用。

これが、

「青墟浦の求剣者」

という異名の由来でした。

そして回復して間もなく、彼女は二つ目のSランク依頼まで達成しています。 citeturn441671search2turn218447view4

璃月港でいつも腕を組んで立っているだけなので忘れがちですが、

この人、NPCの中でも明確に化け物クラスです。


嵐姉とマーガレット――若い頃の約束

さらに面白いのが、キャッツテール店主マーガレットとの昔話。

嵐姉が若い頃、初めてモンドを訪れた時。

マーガレットはまだ店主ではなく、店員として働いていました。

酒を出し間違えて店主に叱られたマーガレットは、

いつか自分が店主になる、と語ります。

それを聞いた嵐姉も、

いつか有名な冒険者になり、大勢の友人を連れて応援に来る、

というような約束をしました。

そして現在。

マーガレットはキャッツテールの店主。

嵐姉は璃月支部長にしてSランク級の冒険者。

若い頃に語った未来へ、二人とも辿り着いていたわけです。 citeturn441671search2

今回ディオナまで大会へ来ていることを考えると、

昔のマーガレットと嵐姉の縁が、

キャッツテール→ディオナ

へ繋がっているのも面白いところです。


霍朝暉――蔵鋒の持ち主はスネージナヤへ来ていた

では、兄の霍朝暉はどこへ行ったのか。

ここで登場するのが、

タラリヒン。

タラリヒンの叔父は、かつて霍朝暉と共にスネージナヤを旅していました。

二人の目的は、

「至堅なるもの」を探し出すこと。

それを素材に理想の剣を鍛え、

武人と剣が完全に一体となる境地を目指していたらしい。

しかし探索の末、

二人は**「闇域」**で発生した事故に巻き込まれ、消息を絶ちます。 citeturn949232search0turn218447view3

事故は極めて複雑だったらしく、調査報告書は辞書よりも分厚い。

特殊任務隊が長期間精査し、情報の信頼性が確認されてから、ようやく冒険者協会へ共有されたといいます。

ここで長年続いていた、

「嵐姉が璃月で兄の剣を探している」

という小さなデイリー任務が、

スネージナヤ
闇域
霍朝暉の失踪

という本編級の設定へ接続されました。

しかも謎はまだ残っています。

霍朝暉本人はスネージナヤの闇域で消息不明。

ところが蔵鋒の欠片は遠く離れた璃月で発見されている。

大会ページでも、この距離の食い違いが意味深な点として指摘されています。 citeturn218447view4

朝暉はどうやって剣を失ったのか。

本人は本当に闇域で命を落としたのか。

あるいは別の何かが起きたのか。

嵐姉の「剣はいずこ?」は、まだ終わっていません。


タラリヒン――名前だけだった男が「闇域」を現在へ繋ぐ

その霍朝暉の過去を語るのが、

タラリヒン・ゴーゴリ。

スネージナヤ冒険者協会本部の事務員です。

実は完全な新キャラクターではありません。

過去イベント

「若葉の助け合い~初めての雪原~」

において、チチコヴァとの会話の中ですでに「タラリヒン」という名前だけ登場していました。

当時は背景人物の一人に過ぎません。

それが今回ついに本人として登場し、

さらに叔父が霍朝暉の同行者だったことまで判明しました。 citeturn218447view3

そしてタラリヒンの役割は、大会で終わりません。

彼は叔父たちが遭遇した事故記録を基に、

闇域での危険な戦闘を想定した思考訓練

を構築。

これが後のイベント「禁域陣取り合戦」へ繋がっていきます。

つまり、

過去イベントで名前だけ登場
↓
本人登場
↓
霍朝暉の失踪を説明
↓
闇域研究
↓
新たな訓練システムを構築

と、現在進行形で役割が拡大しているNPCです。

嵐姉編を今後さらに進めるなら、タラリヒンは間違いなく重要人物でしょう。


サリーン――ナド・クライの若き支部長

ナド・クライ代表として登場するサリーン。

初登場はLuna I

「カチャカチャ大作戦」。

ナシャタウンの冒険者協会支部長です。

この時点ですでに、受付仕事だけをする人物ではありませんでした。

宝盗団との戦いでは自らクロスボウを持ち、アイノや旅人に加勢。

そして現在もナシャタウンの冒険者協会前に配置されています。 citeturn218447view1

大会では、

若くして頭角を現した有能な冒険者であり、

複雑な勢力が入り乱れるナド・クライで各陣営との調整までこなす人物として描かれます。

スネージナヤ式の兵器についてもタラリヒンから扱い方を学んでおり、

単なる支部長ではなく、

戦闘・交渉・組織運営のすべてをこなす現場型

と考えた方がよさそうです。


ディオナ――モンドから来た理由もちゃんと続いている

そしてプレイアブルキャラクターからはディオナ。

なぜキャッツテールのバーテンダーがスネージナヤの冒険者大会にいるのか。

もちろん理由は、

「世界中から酒をまずくする材料を探すため」。

マーガレットから休暇をもらって各国を巡り、途中でフォンテーヌへ。

そこで玉霞と知り合い、一緒にスネージナヤへやって来ました。

大会会場では仮設カフェを担当しています。会場配置についても、玉霞と共にスネージナヤへ来たことが確認できます。 citeturn218447view4

嵐姉と若い頃からの知り合いだったマーガレット。

嵐姉の古い友人である玉霞。

そしてマーガレットの店で働くディオナ。

こうして、

嵐姉
―マーガレット
―玉霞
―ディオナ

というモンドと璃月に散らばっていた人間関係まで、一つの会場へ集まっています。


会場にいない人物まで繋がっている

「冒険者競技大会」の面白いところは、

実際に会場に来た人物だけではありません。

会話の中だけでも、

アヴェナ
カマル
オフィーリア
ハジャナド
マーガレット
左右加
波のジャプー
リライ
霍朝暉
タラリヒンの叔父

など、過去のNPCや既存人物が次々と繋がります。

例えば、

レムタからアヴェナ、カマル、オフィーリア。

スフラブからハジャナド。

ヴァレリナからリリウ、ジャプー、リライ。

嵐姉からマーガレット、玉霞、霍朝暉、タラリヒン。

といった具合です。

つまり一人を辿ると、別の国のNPCへ繋がる。

その人物を辿ると、さらに昔のイベントへ繋がる。

今回の大会は、

今まで各国に点在していたNPCたちを一本の線へ変えるイベント

でもあります。


「Sランク冒険者」という存在

そして今回、冒険者そのものの設定もかなり具体化しました。

ゲーム中では旅人が当然のように冒険者協会へ所属しているため忘れがちですが、

Sランク冒険者というのは本来とんでもない存在。

今回の大会では、

テイワット全体でもSランク冒険者は15人ほどしか存在しない

という扱いになっています。大会の冒頭でも旅人がその一人として扱われます。 citeturn441671search3

そのレベルを分かりやすく示しているのが、

普段デイリー任務でおなじみの

「高いところ危険」。

あれは協会基準ではBランク依頼。

本来は、

一般冒険者・戦士16人以上
+優秀な射手6人以上

ほどの部隊を組み、

3~5時間程度

かけて攻略することが推奨される任務だと語られています。 citeturn218447view4turn949232search3

旅人は毎日のように一人で数分で片付けています。

そして嵐姉は岩兜の王を単独撃破。

リリウはアビスの魔物を約300体倒して「しか」と言う。

ナディアは普通の冒険者には無理な依頼を次々達成。

この基準を見ることで初めて、

今回集まった人たちが本当に各国の怪物クラスだった

ことが分かります。


「冒険者競技大会」はNPCたちの同窓会ではない

こうして全員を振り返ってみると、

「冒険者競技大会」を単なる

過去NPC大集合イベント

と見るのは少しもったいない気がします。

梨香は、容彩祭で飲み物を売ったあとも冒険を続け、フォンテーヌを経由してスネージナヤへ。

ヴァレリナは猫を保護したあとも新しい事業を始め、ナタでリリウたちと出会った。

リリウはカチーナに敗れて物語から消えたのではなく、その敗北を抱えながら戦争を経験し、Sランクまで登った。

レムタは3年半もアヴェナを守り続けていた。

ナディアとユーヴィルは、旅人が去ったあとも宝探しを続け、ついにはSランク冒険者になった。

ハジャナドは旅人がテストした研究を完成させ、その技術を弟子のスフラブが受け継いだ。

そして嵐姉は、

ゲーム開始当初からずっと探していた兄と蔵鋒の物語を、

六年越しにスネージナヤまで運んできた。

旅人がその場所を離れたからといって、

彼らの時間まで止まっていたわけではありません。

我々がナタへ行っている間にも、

スメールで。

フォンテーヌで。

稲妻で。

モンドで。

彼らは普通に生活し、

失敗し、

旅をし、

友人を作り、

強くなっていた。

そして長い旅の果てに、

今度は彼らの方からスネージナヤへ集まってきた。

「冒険者競技大会」は、

各国最強の冒険者を決める大会であると同時に、

旅人がこれまで訪れた「あらゆる場所」で出会った人々の、その後を見せる物語

だったのかもしれません。

我々にとっては数年前に一度会っただけのNPCでも、

彼らにとってはその数年間こそが、

ちゃんと自分たちの人生だったのです。

ここから先は、

「知っているNPCが再登場している」

という話から少し離れて、

スネージナヤという国そのものに仕込まれた小ネタ

を見ていきます。

Ver.7.0って、町中の会話や世界任務まで拾うと、

ずっと同じテーマが何度も出てくるんですよね。

それが、

人間とは何か。
記憶とは何か。
自分と他人を分けているものは何か。

という話です。


ヴェストニーク日報は「ただの新聞」ではない

まず街中で読める、

ヴェストニーク日報。

複数の記事が用意されていて、

事件や社会情勢、

ファデュイ、

技術、

市民生活まで、

かなり幅広くスネージナヤの現在を知ることができます。

ただ、

これを単なる世界観資料として読むだけだと少しもったいない。

特に注目したいのが、

フェオドル。

この新聞を追っていくと、

「何が起きたか」だけではなく、

それを新聞がどう書いたのか

を見ることができます。

現場で実際に起きたことと、

新聞記事の表現を比べると、

妙に婉曲だったり、

逆に一部分だけ強調されていたりする箇所がある。

つまりここから見えてくるのは、

事件そのものより、

スネージナヤ社会が事件をどう理解するよう誘導されているか

なんですよね。

ファデュイの国だから全部検閲されている、

と単純化するのも違うと思います。

むしろ面白いのは、

完全な嘘を書くというより、

事実を選び、

並べ方を変え、

読み手に特定の印象を与える。

現実の新聞と同じような情報操作の仕方になっているところです。

なのでフェオドルを見る時は、

「この人は嘘つきなのか」

ではなく、

どこまで知っていて、どこまで書けるのか。

ここを見るとかなり面白い。


スミルノワ――名前だけだった人物が普通に町にいる

さらにモレペソクを歩いていると、

スミルノワ

という人物がいます。

こういうのがVer.7.0で一番怖いところです。

過去のナド・クライ関連テキストを読んでいないと、

普通の町人NPCにしか見えない。

でも以前は、

文章の中だけに存在していた人物。

それが今回、

何事もなかったようにモデルを与えられて、

普通に町で生活している。

原神って以前からこういうことをやりますが、

スネージナヤでは特に多いです。

逆に考えると、

今Ver.7.0で文章中にしか存在しない人物も、

今後普通に実体化する可能性がある。

なので新聞や日誌で出てきた固有名詞は、

かなり覚えておいた方がいいです。


タルタリヤで話しかけると変わるNPC

次は特殊会話。

スネージナヤでは、

誰で話しかけるか

まで意識した方がいいです。

分かりやすい例が、

タルタリヤでトーニャに話しかけた時。

普通のキャラクターでは発生しない、

専用の反応があります。

これはもちろん兄妹だから、

という分かりやすいファンサービスでもあるんですが、

Ver.7.0ではこの手の特殊会話が、

単なる小ネタでは終わっていません。

その人物の過去や、

現在何をしているのか、

何を知っているのか、

そういった情報まで少しだけ追加されることがあります。


アリョーシャの特殊会話はかなり意味深

特に気になるのが、

アリョーシャ。

彼の特殊会話を見ると、

何かを探しているような、

あるいは何かを追跡しているようなニュアンスがあります。

アリョーシャ自身のキャラクターストーリーを追うと、

この人の人生はずっと、

狩る者と狩られる者

の反転でできています。

猟犬トゥガリン。

ロコット。

厳冬計画。

そして女皇。

最初は狩人として生きようとし、

それが現実に壊され、

今度は別の形で自分の理想を組み直す。

その繰り返しです。

だから彼が今「何かを追っている」としたら、

単なる任務対象というより、

彼自身の過去と繋がっている可能性があります。

この人は冷静で現実主義者に見えますが、

最終的に望んでいるのは、

人間が互いに銃を向け合わずに済む社会。

むしろかなり強い理想主義者です。

そう考えると、

「追う」という行為自体が、

彼にとってかなり意味深なんですよね。


オデットの特殊会話も見逃せない

もう一人、

オデット。

彼女も特殊会話を持っています。

一見するとそこまで大きな話ではないんですが、

彼女の出自や立場まで考えると、

「どうしてそんな反応をするのか」

が気になります。

Ver.7.0では、

こういう数行の特殊会話に、

人物の正体や今後の展開を示すヒントを混ぜてくることが多いです。

なので、

関連しそうなプレイアブルキャラを持っている人は、

できれば一度キャラを切り替えてNPC巡りした方がいいです。


水に浸かった日誌――サロメとサロメア

探索で拾える

「水に浸かった日誌」

もかなり不気味です。

ここには、

サロメ、

サロメア、

そして子守唄のような歌が登場します。

最初に読むと、

何を言っているのかかなり分かりにくい。

ただ、

話の構造自体は、

ヨーロッパの昔話に多い

「取り換え子」

のモチーフにかなり近いです。

人間の赤ん坊が、

妖精や人外の存在と入れ替えられる。

親は、

目の前にいる子供が、

本当に自分の子供なのか分からなくなる。

こういう話ですね。

そして日誌では、

子守唄、

水、

妖精のような存在、

子供の違和感、

という要素が重なっている。

重要なのは、

これを単なる元ネタ解説で終わらせないことだと思います。

スネージナヤでは実際に、

人間と人外の境界が曖昧になる世界任務が大量にある。

なのでこの取り換え子の話も、

ただの民話ではなく、

本当に起こり得る世界の昔話

として存在している可能性があります。


スネージナヤの「人魚」

その流れで見ておきたいのが、

スネージナヤの水の精。

いわゆる

ヴォジャニーツァ

のような存在です。

見た目や行動は、

人魚やルサルカにかなり近い。

人の姿に近い状態を取り、

水中では魚の尾のような形になる。

さらに歌、

水辺、

人を誘う性質。

かなり典型的な水妖の要素を持っています。

ここで面白いのが、

原神世界には昔から、

「人魚らしき存在」

「歌で人を水へ誘う存在」

「水中に住む人外」

という伝承が、

璃月やフォンテーヌにも断片的に存在していたこと。

もちろん、

それら全部がスネージナヤの水の精と同種だ、

とはまだ言えません。

ただ、

Ver.7.0で実体を持った水妖が登場したことで、

過去の伝承を見直す理由ができた。

昔は比喩やおとぎ話に見えたものが、

実在種を見たあとだと、

急に現実味を帯びてくるんですよね。


Drafty House――これは怪談というより孤独の話

次に、

いわゆる

Drafty House。

ここもかなり印象に残りました。

最初は幽霊屋敷や、

何かの怪異の話に見えます。

でも内容を追うと、

むしろ中心にあるのは

孤独。

その人物には、

ほとんど家族しかいなかった。

外の世界との関係が薄く、

家族だけが人生のすべてだった。

その家族もいなくなる。

そして最後には、

本人も一人きりになる。

だからあそこで繰り返されているのは、

恐怖そのものというより、

失われた家族との時間を何度も再生している記憶

に近いんじゃないかと思います。

幽霊になって人を驚かせたいわけではない。

ただ、

他に戻る場所がない。

だから過去の中に留まり続ける。

Ver.7.0の世界任務には、

「死者が怖い」

という話より、

死んでも手放せない関係

の話が本当に多いです。


Vanyaが三回寝る

一方で、

かなり軽い小ネタもあります。

道端で寝ている

Vanya。

一度起こしても、

また別の場所で寝ている。

もう一度起こしても、

また寝る。

最終的に三回。

ゲームとしてはちょっとしたギャグですが、

この

三回繰り返す

という形は、

昔話ではかなり定番です。

三人兄弟、

三つの試練、

三回目で成功。

ロシア・東欧の昔話でもよく使われる型です。

Vanyaという名前自体も、

ロシア昔話で非常によく出るイワン系の愛称。

なので、

「酔っ払いを三回起こす」

というだけの小ネタにも、

昔話っぽい作りをわざと混ぜている可能性があります。


Count the Jack Frosts

同じく、

Count the Jack Frosts

もタイトルからかなり露骨です。

Jack Frostは、

英語圏で霜や冬を擬人化した存在。

一方ロシア圏では、

モロース系の冬の精霊が有名です。

スネージナヤという地域自体が、

雪や霜、

冬の精霊、

凍死、

冬眠、

雪の妖精、

といったモチーフだらけなので、

このタイトルも単なる翻訳上の冗談ではなく、

冬を人格化する民間伝承

を意識していると考えた方が自然です。

そして重要なのは、

原神世界ではこうした「昔話の妖精」が、

普通に実在していてもおかしくないこと。

なので、

子供向けの遊び歌と現実の怪異の境目が、

かなり曖昧です。


オクロース村――ここから一気に話が重くなる

そしてVer.7.0世界任務で、

個人的に一番深掘りしたいのが

オクロース村。

旅人が訪れた時点で、

村はすでに無人。

周囲には異怪の獣が徘徊しています。

村の入口では、

「鉄頭」を名乗る異怪の獣のギャングと遭遇。

彼らから、

入口にお宝が埋まっている

という話を聞きます。

大岩を爆破し、

その奥へ進むと、

そこにいたのが

ナスチャ。

人間の少女の姿をしています。

でも、

話していくほどに、

「普通の人間ではない」

ことが見えてくる。


ナスチャが本当に欲しかったもの

ナスチャの話で重要なのは、

彼女が何を望んでいたかです。

力でも、

不老不死でもない。

彼女が欲しかったのは、

誰かとの関係。

母親。

家族。

自分を必要としてくれる相手。

自分が相手を必要とできる関係。

つまり、

「一人ではない」

という実感です。

ところが、

彼女が最終的に近付いていく

完全樹

の構造が、

この願いと完全に反対になっている。


完全樹は「木」ではない

完全樹という名前から、

巨大な一本の樹木を想像しやすいんですが、

実際にはもっと異質です。

その本質は、

藍藻のネットワーク状群体

に近い。

一つ一つの個体が、

独立した存在として生きるのではなく、

大きな集合体の中へ溶けていく。

情報も、

生命も、

境界も、

全体の中に統合されていく。

ここが重要です。

ナスチャは、

誰かと繋がりたかった。

でも、

完全樹が与える「繋がり」は、

人間が普通に考える関係ではない。


関係には「距離」が必要

例えば、

私とあなたが友達になるには、

まず

「私」と「あなた」

が別人でなければいけない。

愛するためにも、

相手が自分とは別の存在である必要があります。

ところが完全樹では、

その境界そのものが消えていく。

全員が一つになる。

そうすれば、

孤独は確かになくなります。

でも同時に、

誰かを愛することもできなくなる。

なぜなら、

愛する相手と自分の区別がないから。

ナスチャが欲しかったのは、

誰かとの関係。

でも彼女が辿り着こうとしたのは、

関係そのものが成立しなくなる世界。

ここがものすごく皮肉です。


キュウは何者なのか

ナスチャの家にいる

キュウ。

見た目だけなら、

小さな木の精のような存在です。

でも、

完全樹、

藍藻化、

木化、

ナスチャの生活圏、

これらを考えると、

単純な植物精霊とは言い切れません。

特に重要なのは、

「木になっているもの」と「完全樹に接続されているもの」は同じではない

という点。

木化は見た目の変化。

一方、

完全樹の本質はネットワークへの接続。

つまりキュウも、

「木だから完全樹の一部」

と単純には言えない。

むしろ、

その中間に存在する生命、

あるいは完全樹の影響を受けながらも独立性を残している存在、

として見る余地があります。

キュウが妙に人格的なのも、

この「まだ個が残っている」ことと関係しているのかもしれません。


コシチェイ――ナスチャとは逆方向から「個」を失う

そして

コシチェイ。

この人物も、

ナスチャと並べて考えると分かりやすいです。

ナスチャは、

他者との境界を消すことで個を失っていく。

一方コシチェイは、

自分自身から不要なものを削ぎ落とすことで個を失う。

彼が目指したのは、

人間を超越すること。

肉体を捨てる。

有限性を捨てる。

弱さを捨てる。

老いを捨てる。

そうして、

永遠の愛を証明しようとした。

ところが、

人間らしいものを一つずつ削れば削るほど、

最初に何を望んでいたのかまで薄れていく。

愛するために永遠になろうとしたのに、

永遠へ近付いた時には、

愛したかった自分自身がほとんど残っていない。

最後に残るのが、

「コシチェイ」

ではなく、

「かつてコシチェイだったもの」

なのが非常に重要です。


ナスチャとコシチェイは鏡写し

この二人、

やっていることは逆です。

ナスチャは、

他人と一つになろうとする。

コシチェイは、

自分から余計なものを削っていく。

でも最後は同じ。

個人が消える。

ナスチャは、

「私とあなた」の境界を消す。

コシチェイは、

「私」を構成していたものを削り落とす。

だから二人とも、

最初に欲しかったものを手に入れる直前で、

それを受け取る主体そのものがなくなってしまう。

Ver.7.0の世界任務では、

この

「永遠を求めるほど、人間性を失う」

という皮肉がかなり強く描かれています。


肉体・魂・意志の三元論

ここで一度整理したいのが、

スネージナヤ世界任務で繰り返し出てくる、

肉体
魂
意志

という三つの要素です。

生命は、

肉体があるだけでは完成しない。

魂だけでも足りない。

さらに、

「自分としてあり続ける意志」

が必要になる。

この三元論で見ると、

コシチェイはかなり分かりやすい。

彼は肉体を捨て、

人間を超えようとした。

一方、

雪の精のような存在は逆方向です。

最初から人間的な魂を持たない存在が、

魂を獲得し、

生命へ近付こうとする。

つまり、

人間から生命を超越しようとする者

と、

人外から生命になろうとする者

が、

同じ国で対照的に描かれている。

どちらも最終的に、

「人間とは何を持った存在なのか」

を問い直しているんだと思います。


塩の儀式

そしてナスチャ周辺で出てくる

塩。

これもただの演出ではありません。

あの儀式では、

塩が肉体性を強く象徴しています。

魂や意志の話ばかりになると、

生命は精神的なものだけで成立しそうに見える。

でも実際には、

肉体を無視できない。

塩は、

保存、

腐敗防止、

浄化、

さらに身体そのものと深く関わる物質です。

だからあそこで塩を使うのは、

失われた肉体をもう一度こちら側へ固定する

ような意味合いで見るとかなり分かりやすい。


パヴリナに憧れる少年

そして世界任務のかなり序盤。

洞窟に入ると、

パヴリナの技術に憧れている少年

がいます。

初見だと、

技術者に憧れる子供、

くらいに見えます。

でも後からパヴリナが何をしてきた人物なのか分かってくると、

かなり怖い。

少年が憧れているのは、

単なる優秀な発明家ではありません。

生命、

肉体、

異種族、

改造、

そして兵器化。

その境界に踏み込んだ技術者です。

この少年の存在は、

スネージナヤ社会が、

そうした技術をどの程度「憧れの対象」として受け入れているか、

という小さな描写にもなっています。


ドンスコイ――巨人の身体は誰が作ったのか

そのパヴリナ関係で重要なのが、

鎖の巨人ドンスコイ。

巨大な身体に、

鎖。

明らかに自然な状態ではありません。

宮殿の改装についての会話では、

パヴリナが

同族を実験台にした

ことを示唆する発言があります。

そこがドンスコイ本人だとは明言されません。

なので断定はできない。

ただ、

あの異様な身体と、

同族実験の話を同じ場所で出している以上、

無関係とは考えにくい。

もしドンスコイがその実験の延長線上にいるなら、

彼は単なる巨大な敵ではなく、

スネージナヤの技術発展の犠牲者

ということになります。


原初の雛人とグライアイ

さらにパヴリナ周辺では、

原初の雛人

や

グライアイの眼

といった技術も出てきます。

ここで怖いのが、

生命を作ることと、

生命を道具として制御することの境目が、

ほとんど消えていることです。

生命を作れる。

再構成できる。

視覚を共有できる。

命令できる。

そして最終的には、

オーバーロードを殲滅する機能

まで持たせる。

技術としてはすごい。

でも、

「それはもう生命なのか兵器なのか」

という問いがずっと残る。

Ver.7.0のパヴリナ関連は、

この境界の危うさをかなり意識して描いていると思います。


チュルカトゥーリン――「人外と人間は共存できるのか」

そして

チュルカトゥーリン。

この任務も、

一見すると少し変わったNPCの話に見えるんですが、

Ver.7.0全体の中に置くと意味が変わります。

スネージナヤには、

人間ではない存在がかなり多い。

異怪の獣。

水の精。

雪の精。

人工生命。

改造された存在。

そうした者たちが、

人間社会の中で、

どの程度「一人の存在」として扱われるのか。

チュルカトゥーリンの話は、

大きな国家問題ではなく、

日常生活の中で人外と人間がどう付き合うのか

を描いている。

ナスチャやコシチェイが、

「人間とは何か」

という哲学寄りの話なら、

こちらはかなり生活寄りです。


スネージナヤの世界任務は全部「境界」の話かもしれない

ここまで見ていくと、

Ver.7.0の世界任務には、

妙に共通点があります。

生者と死者。

人間と妖精。

人間と人工生命。

個人と集合体。

肉体と魂。

記憶と人格。

人と怪物。

そして、

自分と他人。

ずっと

境界線

の話をしているんですよね。

完全樹は、

個体と集合体の境界を消す。

コシチェイは、

人間と超越者の境界を越えようとする。

水の精は、

人間と妖精の境界にいる。

取り換え子は、

人間の子供と人外の子供が入れ替わる。

Drafty Houseでは、

生者と死者、

現在と記憶の境界が曖昧になる。

ドンスコイは、

生物と兵器の境界。

グライアイは、

生命と機械の境界。

これ、

かなり意図的だと思います。


だから「闇域」も気になる

そして最後に、

もう一度

闇域。

嵐姉の兄・霍朝暉。

タラリヒンの叔父。

二人が消えた場所。

さらにタラリヒンが、

わざわざその環境を再現した訓練プログラムを作っている。

闇域では、

通常の戦闘環境とは違う制約がある。

元素力に関する異常も示唆されている。

もしVer.7.0全体が

「境界が壊れる話」

だとすると、

闇域という場所も、

単に危険な地域ではなく、

テイワットで通常成立しているルールそのものが崩れる場所

なのかもしれません。

そこに霍朝暉が消え、

蔵鋒の一部だけが璃月へ戻ってきた。

この矛盾は、

かなり大きな伏線だと思います。


まとめ

ということで、

スネージナヤを普通に歩いているだけでも、

かなり色々なものが落ちています。

昔のイベントNPCが、

何年も経って普通に再登場する。

文章だけにいた人物が、

町で生活している。

小さなデイリー任務が、

闇域という大きな設定へ繋がる。

子供向けの昔話に見えた妖精が、

実際に存在する。

そして世界任務では、

生命、

人格、

記憶、

肉体、

魂、

意志、

そういったものの境界が何度も揺さぶられる。

Ver.7.0のスネージナヤは、

魔神任務だけ見ると

女皇やファデュイの国ですが、

町中を歩くと、

むしろ

「人間とは何なのか」

をずっと問い続けている国に見えてきます。

そしてその一方で、

梨香、

レムタ、

ナディア、

リリウ、

嵐姉たちのように、

昔どこかで出会った人々の人生も続いている。

旅人が次の国へ行っても、

彼らは止まっていなかった。

別の土地へ行き、

新しい友達を作り、

失敗し、

強くなり、

何年も経ったあと、

スネージナヤでまた交わる。

だから今回のVer.7.0は、

新しい国の始まりであると同時に、

これまで旅してきたテイワット全部の物語が戻ってくる章

なのかもしれません。

まだ、

霍朝暉。

大喜児の妹。

ブダノーヴァ。

フェオドル。

アリョーシャが追っているもの。

オデットの特殊会話。

サロメとサロメア。

闇域。

全部答えは出ていません。

なので、

これから先のアップデートで、

今回拾った何気ない一言が、

数年越しにまた大きな話へ化ける可能性があります。

今のうちに、

街の端にいるNPCにも、

一度くらい話しかけておいた方がいいかもしれません。

ということで、

今回は

原神さんぽ・スネージナヤ編

でした。

それではまた。

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