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【原神考察】続・ヤシオリ島悲惨奇譚(後編)

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前回の記事では、ヤシオリ島で起きた悲劇の物語につい世界任務「武士の宿命」「邪悪な教訓」について解説しました。

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今回は後編として「三千里の期待」「孤島診療所」の二つの世界任務と、ヤシオリ島の全ての元凶についてのお話です。

「三千里の期待」:長次の物語

世界任務「三千里の期待」は、蛇骨鉱坑にある村に住んでいた長次という男の子に関わる物語です。

蛇骨鉱坑を訪れた旅人は頂上である一人の男の子と出会いました。
男の子の名は長次と言い、初対面の旅人にいきなり晶化骨髄30個を180万モラで売りつけようしてきたりします。

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その後も旅人を「宝物(中身は小麦やダイコン)」と引き換えだと言って晶化骨髄を取ってこさせたりするなど、何かにつけて旅人を利用して儲けようと目論んできます。

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子供らしくないその物言いから、この長次のことを生意気な小僧だなと思った人は多かったようです。

しかし、彼がこのような子どもらしくない子どもになったのはヤシオリ島に襲った悲劇が全ての原因なのでした……。

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長次は他人を利用するのが「賢い人間」であると思っていましたが、パイモンから説教を受けて考えを改めます。

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しかし、長次はどうしても大金が必要なので旅人に晶化骨髄を更に持ってくるようにお願いしてきます。このとき、パイモンに両親がいるんじゃないのかと聞かれても「両親は安全な場所に行きました」としか答えず、旅人も何かを察したため、長次のために晶化骨髄を持ってくることになります。

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任務をこなしていくうちに、最初は旅人をうまく利用しようとしていた長次は態度を改め、自分がなぜ大金が必要なのか、両親はどうしたのかを教えてくれるようになります。

彼によるとそれはヤシオリ島の封印が破られてから10日後に突然、長次の母は息子を置いて失踪してしまったということでした。

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鉱夫であった父は行方不明となっており、周囲からは死んだのだろうとされていました。母はそのことに納得せず怒っていたので、姿を消したのは父を探しに行ったのだと信じています。

そこで彼もまた両親を探しに行きたいと思ったのですが、そのための路銀として、人を騙してでも大量の金銭を必要としたのでした。

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旅人もまた家族を探して旅する身であったため、長次の手伝いをしながら彼を支援していくことになります。

世界任務完了後はたたら砂の海岸と稲妻城で再び長次と再会できますが、中途半端な結末のままで終了してしまい、その後彼がまだ稲妻にいるのかスネージナヤ行きの船に密航できたのかは不明ですが、任務名が「母を訪ねて三千里」のオマージュであることを考えると、複数の国を跨ぐ連続クエストとして今後も実装され続ける可能性もありそうです。

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・長次の父はなぜ死んだと思われたのか

この項目には憶測が多分に含まれています

過去に蛇骨鉱坑で何らか事故があり、長次の父はそれに巻き込まれました。

この事故で村に帰ってこなかったことから死亡したと村人に判断されましたが、死体が見つかったわけではないので長次も長次の母も生存を信じています。

「 …誰も見つからなかった。ただ、一本の折れたつるはしを見つけただけ。姉さんが無事だといいんだが…」
「…大木おじさんと一緒に、この件に関する大金を集めた。だが姉さんに断られた以上、この金は生活に使おう…」
「…長次はまだ育ち盛りだ。鉱山の仕事を引き継いだ姉さんはもっと体を休ませるべきだ。断らないで欲しい…」
   ——同僚の手紙

さて、父は現状では行方不明ですが、名椎の浜の海賊が残した日誌に、「祟り神の影響のある時期に」「大怪我をした」「妻と息子が島にいる鉱夫」を助けています。恐らくこの鉱夫が長次の父でしょう。

「…鉱夫が一人やって来た。ひどいありさまだ。ここに何日か泊めて休ませたが、かなり回復している…」
「…彼の妻と息子はまだ島にいるらしい。一緒に探すことを提案したが、それを断り礼だけ言い残して去っていった。おかしなやつだ…」
「…高野の熱が下がらない。たくさんの人が悪夢にうなされているみんなの精神状態が良くない。季節が原因なのだろうか…」
   ——海賊の日誌

この手紙によると鉱夫は回復傾向にあるとのことなのでどこかで生きている可能性は高いですが、なぜ帰ってこないのかは全く不明です。

・なぜ長次の母は息子に黙って失踪したのか

幾つか理由が考えられます。

まず長次の母の身体は祟りによる病に侵されているのは間違いありません。
しかし、薬師の保本に診察された際、彼から伝染病の可能性が示唆されています。そのため、長次に感染することを恐れて近づくわけには行かなかったのです。

女の人が診て欲しいと尋ねてきた。鉱夫の家族らしい。だが、彼女の病状は極めて特殊だ。私の腕では、断定できそうにない。ただ直感から推測するに、祟り神の力は侵食せずに、彼女の体内を自在に流れていると思われる。患者の精神も体も大きく影響されてはいないが、下がらない熱と間欠的に起こる少量の出血を抑えるのは難しい……
……命に関わる症状ではないが……彼女の場合、伝染性があるかも定かではない……
   ——薬師の手帳・二

そして、もう一つが鷲津の存在です。鷲津は祟りに完全に囚われており「彼(祟り神)」に捧げるために、長次の母を付け狙っていました。

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そして、彼女が長次に宛てた手紙が蛇神頭部の真下の牢屋で見つかることから、恐らく一度は囚われていたのでしょう。

親愛なる我が子 頭師長次

この手紙を読んでくれたら、お母さんのことを許してほしい。
あなたたちを置いていってしまうこと、私もとてもつらいわ。
でも、希望を捨てないで。お母さんに絶望しないで……長次とお母さんがずっとお父さんは生きていると信じるように。
島の「祟り神」は危ないから、くれぐれも自分を大切にして。
(中略)
でも、絶対、絶対に、私の後を追おうとしないで。急いで会いに来ようとしないで。
お母さんからのお願いよ。
お母さんを信じて。
きっと帰って、長次とお父さんに「ごめんなさい」を言うから。
それまで待っていて。
   ——開封された手紙

この際、くどいぐらいに長次に「会いにこないで」と言っているのは、伝染性を恐れると同時に鷲津に狙われていたためだと思われます。

なお、最終的には鬼隆という海賊を頼って治療のためにスメールに向かい出航済みであることが分かっています。

……治療法があるとすれば、スメールの医療機関しか……
……
……彼女に海賊の方に行くように言った鬼隆のおっさんは金に汚いが、義理堅い男だ。きっと助けてくれる……
……彼女には子どもがいるそうだ。長次というらしい。全部終わったら、ちゃんと子どもの面倒を見てあげるって……
……でも今は会えない、まだその時ではない……
   ——薬師の手帳・二

「…鬼隆おじさんはある女性を送るために出航した。彼女が言うには島の状況がよくないらしい…」
   ——ボロボロの紙切れ(名椎の浜)

・長次の母は人間なのか妖狐なのか

狂気に陥った鷲津のセリフから長次の母は妖狐ではないかという推測がなされています。

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最も、これは狂人のセリフなので信憑性に疑問があるのですが、いくつか無視できない証拠があるのも事実です。

まず、祟り神に囚われた人間は全員狂気に侵されるか狂い死にしてしまっていますが、彼女だけは祟り神の浸蝕を防ぎ、高熱と出血のみに留まっています。

だからこそ、鷲津は彼女を「彼」への特別な生贄と信じて、付け狙っています。

またその子である長次も蛇骨鉱坑に滞在しているにもかかわらず影響を受けている様子がありません。

また出会った当初の長次は気になることがありました。

彼が最初旅人を騙そうとしたのは、詐欺で儲ける大人たちを見てきたからです。

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しかし、同時に村の人々は「幸せで皆で助け合っていた」とも言っています。では、長次は「人を騙すもの」を一体どこで知ったのでしょうか・・・。

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生物図鑑では、狐はずる賢い生き物であり、更に十分に長生きして力を手に入れれば人間に変身できるという説もあるそうです。

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そう言えば、実は長次には苗字があります。
母の手紙によると、彼の苗字は頭師(ずし。英語版:Zushi)と書かれていますが、これにはもう一つ読み方があります。
そう、「ぺてんし」とも呼べるんですよね・・・。

親愛なる我が子 頭師長次
   ——開封した手紙

・海賊はなぜ長次を助けに来なかったのか

長次の母はただ単に息子を置き去りにしたわけではなく、鬼隆おじさんを通じて海賊に長次の面倒を見ることを依頼しています。

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しかし、海賊たちはまず先にやらなければいけないことがありました。

仲間たちを殺した破損した珊瑚宮の船に居座っているくそったれな武士を倒すことです。仲間の敵討ちをする必要がありました。

「…鬼隆おじさんはある女性を送るために出航した。彼女が言うには島の状況がよくないらしい…」
「…昨夜は大きな雷雨で、一隻の船が立ち往生した。珊瑚宮の船で、破損がひどい…」
「…どうやら昨夜の海戦は幕府軍が勝ったらしい。イツボツの争い、漁夫の利とはまさにこのことを言う…」
「…破損した船に厄介な武士がいて、仲間が何人か死んだ。しかも介まで…あいつを許すわけにはいかない…」
   ——ボロボロの紙切れ(名椎の浜)

さて、ここで最初に話した「武士の宿命」の話に戻ります。

稲葉久蔵が居座っている壊れた船は元々珊瑚宮の船です。

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そして稲葉は鎮め物を破壊される前までは船の周りにいる海賊を何人も始末しています。

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旅人がこの船を訪れたときに稲葉は海賊に囲まれており、その危機を救い海賊たちの巣を掃除したのは旅人です。

そして‥‥‥最後まで海賊たちは長次を迎えに来ることはありませんでした。

つまり、あの時旅人が倒した海賊たちは‥‥‥

「孤島診療譚」:保本の物語

旅人は抵抗軍の砦近くをうろうろしている不審な男を発見しました。

その男は保本と名乗り自分は医者でここは危険な場所だが島には他の医者がいないため見捨てられないと言います。

旅人が軍に関係ない人物だと知ると、保本は祟り神の奇病を治療するための薬草を集めて欲しいと頼んできます。この地に自生する鳴草には祟り神がまとわりついており、それを使えば病気を治せるかとしれないというのです。

言われた通り旅人が、鳴草を集めてそれを渡すとしばらくして保本は飲み薬を作りました。

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そして、薬を保本は人体実験と称して自分で飲むと、どこからともなく海乱鬼たちが現れました。彼らはその体に黒い祟り神をまとっており、保本によると祟り神の影響を受けたものを体内に入れると不吉なものを引き寄せてしまうということです。

保本は実験を繰り返したいので鳴草を家の前の籠に入れておうよう旅人に依頼し、その通りに旅人がすると報酬を残しておいてくれます。

しかし3日目になると、鳴草が手つかずの状態で放置されていたことから、何かあったのかもしれないと元素視覚で追尾すると、3通の保本の手帳を見つけることができました。

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「手帳・一」には、保本が祟り神の奇病に対して成す術がない無力さを記していました。

……
直子先生が亡くなった。「祟り神」が現れた後、まだ島に残っている医者は私だけになってしまった。
島の人たちは一人、一人病んでいくのを見ていることしかできないのは、とてもつらい。しかし私には「祟り神」の穢れをどうすることもできない。ただスミレウリで甘いスープを作って誤魔化すことしか……
「やさしさも治療の一つよ」
先生はよくそう言っていた。でもそれはただの医者の自己満足だ……
…… 
   ——薬師の手帳・一

鷲津は保本が砂糖とスミレウリのスープを治療薬と称して飲ませていたこと「詐欺師」と非難していましたが、本当はただ無力なだけでした。

保本という男は詐欺師だ。彼が作ったものはスミレウリと砂糖のみを使ったスープ。何の治療にもならない…
…あいつはあれからぶらぶらしている。やっぱり頼れない…
   ——欠けたノート(鷲津の遺品)

「手帳・二」には、保本が長次の母を診察し、治療のためにスメールへ行くことを勧める内容です。

そして「手帳・三」になると、突然雰囲気が一変します。

……異国の人が島に来た。傍らににぎやかな精霊がいる。大変な時に来てしまったね……
……
……異国の友人のおかげで、研究が随分進んだ。こんなに上手くいくとは思わなかった……
……これからヤシオリ島南方の砂浜へ行って、薬の効果を試そうと思う。今度は1回分丸ごとだ……
……結果はどうあれ、助けてくれた人たちに感謝を……
   ——薬師の手帳・三

不穏な内容に首をかしげながら旅人が南の砂浜に行くと、そこには瘴気を放った鳴草と宝箱だけが残されていました。

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・保本は最期どうなったのか

この任務は稲妻の任務の中でも特に行間が広く、解釈が困難なうちの一つになっています。

薬師の手帳一・二の時点では保本は正気を保っていましたが、転機点は「祟り神」の力が込められた鳴草から作った薬を自分の身で試したことでしょう。

瘴気を放った鳴草は「祟り神」がまとわりついたものと説明されており、そのような薬を飲んで常人が正気を保てるとはとても思えません。

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個人的には、「宝箱」は遺体の暗喩であり宝箱の中身は本人の遺品の暗喩であると思っています。

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戦士」シリーズという暗喩

この時手に入るアチーブの説明が「保本の結末を見届ける」となっていることから、祟り神の瘴気によりそのまま死亡したのでしょう。

全ての元凶「ファデュイのネイサン」

「ヤシオリ島悲惨奇譚」の記事でも書きましたが、このヤシオリ島の悲劇は魔神の残滓を封印していた鎮め物が破壊されたが全ての始まりです。

そして、この鎮め物を破壊したのは珊瑚宮抵抗軍ですが、その行為を唆したのは抵抗軍の一兵士であるモンド人のネイサンでした。

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ver2.0の時点では「内森さん」と表記されていたが、これは誤訳であり2.1でネイサンに修正されている

ネイサンは「自由を尊ぶモンド人の精神」から抵抗軍に加入したのに、なぜこのような行為を唆す必要があったのか。

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魔神任務第二章第三幕では抵抗軍の背後にファデュイがおり、支援と称して「邪眼」を蔓延させていたことが分かります。

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旅人はファデュイの目論見を潰すために邪眼工場に潜入しますが、そこに残された書物でネイサンの正体はファデュイのスパイであり、本当の目的は抵抗軍と幕府軍の戦争を煽り稲妻に混乱をもたらすものだったということが判明します。

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しかし、魔神任務を終了させネイサンを問い詰めようとしても、彼は既に抵抗軍から逃走しています。

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最終的に旅人によって魔神の残滓は再封印されることになりますが、一度失われたものは戻ることはありません・・・。

いつの日か仇を討てる日を求めて。

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